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食べたいシリーズ

そんなことより、お肉を食べたい

作者: ゴロタ

Yes寝てません。誤字脱字はスルーディングで。

後、途中出てくる()内は最初は読まない方が楽しめる…と思います。では、どうぞ。

私はアルマー国の伯爵令嬢のペグリーチェ・モグモグ・レレイ…美味しい食べ物に執着する、食いしん坊令嬢です。特にお肉と甘いものが大大大好物ですわねっ!


ただ今、親戚のリズお姉様の婚約披露パーティーに来ています。


実は、このようなパーティーには出たくなかったのですが、リズお姉様には昔、珍しいお菓子の詰め合わせやら、珍味なゲテモノ肉などを、お土産として頂いてましたので、今回は参加することになりました。


ですが、早くも帰りたいです。パーティーなんて人目があり、おまけに立食形式です…。色々な種類のご飯や、お菓子が大量に食べられないっ!

死活問題です。


「ちょっと、あなた!」


ザワザワ…ザワザワ…。


何やら騒がしいです…。煩いですね…。少しは静かに出来ないのでしょうか。私は今この場にいる誰よりも、深く重い悩み事を抱えて居るのに…。


お代わりすべきか…否か。伯爵家の令嬢として振る舞うのならば、何度もお代わりはダメですよね…。ええ、分かってます…でも…でもですよ…。


確か立食形式のパーティーでは、飲み物のお代わりは許されましょうが、流石に…メインの子牛のフィレ肉を何度もお代わりするのは…アウトですよね?

あっ!あそこにいる、メイドに私が全部食べたことは、内緒にして「こちらの子牛のフィレ肉が、もう空でしてよ?」と言って教えてさし上げる風を装って言えば、伯爵令嬢としての体面を保ったままお代わりが要求出来るのではないかしら?


あら?いっ…いけるのではなくて?いや、絶対いけるわっ!!


「ちょっとったらっ!聞いていらっしゃるの?」


何?何なのです?良い作戦が浮かんで最高の気分でしたのに…。先ほどから、騒がし過ぎません?

立食パーティーで、お酒でも飲み過ぎて酔っぱらっていらっしゃるのかしら?

さて、早くあのメイドに教えてさし上げなければっ!

私のお腹が鳴って、恥ずかしい思いをします…主に私が。


イソイソとメイドの方に進もうとする私を遮る憎い影…。


何処かの令嬢が、何故か私の前に立ち塞がります。

………まさか……この方も子牛のフィレ肉を狙っているのでは?

ライバル出現ですわっ!


「先ほどから呼んでおりますのに、無視をなさるなんて…礼儀がなってないのでは、ありませんか?」


何処かの令嬢が、話しかけて来ます…。私に仰ってるんですよね?確認の為、後ろを振り返ってみます。

あら?誰も居ない…。では、やはり私かしら?


その一連の行動がいけなかったのか、何処かの令嬢は私を凄く睨んで来る。


そんなに睨まれる程、子牛のフィレ肉のことを……。

この不幸な行き違いが無ければ…私達仲良くなれたのかしら?


では、やはり何としてでもメイドにお代わりを申し付けなければ…。そして、仲良く子牛のフィレ肉を食べれば良いのでは?そう考えた私は先ほどより若干慌てて、何処かの令嬢の横をすり抜けようとすると、すれ違いざまに足を引っ掛けられた。


おっとっと……。


勢いが殺せず、たたらを踏むが、転びませんわよ?


「何で転ばないのです!貴女なぞ、転んで仕舞えばよろしいのにっ!」


流石に何故ここまで言われるのか…。やはり食べ物の恨みかしら?分からないので、聞いてみましょう。


「私が(肉を)取ったので、怒っているのかしら?」


と、言うと何処かの令嬢は更に怒り出しました。


「やっぱり…貴女…気付いてらしたのね?そうよ……貴女に(彼を)取られたのよっ!!」


ええっ?やっぱりそうですのね!?食べ物の恨みは恐ろしいと再認識を致しました。


「そうですの…もっと早くに仰って下さっていれば……」


私も鬼じゃありませんわ?少しなら肉を残して差し上げたかもしれませんのよ?


「何よ…(彼を)取らなかったとでも、仰りたいのかしら?」


中々、挑戦的な目で見つめてきますわね。

私には、肉を目の前にして『待て』が出来ないと思ってらっしゃるのね?まぁ…基本的には無理なのですが……。


「いくら私でも、他の方の(肉)だと知っていれば手出しなど致しませんわ……多分」


凄くお腹が空いていたら、分かりませんわよ?早い者勝ちという言葉はご存知かしら?


