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禁忌の雨

作者: ゴロタ

何か…勢いで書いたので、設定等もガタガタですが、投げないでっ!小生にゴミは投げないでっ!!

 


 ザアザアと雨が降っている音が、部屋の中に居ても良く聴こえる。


 気怠い身体をベッドから起こすと、奈由はひとつ大きく伸びをした。


「くぅ~………っ!―――痛たたっ……」


 伸びをした瞬間、あらぬ場所がツキンと痛んだ。


 そして自分以外に誰も居ないベッドを見て、奈由は辛そうに表情を歪めた。




 ***




 奈由は今年で19歳。大学生1年生であり、長年憧れていた一人暮らしをするために、家から通える距離ではあるが、親に頼んでアパートで暮らしている。


 一人になって初めて分かる、母親の有り難みを噛み締めながらも、毎日充実した日々を送って居た。


 しかし、奈由にはひとつだけ気掛かりな事があった。

 奈由にはふたつ年下の、翠という高校2年の弟が居るのだが、翠は奈由の一人暮らしに反対していたのだ。


 翠の理由では、のんきでおっとりした奈由には一人暮らしは向かないと、両親にくって掛かっていたのだが、両親は翠の話を取り合わず、とりあえず奈由に一人暮らしをさせてみて、駄目な様だったら家に戻れば良いと結論付けた。


 翠は奈由が家を出るその日までずっと、奈由と両親に反発するためなのか、全く口をきかなくなった。


 奈由は何度か仲直りしようと、翠の部屋に行くが、翠はドアを開けて中へは入れてくれなかった。



 そして奈由が一人暮らしをするために、家を出る日がやって来た。


 その日は朝から小雨が降っており、翠以外は忙しく動き回って居た。

 両親が引っ越しの業者と共に先にアパートに向かう事になり、後から奈由が車で細々とした直ぐに使う日用品などを、運ぶ事になっていた。


 翠は自分の部屋にこもり、奈由とは顔を頑なに合わせなかった。


 奈由はこれが仲直りの、最後のチャンスだと思い、翠の部屋のドアを静かにノックした。


「―――――何?」


 翠の不機嫌を露にした声が聞こえて来る。

 返事を貰えた事に、奈由は嬉しくなった。今までは、返事すらも貰えなかったからだ。


「翠?私、頑張って来るよ。大丈夫……少し寂しいけど、夏休みには絶対家に戻って来るし、それに会えない距離でも無いから……」


「会えない距離じゃ無いって言っても、直ぐには会えないだろっ!!」


 奈由が住むアパートは実家から、電車で1時間程度の距離ではあったが、家に帰れば直ぐ会える距離で無くなるのは、確かだった。


 奈由はこんなに声を荒げる翠が珍しかった。翠は普段落ち着いていて、実年齢よりも上にみられるほどであり、奈由と一緒に歩くと年齢を逆に見られる事が多かった。(奈由の身長が低い事も原因のひとつであったが、奈由本人はそれには気付いていない)


「うん……そうだね…直ぐには会えない距離。でも、絶対に会えない距離じゃない……………」


 奈由の言葉の途中で、翠の部屋のドアが突然開け放たれる。


 部屋の中から、奈由の腕を掴んだ翠が、奈由を力一杯引っ張ると簡単に翠の部屋に連れ込まれた。


「翠……痛いっ……腕を放してっ!」


 翠は奈由のその言葉に、強く掴んでいた腕をそっと放した。


「ごめん……でも……これで少しは分かっただろ?」


「――――……何が?」


 翠は奈由が何も分かっていない様子に、眉をしかめながら説明した。


「何が?っじゃない!奈由が一人暮らしした部屋に男がやって来たりしたら、こんなに簡単に連れ込めるって事だよっ!!」


 翠のとんでもない発言に、奈由はビックリして素っ頓狂な声を、上げてしまった。


「ええっ!?なっ…何それっ?そっ…そんな……男の人なんてっ……あうあう…へっ…部屋に上げる訳無いでしょう!!」


 奈由はビックリし過ぎて、動揺しながら翠の発言を否定した。


 奈由は自慢では無いが、生まれてこのかた、異性と付き合った事が無く、所謂彼氏居ない歴=年齢であった。


 顔を真っ赤にして、挙動不審に慌てる奈由を見た翠は、落ち着くどころか内心焦っていた。

 こんなに可愛らしく狼狽える奈由が愛おしく、そして危険だと。


 大学なんて高校よりも危険な場所だ。飢えた狼の群れに、純粋な奈由が放り込まれたら、立ちどころに喰われてしまうのでは、無かろうか?そう思った翠は、ついとんでもない事を奈由にしてしまう。



