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今夜、泣いているあなたへ
狼子が心より愛する特定多数の方へ捧げます。届かなくても構わないのですが、せめて一瞬でもこころ安らぐ時間が増えますように。
あなたはきっと、今夜泣いているでしょう。
その優しい心の中に、悲しみと後悔を抱えて。
明日をいつも通りの顔で始めるために。
あなたの隣にいる人を、心配させないために。
あなたはきっと、強い人ですから。
今夜も多分、1人で乗り切ってしまわれるのでしょう。
朝になれば、笑顔を浮かべて、挨拶をする余裕を取り戻すのでしょう。
でも。
今夜のこの孤独を。
明けない夜の雨を。
身にしむ冷たさは、皆同じだから。
息を潜めているあなたにとっても、きっと辛いと思うのです。
届かぬと知っても、せめて傘をかざして差し上げたいのです。
あなたの頬に手を伸ばすことは出来ないので。
せめて。
今夜、湿った森の息吹をまとった風が、
あなたの背中を温めますようにと、祈るのです。