「多分って何ですの?やっぱり(彼に)手を出すのね?最低ですわねっ!」


少し落ち着いたと、思ったら…。確約は出来かねるってだけですわ。


「ですが、勝負はフェアに行うのが、定石ですわ。最初から譲って頂くのを待つなんて……少しズルいんじゃありませんこと?」


そうですわ、弱肉強食って言葉が確かありましたわよね?弱ければ食べられないのですわ……肉を。

食べたいならば、肉を狙う相手を倒せば良いだけのこと!

そして相手を踏み越えて勝利の肉を噛み締めれば宜しいのですわ!!


「なっ……いつ私がズルなんて……。まさか昔から私が(彼を)狙って居たことを、仰っているのかしら?」


なんですって!?貴女…そんなに以前よりこのパーティーの子牛の肉を狙っていたの?悪いことをしたかしら…。でも別に貴女だけの肉と決まっていたわけじゃないはず…。


「そうですわね…勝負は時の運とも仰いますでしょ?昔から(肉を)狙われていらっしゃっても、出遅れたら他の者に奪われて仕舞うのは致し方ないのではありませんか?私だって、隙あらば(肉を)奪いますわっ!略奪ですわっ!!」


つい、肉への愛が肉汁の様に溢れる出て来てしまいましたわ。ハッスル失礼しました。



バッチーンッ。



「最低っ!この売女!泥棒ネコッ!肉食系令嬢っ!悪女!淫乱~!」


いきなり頬を叩かれた上に…酷い言いぐさである。肉食系令嬢以外は、断じて違うわ!?


痛む頬を押さえて唖然としていると、何処かの令嬢の後ろの方から知り合いであり、食べ仲間のジョイス・ウップ・ポッチャリン伯爵令息が、ドスドス走って来る。名前と足音から推測できますよね?はい、かなりのポッチャリ体型をされている方です。


「だっ大丈夫かい?ペグ?」


心配そうに私の頬を触って来る。痛いです。触らないで下さるかしら?


「あら、ジョイス。ええ…頬を叩かれた程度ですわよ。大丈夫ですわ」


「本当にすまないね…僕の婚約者が失礼した」


ジョイスは頭を下げて来る。すると今まで黙っていた何処かの令嬢が、急に騒ぎだした。


「なっ何故ですの?ジョイス様が頭を下げる必要なんて無いですわっ!そもそも、このレレイ伯爵令嬢がジョイス様に色目を、お使いになられるから、悪いのですわっ!」


なななんと……この何処かの令嬢は、ジョイスの婚約者で、更に私がジョイスに色目を使っていると思ってらっしゃるのね?何処にその様な要素があるのかしら?ジョイスは只の食べ仲間でしてよ?


「マーガレット……落ち着いて。以前も話したけれど、ペグは只の食べ仲間だよ?良くて同志だよ。何故変な勘違いをしているの?」


何処かの令嬢改めて、マーガレット様は泣きそうな顔をしている。


「で…ですがっ。食べ仲間とか、同志と仰ってますが、未婚の女性を愛称で呼んでいらっしゃいますし、レレイ伯爵令嬢だってジョイス様のお名前を呼んでいらっしゃいますし…何よりお二人で、王都やお互いの領地で逢い引きしていらっしゃるのを、多くの方たちが目撃して居りますのよっ!!」


あらあら、マーガレット様は私に嫉妬していらっしゃったのね?肉の話では無かったのね?なら、ハッキリ言ってどうでも良いわぁ~。


「愛称の方は、僕が最初に会った時にペグのフルネームのペグリーチェが上手く言えなくて、短くしたペグで良いって言うから…つい、ずっとそのまま呼んでるだけだし、二人で逢い引きなんてしてないし?お互いそういう目で相手を見て無いからね?」


ハァ~もう私は彼方に行っても良いかしらぁ~?言い合っている間にもう、子牛のフィレ肉追加されたよね?言わずしも当初の目的は達成されておりますわ♪後は素知らぬ顔をして、貪り喰らうだけですわ。伯爵令嬢のリミッター解除です。本領発揮致しますわよ~☆

私が1人良くないハッスルをしている間にマーガレット様は何やら納得された様で、


「そうなんですの……私ったら…。レレイ伯爵令嬢っ!もっ申し訳御座いませんですわ。頬を叩いたりして…。でも、それならそうと最初から仰って下されば、良かったですのに…」


マーガレット様が謝まりながら責めてきます。わおっ!理不尽です。


「私は最初から最後まで肉の話しか、しておりませんでしたが?」


マーガレット様は、えっ?という顔をしております。


「そ…そうなのですか?それにしても見事に話が噛み合って無かったのですね?………………………少々お待ちになって?肉のお話………へっ?」


いえいえ、ある意味では話しは噛み合ってたみたいよ?勘違いをする方向に…ですが。


「僕は言いましたよね?お互いそういう目で見て無いって。ペグとの会話は8割食べ物の話、残りの2割は食べ物屋の話か、珍味の話だからね…。この話で共感は生まれても愛情が育まれることは無いよ」


