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どうか一曲
踊ってください、僕と
ダンスパーティーは満月に
草露ひかるあの庭で
僕は天然のカバートコート
しっぽふりふり参ります
あなたはいつもの灰かぶりのドレスで
埃まみれの素足で結構
ガラスの靴は投げ捨てて
土の上、裸足でステップ踏みましょう
どうか一曲、お付き合いください
さよならはそれからで遅くない
どうかあと、一曲だけ
セッションしましょう、僕と
ライブハウスは夕暮れに
紅もえるあの森で
僕はご自慢のコントラバス
おひげつんつん奏でます
あなたはいつもの調子外れな声で
涙の消えぬ声で結構
薄切りレモンとはちみつ持って
木の葉をびりびり震わせましょう
どうか一曲、一緒にいてください
耳塞ぐのはその後でだいじょうぶ
どうかあと、一曲だけ
涙のしずくが乾くまで