「チュ……ッ…ンン……ウンッ……」



 奈由は始めは気付かなかった。突然翠の顔が目の前に迫ってきたのだが、のんきにうわぁ…翠の睫毛は長いなぁ…などと考えていた。


 しかし翠の唇が、自身の唇に触れて舌が口腔に差し込まれた瞬間にのんきな考えは吹き飛んだ。


「やっ…ンン……ちょっ……っ……っ……」


 奈由は翠の胸を叩くが、止めてはもらえない上に、更に深く翠の舌が奈由の中を蹂躙する。


 チュクチュクと、濡れた水音が部屋に響く。


 初めてのキスで上手く息が出来ない奈由は、段々と意識が朦朧としてきた。


 奈由の身体の力が抜けてきたのを、目ざとく察知した翠は、奈由の背中に手を回しながら、名残惜しげにゆっくりと唇を離した。


 少しの間、翠に寄りかかりボーっとしていた奈由であっが、段々と呼吸が戻ると、頭も冷静に回って来る。


 奈由は顔を先ほどよりも顔を真っ赤にして、翠に詰め寄った。


「すっ…翠っ!!なっ何しゅるのよっ!!」


 動揺を禁じ得ない奈由は、思いっきり噛んだ。


 動揺を露にしてくれた奈由のお陰で、内心は動揺していた翠も直ぐに落ち着いた。


「ぷっ……ははっ…。最後まで、奈由は決まらないんだな?ははっ………。はあっ――――……でも、これで理解しただろ?いや……してないな?」


 無防備にも、翠に顔を近付けていた奈由に、翠は軽い交接音を鳴らしてまた軽くキスをする。


「チュッ………」


「……にゃにゃにゃ……にゃにするのよっ!!」


 そして動揺のせいか、またも噛む奈由に向かって、翠は意地悪そうにこう囁いた。


「キス位で驚いてたら、これ以上の事は奈由には出来ないな?」


 翠はからかうようにそう言うと、驚きのせいで固まっている奈由を更に抱き締め様とした正にその時であった、奈由のスマホが鳴り出したのは。


 いつまでも鳴り響く着信音に、翠は固まったままの奈由のスカートのポケットからスマホを取り出すと、相手の名前を確認すると、勝手に出た。


「もしもし、母さん?」


「あらっ?これ奈由の番号よね?間違えたのかしら?」


「いや、奈由ので合ってる。大丈夫だよ?」


「えっ?じゃあ、何故翠が出てるの?奈由はどうしたの?」


「奈由は………」


 チラッと奈由に視線をやった翠であったが、未だに絶賛硬直中であった。

 そんな奈由もやっぱり可愛いなと、思いながら口から出任せがスラスラ出てくる翠であった。


「何か、どの小物を持っていこうかずっと悩んでて、忙しいから変わりに電話に出てって……」


「あらそう?あの子はまた、そんなどうでも良い事で悩んでいるのね?しょうがない子ねぇ……うふふっ…」


「母さん、どうかしたの?」


「ふふっ……いや、貴方たち仲直りしたのね?」


「はっ!?」


 翠は母のその言葉に、非常にドキッとした。疚しい事をしたので、尚更だ。


「奈由が、翠がずっと口をきいてくれないって、落ち込んでたから。奈由の電話に出て上げる位には、仲直りしたと思ったら、嬉しくて…ね?」


「………奈由が…そんな事を言ってた?」


「ええ、そうよ?だから仲直りしてよかったわ。それから、奈由に伝えてちょうだい。迷ってるなら早々に諦めて、こっちに向かってちょうだいって!どうせ決められないから、迷ってる時間が無駄よって!こっちはもう荷ほどき始めてるからね?」


