修正中03.イメージと現実の差異
お久しぶりですB.mk-2です
やっと三つ目が出来ました
いつも出たとこ勝負の滅茶苦茶ですが良ければ見てやってください
「こうなったら一か八かだ、『コール!!』」
その言葉と共に『何か』が奏太の手に収まる
その『何か』を右腕のブレスレットへ装着する
電子音1[ロック]
電子音2[レリーズ]
装着された細身のブレスレットはカチャカチャと音を立てて拡がり、(細身から幅広い腕輪に成ったイメージ)『何か』がその中央へ動く
そして180度横回転させ『何か』の頭を拳へ向ける
「変身!!」
電子音[チェンジ・オープン]
ブレスレットの何かはどうやら蝶を型どったモノらしく、先程と同じ光の粒子と幾つかの紋章に体が包まれ弾ける、ソコには重厚な装甲に身を包んだ姿があった
胸の奥底で燻っていた熱が一気に燃え上がる気がする
「それじゃあ、仕切り直しだ」
鋼鉄の鋼色、間接部には緑、頭部のゴーグル型の複眼に光が宿りグレーから黄色に変わる
「オメエは、いったい何なんだ!?」
「コイツ、魔術師か?」
「バカ、俺等なんかにそんな大層な奴が来るか!?、アレもハッタリだ!!」
「そ、そうだ!、殺っちまえ!!」
盗賊三人組が剣を手に迫り来る
「くっ覇ッ!!」
左腕で剣を受け止め弾く、間髪入れずに拳を叩き込む
「ぐわっ!?」
「か、硬い」
「怯むな、お前は誰か呼べ!!」
「あかった」
「させるか!」
ブレスレットにある蝶型の物体の尻を体の上に折り曲げる
「コレはサービスだ、ブレイクアーマー!」
電子音[ブレイク・アーマー]
全身に軽く電撃が走ると同時に大量の空気を吸い込む、装甲が分割され浮き上がると猛烈な風圧で外装甲を弾き飛ばし収納されていた内部装甲が展開する
体は鋼色から光を押さえた黄色に、間接部は黒、そして頭部はゴーグルから双眼へと変わる
先程より細身になり動きやすそうだ
電子音[チェンジ、プロトタイプ・パピヨン]
「さぁ行くゼ」
電子音[ウェポン・セレクト]
目の前に剣、槍、双剣の立体映像が浮かぶ
剣を選ぶと実体化、手に収まり他は霧散する
「トヤッ!」
一息に跳び、援軍を呼ぼうとする盗賊の背中を一閃し切り裂く
「ウギェ!?」
「鎧で俺を飛び越えた!?」
「はっ速い…」
「これ以上好きにヤらせるな、行くぞ!!」
二三度打ち合ってから相手の足に剣を投げ付ける
「ウギェ!?足が!?足が~!!」
電子音[ウェポン・セレクト]
剣が霧散し今度は槍が手に収まる
蝶の側面のボタンを押しながら尻を折り開く
電子音[チャージ、3.2.1.マキシマム]
再び蝶の尻を折り戻す
「行くぜ!!」
電子音[バイパス・オープン]
蝶から全身へエネルギーが流れ粒子が僅かに舞う
電子音[カウント、5]
「思ったより少ないけど最初はこんな物か、カウント・スタート!!」
電子音1[カウント、スタート]
電子音2[Ⅴ]
カウントが始まると周りから色が薄れていき自分以外の動きが止まった様に見える
体から粒子が舞うと感覚が鋭くなる気がする
電子音[Ⅳ]
駆ける
眼前の男は反応できない
先ずは背を斬られた男を立たせ、突き飛ばし他二人の間へ動かす
電子音[Ⅲ]
続いて顔を向けつつも反応できないでいる片割れをアッパーと槍のフルスイングで
電子音[Ⅱ]
もう片方を顔面パンチと蹴りで斬られた男の両隣へ動かす
電子音[Ⅰ]
三人の男達を一列に誘導し終わる
「スターライト・スティング!!」
電子音1[カウント、ZERO]
電子音2[スターライト・スティング]
全身と槍から大量の粒子が吹き出し一気に加速して盗賊達に一撃を加える
周りに色が戻り目の前の男達の動きが元に戻る
「てめえ、小賢しい事しやがって!!」
「ウギイィ、痛、痛ぇえ!!」
「畜生め、動けねぇぞ!?」
男達は三人纏めて、文字道理輝く槍に『串刺し』にされていた
今の状況に気付いたのか盗賊達の引き攣った目と合う、自分が嫌な笑みを浮かべているのが解る
「や、止めろ…」
「…スティング・ショット!!」
電子音[スティング・ショット]
「っっっ!!」
槍にチャージされた粒子がまるでショットガンを撃った様に弾けながら男達を吹き飛ばし、民家の壁に派手な血飛沫を描いた
腹に大穴を開けた男達にもはや息はない
「ハァッハァッハァッハァッ!」
熱が冷める様な感じだ
半分以上がパクリだが其なりの能力を持った物を作った
超が付く程のパワーアシスト機能、状況に応じて変えられるウェポン・セレクト能力、軽装形態・時間制限有りの移動能力の強化
胸の奥ではまだ燻りが消えないでいる
(……僕は何故こんな事が出来るんだ?)
