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時々触れる
多分、透明なんだと思うんです。
君が話してる言葉が、僕には歪んで聞こえてる。
きっと僕の声もそうなんでしょう。
右から入ってすっと、左から出るような。
指先に絡んでそっと、離れていくような。
奇声と怒号の合間に飛び交うおしゃべり。
少しだけほっとするような。
何だか寂しいような。
だからきっと、君は透明なんでしょう。
すり抜けてって風にとけちゃうくらいに。
澄み渡って綺麗ね。
でも、抱きしめられなくて、切ないね。
君が泣いてる背中見てるから。
だから、こうして手を伸ばして。
冷えた背中に時々触れる。