「分かった……伝えとく…じゃあ……」


「じゃあよろしくね?」


 流石に母親である。奈由が何かで迷っていると絶対に自分では決められない事を、お見通しである。

 まぁ、実際の奈由は現在迷っているのでは無く、固まっているのだが。


 固まったまままの奈由の前で、数回手を振ってみせると、奈由は正気に戻った様で、ワタワタと慌て出した。


「ひゃあっ…近っ!やだやだっ!あっち行って!」


 両手をブンブン振り回しながら、顔を真っ赤にする奈由の、両手を無言で掴むと、翠は母からの伝言をそのまま伝えた。


「奈由……母さんがアパートに早く来いってさ」


「なっ…?母さんが?ええっ?いつそんなこと言われたの?」


 頭にクエスチョンマークを浮かべた、怪訝そうな表情で驚く奈由。

 どうやら先ほどの電話にすら、気付かなかった様だ。


「良いから……行けよ。じゃないと……また襲うぞ?」


 翠はそう奈由に宣言すると、自身の唇をペロリと舐めた。

 その艶かしさに、奈由の心はドキリとした。

 実の弟にファーストキスを奪われ、あまつさえまた襲うと発言されたのに、気持ち悪くなるどころか、顔が赤くなり、息が上がって来る。


 そんな奈由の様子に大満足していた翠であったが、奈由の一人暮らしには、やっぱり反対なのであった。

 こんな不意打ちで弟にキスをされて、怒るでもなく、泣くでもなく、ボンヤリ顔を赤くするだけの初心な姉である。

 変な男に言い寄られて美味しく頂かれたりしたら、面白くない。

 しかし奈由の一人暮らしは、決定事項で翠が一人反対した程度では、覆らない。

 だから翠は定期的に奈由の元へと通う事にした。

 週末は泊まったりして、ゆっくりと一人暮らしの危険性を、実地を伴って教え込もうと考えた。


「なぁ……。俺以外の男と、キスしたら駄目だからな?約束だからな?」


 翠はそう奈由の耳元で囁くと、奈由が無言で頷いた。それを確認して、翠は掴んでいた奈由の両手を自由にしたのであった。




 ***



 それから週末になると、奈由の元に翠が泊まりに来る様になった。

 両親は翠の余りのシスコン振りに、最初は驚いていたが、その行動が半年も立つと、気にしなくなった………と、言うよりも寧ろ二人で旅行になんか行ったりして、新婚気分を取り戻していた。