先程までの攻撃的な自分がまだ纏わり付いている感じかする、恐ろしい、恐い
「俺は…どうしちまったんだ?」
「おい、お前等まだ見付からないのか?」
困惑するなかで急に飛び込む盗賊の声
「っ不味い!」
手から槍が離れて霧散する
急ぎ近くの物陰へ身を隠す
「おぅおぅ、コッチも派手に殺ったな」
(…1人だけか?)
「…いたいた、お前達、何寝てんだよ?早く探しってっておい!大丈夫か!?」
(気付かれたか!?)
瞬時に背後をとり、首を絞める
男から呻き声が漏れるが軽い手応えの後直ぐに動かなくなる
今度は驚く程滑らかに体が動いた
何かが麻痺したのか、何故か頭は冷静になっている
脳裏にこの街に入った時に何処かへ連れていかれた人達が浮かぶ
「…行かなきゃ、見捨てられない」
だが腕に怪我を負ったエルフの女性の感触が甦る
「あの娘は、もっと見捨てられない!!、でもどうしたら…」
(僕には両方を助けるのは不可能だ)
不意に自分が纏った鎧の腕が視界に入る
「…そうだ、今の僕にはこの『力』がある!!」
蝶型の尻を戻しを180度横回転させると変身が解けブレスレットと体が元に戻る
「『ファルファラ』、捕らわれた人達を探してくれ」
ブレスレットから『ファルファラ』と呼ばれた蝶型の物体が離れ翔んでいく
直ぐにテントを開き女性を抱き寄せる
「ぁ…冷たい」
『死』
その言葉が思い浮かび絶望に呑まれそうになる、だが彼女は闘っていた
それを弱いが確かに感じる鼓動が物語っていた
「よかった…生きている、まだ諦めてないんだ」
今有る物で何が出来て、何が新たに要るのか
(どうする!?)
少ない時間でやるしかない
「…コレしかないな」
………
……
…
「ッゼィッゼィッ、出来た!コレなら行けるはずだ」
全く新しい物、特に複雑な物を作るとソレに比例して体力の消費も激しくなるようだ
「先ずはこの娘だな」
ツール・バックから何か、柄(?)の様な物と長細い長方形の物体を取り出しソレを柄に差し込む
「動いてくれよ?」
柄の脇にあるスイッチを入れる
…ブゥゥン…
微かなモーターの振動音の後に小さな『輝く』刃が姿を現す
それを槍の柄に押し付けるとジュッ!!と一瞬小さな火が上がり、まるでバターを切る様に刃が通り長い柄が離れカランッと音を立てる
「よし、コイツは使える」
…ビィゥゥゥ…
微かな羽音を立てて、だが高速でファルファラが近付いてくる
「一度戻ってくれ、ファルファラ」
ファルファラは小さく不思議な歪み(?)を造りだしその中へ消える
奏太の脳内イメージに直通のゲートを通りファルファラの存在が現れる、予め造っておいた能力をファルファラに付加する
「よし、『コール』ファルファラ」
ツール・バックから少し大きな腕時計の様な物を左腕へ、ファルファラを右腕のブレスレットへ装着する
電子音1[ロック]
電子音2[レリーズ]
ファルファラを180度横回転させヒップホーンを背へ折る
電子音1[チェンジ・オープン]
電子音2[プロトタイプ・パピヨン]
今回は軽装形態に直に変身する
「いいぞ残っている、使うならこの三つかな」
腕時計型の装飾には文字盤がなく三つの挿入口がありソコへペンダントを入れ回す
「先ずはこの娘の回復だ、出てくれ」
電子音1[パッションフルーツ]
電子音2[能力30%限定使用]
果実を模った立体物が右腕を包み弾ける、その腕には大き目の片手銃が握られている
銃の側面に有るパネルを操作し弾丸を選ぶ
電子音[オートヒール・バレット]
オートヒール・バレット
魔法であれば対象者を一定の時間を治癒魔法が働き癒し続けるモノだ
メリットは術者に関係無く作用する事
デメリットは治癒力や速度を調節出来ない事だ
それを特殊な弾丸(当たっても小さな痣が出来る程度)に付加したものだが残念ながら今現在のバレットは魔法ではなく特製(?)の薬剤で代用したものだ
先ずは自分にと腕に銃口を向け、破裂音と強めの衝撃
撃った腕からジワジワと力が戻る様な感覚がする、取り敢えずは成功か…
そして次は彼女だ
「やっぱり気が引けるよな」
傷が付かないと解っていても銃を、特に女性へ向け撃つのは抵抗があった
「いや、今はやらなくちゃ」
持続時間は10750秒(約3時間)
治癒出力は50%
治癒速度は30%
ゆっくりと引き金を引き鈍い衝撃と破裂音
彼女に当たった瞬間、特殊弾は粒子になって消え、着弾点から時々薄緑色の光が漏れ体に広がっていく
