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暁に空を駆ける
茜色の空を、青銀の鱗で照り返しながら、竜がゆく。
うねる背を眩しく見上げる君からは、手も届かないけれど。
知ってるよ、君の背中。
まだ柔らかい鱗が生え始めている。
風を知らない水色の鱗。
いつかきっと、君もあの竜の後を追う。
天空の玉座に身を揺らして、風を切る。
千切れ雲を従えて、地上を睥睨する。
その鱗が生え揃った暁には。
背中を向けた君に、僕の姿はきっと見えないね。
見えなくて良い、振り返らなくて良いから。
ただ、風に舞う君を待っている。