 そして翠は特に奈由に、少しづつ男の危険性を知らしめるために、キスを仕掛けたり、背後から抱き寄せたりと、ちょっかいを掛けては、奈由を狼狽えさせたりしていた。




 ――――――――………その日が来るまでは。




 その日は金曜日で、朝から雨が降っていた。


 奈由はサークルの集まりで、いつもより少し帰るのが遅くなる事を翠にライソで伝えた。


 直ぐに翠から返事は返ってきて、迎えに行こうか?と、書かれてあった。


 奈由は特に考えずに、友達の皐も一緒だから大丈夫と、送ったが翠からの返事は無かった。


 奈由は少し変だな?とは思ったものの、皐に呼ばれてサークルがある棟に向かって急いで歩き始めて、翠のライソから感じた違和感を忘れてしまったのであった。




 翠は苦悩していた。最初はただ、奈由が心配だっただけなのだ。

 確かに奈由が可愛くて、愛しかったが、それは家族愛の範疇だと思っていた。

 キスを仕掛けたのも、男は危険だと奈由にわからせるためだと、思っていた。


 しかし、何回もキスをしていると、それ以上の事を奈由にしたいという、欲望が膨れ上がってしまっていた。


 キスまでならともかく、それ以上を実の姉に求める自分の気持ちは、流石に異常だと翠は気付いてしまった。


 翠は自分の危険な欲望を発散するために、何人かの女性と関係を持ったが、全く満たされなかった。

 寧ろ更に奈由を求める飢餓感は増していった。


 そんな折、奈由からサークル活動で、アパートに帰るのが遅くなるとライソが来た。


 心配になった翠は、迎えに行こうかと聞いたが、友人と一緒だから大丈夫と、断られたのだが、それが地味にショックだった。


 この半年間頑張って奈由に男の危険性を、教え込んだ積もりだったが、全く分かってなさそうな奈由の態度が、面白くない。


 奈由が帰ってきたら、厳しく諭さないと、と考えながら奈由のアパートに向かった。




 そして待つこと数時間。

 いつもは19時には家に帰ってくるのに、今日はもう22時だ。遅すぎる。


 何度かライソを送ろうとしたが、書く内容がどうも弟としてでは無く、一人の男としての内容になってしまい、結局送れなかった。


 今頃奈由はサークルの仲間と、楽しんでるかと思うと、翠の中にドロドロと渦巻く醜い感情が溢れ出しそうになる。


 醜い感情には名前があり、それは嫉妬といった。


 翠が嫉妬でドロドロになった感情をもて余して居ると、アパートのインターホンが連打された。


 ピポピポピンポーーーン………。


 近所迷惑でもあるので、直ぐに扉を開けると、そこには上機嫌な奈由の姿と、見知らぬ男の姿があった。


「あれっ?奈由ちゃんは、一人暮らしじゃ無かった?君は………?」


 奈由は酔っている様で、楽しそうに男に話しかけた。


「えへへ……鈴城センパイ、これは私の弟の翠ですっ!遊びに来てくれてまっす!!」


 奈由は上機嫌で鈴城と呼んだ男にそう言うと、今度はクルリと反転して翠に向かって、酔っ払い特有の突拍子もない事を、やってのける。


「翠~!だだいま~のチュー!!」


 奈由からの初めてのキスは、アルコールの味がした。


 チュッチュチュッチュと、翠の唇を含めて顔全体にキスをしては、ニコニコと微笑む奈由に、シラフの翠と、驚いた表情の鈴城は、お互いに気まずげな表情であった。


「………君は奈由ちゃんの、弟で間違い無いよね?」


 確認するように鈴城が、翠に聞いてくる。


「はい……そうですが……」


「奈由ちゃんは…君に対して、いつもこうなのかい?」


「こう、とは?」


 翠が冷静に切り返すと、鈴城は若干気まずそうに、翠にじゃれつく奈由を見ながら聞いてきた。


「その…キス…とか………」


「…………さあ?酔ってるからじゃ、無いですかね?」


 翠が惚けると、鈴城はそれ以上は突っ込んで聞いてはこなかった。


「そっ…そっか。じゃっ…じゃあ、僕はこれで………」


 そう言うと、鈴城はそそくさとアパートの階段を降りて行き、その姿が道路の角を曲がるまで、翠は見詰めていた。


 そして鈴城の姿が消えた瞬間に、奈由の腕を掴んで、部屋に引きずり込むと同時に、強く奈由の唇を塞いだ。


「ふにゃっ?……んっ?んんっ?……っ……っ………」


 奈由の震える舌を、自身の唇で挟み込み、思いっきり吸う。

 そしてお互いの舌を擦り合わせながら、翠は奈由を抱き上げた。


 翠がキスをしながら、向かったのは奈由のベッドであった。


 部屋の外からは、シトシトと雨音が聞こえていた。


 それ以外の音は無かった。お互いに服を脱がせ合い、生まれたままの姿で抱き合い、そして身体を重ねた。


 二人の秘めやかな行為は朝まで続いたのであった。



 そしてその朝、ザアザアと降りしきる雨音に、一人で目覚めた奈由は自分以外が居ないベッドに表情を、歪ませたのであった。


 お酒に酔っていたとはいえ、記憶はあった。

 そして判断能力は若干危うかったが、昨日は自分でも望んで、実の弟の翠と身体を重ねたのだが、朝微睡みから目覚めると翠の姿は部屋から消えていた。


 枕元には大学で使うルーズリーフが置いてあり、そこに翠から一言【ごめん】という文字が書いてあった。




 その雨の日から、翠の姿を見たものは誰も居ない。















 そして暫くして、奈由は元気な男の子を産むことになるのだが、今の彼女には知るよしも無かったのであった。






そう、翠はヤ○逃げでゴザル!


奴は称号を授かった。


【○リ逃げの翠】


続きは今の所書く気は皆無ですが、気が乗りましたら書くかも?


ああ、でもヤッパリゆる~い話の方が書きやすいし、書いてて楽しいので……多分無いですな。

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