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太陽は廻る
真夜中の暗さを知っていた。
目の前も見えないまま、がむしゃらに息をした。
いつか夜明けがくるなんて気づかないまま。
朝の光は眩しくて、きらきら輝いていた。
陽はまだ高くなると信じていた。
冷えた空気は希望の味がした。
輝かしくて、甘い。
夜を恐れる大人たちが忠告する。
陽が沈むなんて、信じられるはずもないのに。
制服のスカートを翻して、太陽が駆け抜ける。
笑いさざめく少女達が、教室の出口へ殺到する。
まだ半分、もう半分?
コップになみなみと注がれた偽物の答えで乾杯。
デジタル時計は秒刻み。ライトを点滅させている。
何度も同じ数字を繰り返す癖に。
いつかの終わりにアラームがセットされてるなんて。
昼下がりの気だるさを。
夕暮れの薄闇を、いつか知る。
アラームを止めるかどうかは、君が決めれば良いこと。