「その様ですわね…勘違いをして申し訳御座いませんでしたわっ。只私は心配だったのです…ジョイス様は魅力的な方ですもの…他の方に取られるんじゃないかと、何時も不安で…その様な時にお二人の噂を、お聞きして…つい…」


「そんな…僕には、マーガレットと言った素敵で可愛らしい婚約者が居るのに、他の人のなんて目に入らないよ!」


「いやですわっ!ジョイス様ったら~♪ウフフ♪今度からマギーと呼んでくださいましっ♪」


「マギー…………………」


「ジョイス様……………」





お互いをうっとり見つめて、果てしないほど甘いですわ……。胸焼けがしそう……。塩を…塩を舐めねばっ!!

ううっ今日は甘いものは、要らないですわっ!肉よっ肉肉~。

元の場所に素早く戻って、メイドに子牛のフィレ肉があるのか聞きますと………。



あっ?あら~?子牛のフィレ肉は?追加は?えっ?終わりました?そっ…そんな…。ショックを受けて居ると、先ほどのメイドが私に冷たい布をそっと渡してくれるわ。


「あら、有り難う。気が利くのね」と言うと、ビックリしつつも嬉しそうに会釈をして戻っていった。



メイドの優しい行動は嬉しかったのですが、それに比べて…あのバカップル…………食べ物の恨みは…………恐ろしくってよ?覚えておきなさいな…………。



復讐を心に誓った。



結果的には親戚のお姉様の婚約披露は、成功した。

私とマーガレット様の言い合いは、余興みたいな扱いになっていた。あっそ。









おまけのメイドside



あたしは自分で言うのもなんですが、ちょっとドジなメイドです。今回のパーティーでは、段取りが悪かったのか上手くお客様へ飲み物をお配り出来なかったり、食べ終わられた食器を下げ忘れたり…。


落ち込みます。

深く反省をしておりますと、近くでお食事をされていた令嬢が何故かあたしを見つめて百面相を、しています。

何か粗相をしてしまったのかと、戦々恐々としていると、こちらにいらっしゃろうとしてます。

えっ?クビですかね?まだ働き始めたばかりなんですぅ~。とか、家にはまだ、弟妹達がぁ~と思って見ていると、こちらにいらっしゃろうとしていた令嬢の前に、違う令嬢が立ち塞がったのです。

その時、私は申し訳無いのだけど、ホッとしてしまいました。


が、いきなり令嬢達は言い争い?を始めました。周りもオロオロ見ているだけです。


あたしはこちらに争いの火の粉が飛んでくるのが、恐ろしかったので急いで食べ物の補充へ、向かいました。


「子牛のフィレ肉の追加をお願いしまーす」


料理長に空になったパーティー用の大きなお皿を、渡します。


「おうよっ!子牛のフィレ肉、丁度出来上がったところだ!ほら持ってけ!」


うっ…直ぐに戻ることになってしまった…。

でも、出来立てを持って行かねば…。

ファイトだ…あたし!


「有り難うございました~」


ペコッと頭を下げて厨房を後にする。


「おうっ!落とさねぇ様に頑張れよっ!」


料理長に声を掛けてもらい、少しやる気が出た。


戻ってみると、丁度令嬢が叩かれた所だった。バッチーンとかなり痛そうな音がした。

叩かれたのは、自分じゃ無いのに一瞬痛みが頬を走った。


持っていたお皿を、元の位置に置くとあたしは厨房まで走って戻り、料理長に事のあらましを説明して、氷と布を貰い急いでパーティー会場に戻った。


丁度言い争いは終了したのか、急いで令嬢が最初に居た子牛のフィレ肉の置かれた付近に戻りますが、とてもガッカリした様子でした。


ああ、子牛のフィレ肉が、よっぽど食べたかったんだと思える行動でした。ガッカリした令嬢に冷たい布をそっと渡すと、「あら、有り難う。気が利くのね」と言ってくれました。

ビックリしたけど、とてもとても嬉しかったです。


その後令嬢はとても黒い笑みで、争いのあったもう1人の令嬢とその恋人を見ていました。

ヤッパリ怖い…………です。あうう…。








バカップルに、乗っ取られそうだったので、強制終了しました。本当はもう少しあの二人のやり取りが続くはずでした…が、作者がイラッと来たから辞めました。後悔はしていない。

毎回毎回…本当に申し訳無いです…。


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