固唾を呑み見守っていたが肌が露出している腕や足の傷は見る見ると塞がっていくのを確認してから左脇腹を貫通していた槍の頭を引き抜く
多量の血液が流れ出すが直ぐに血は止まる
思ったより効果が強い様だ
「ファルファラ、奴等の場所を教えてくれ」
先の戦闘では外の状況が見えるだけだったが今度は少しアップグレードしてH.M.D.(ベッド・マウント・ディスプレイ)へ変更され簡易人工知能(擬き)を追加し情報の収集・処理、そして戦闘時のサポートを受けられる様になったり他にも空想で考えた武器の整理も出来る様になった筈だ
僅かなロード表示の後に粗い立体地図が映し出される、続いて白く小さい鋭角三角形と黄色の丸が表示される
鋭角三角形か自分の現在地と向いている方向、黄色の丸は目的地だろう
再び女性へ視線を移す
脇腹の傷が塞がりだす
「…よし、連れて行こう」
エルフの女性を背負い片手銃の設定をする
電子音[ノーマル・バレット]
「よし、辛いけどもう少しだから頑張ってくれ」
相手は答えないが声をかけずにはいられなかった
女性を背負い直し、駆ける
……
…
「ここか、やっと着いた」
マーカーが付いていた拠点(?)はこの街では一番高い(三階位の)煉瓦造りの建物だ、今はそれを物陰からうかがっている
此処に来るまでにいったい何人倒して、いや殺しただろうか
発砲音が次から次へ敵を呼んでしまい今更ながらサイレント機能を付ければ良かったと思っていた
「ぉ?誰か来たな」
拠点の入口に何かリヤカーの様な物を引いて盗賊の鎧を纏った女が入って行く
荷台には何か壺や木箱、それに数人の縛られた女性がいた
「あの女も盗賊なのか?ん、入るなら今か?」
リヤカーに続いて入口から様子を見る
「…倉庫、なのか?」
中は薄暗く多数の棚に壺や木箱が並べられ札の様な物が付けてある、その内の幾つかを男が漁っていた
「おいテメェ!!なに独り占めしてんだよ、アタイにも寄越しな!!」
漁る男がビクッ!!と跳ね上がる
「何だ姉御か、驚かさないで下さいよ」
「いいからアタイにも寄越しな」
「姉御、一応この中は羊皮紙ばっかですよ、何かの記録みたいですが俺字読めないんで」
「食い物じゃないのかぃ?じゃあその隣の、いや違うソレだ、ソレは食い物だよ」
「本当だ、姉御コレは干肉だ!!」
「どれどれ?へぇ、コレはなかなかの物だね、おっとコッチは念願の酒だよ!」
「本当ですか姉御!」
二人は物色に夢中でコッチには気付いていないらしい
「どうやらココには奴等しか居ないみたいだな」
H.M.D.には通常表示とは別に暖色系と寒色系のグラデーションに彩られたウィンドウ、サーモグラフィがソレを示している
リヤカーに近付き中を見ると一番手前の若い女と目が合ってしまう
顔が引き攣り今にも悲鳴を上げそうだ
「シッ!静に…」
口許に指を立て『騒ぐな』とジェスチャーをする
この格好で大丈夫か?と思ったが若い女はガクガクと大袈裟な動作で頷き顔を涙でぐしゃぐしゃにする
エルフの女性をリヤカーの影に隠し若い女の足を縛る縄を解き再び『動くな』とジェスチャーしてから行動に出る
電子音[ウェポン・セレクト、ブレイド]
剣を選択し、『ファルファラ』の側面のボタンを押しながら尻の部分を開き素早くまた折り戻す
電子音1[ボディ・チャージ]
電子音2[カウント、スタートⅤ]
ファルファラから粒子状のエネルギーが体に流れ周りの色が薄れていくと同時に駆ける
「あ?、誰かいるの…」
男が気付いた時にはカウントはⅣを刻みⅢを刻む頃には剣が首に突き刺さり仰向けに倒れる
女の方は驚きの表情で固まっている、ソコで女の口を縄で縛り塞ぐ
何故か目の前の事を平然と見ていられる
何故か淡々と行動に移せる
背後から女の両腕を掴み縄跳びを飛ぶ様に地面を蹴り移動する
電子音[カウント、ZERO]
それと同時に背中を蹴り出し腕を引く
ゴキュア!!
「ムグウゥ~~?!!」
周りに色が戻ると同時に小気味いい音と女のくぐもった呻き声が上がりその場に崩れる
リヤカーに戻り若い女の猿轡(縄)を解き話し掛ける
「大丈夫?」
「……」
「参ったな…言葉通じてるのか?」
どうしたモノかと思案しながら後ろ手に縛られた縄も解いていくと女はボソボソと話し出す
「…アンタも殺すんだろ」
「何で?ってなんだよ通じるじゃんか」
「…アンタ、何者だい?」
「さぁね、通りすがりの放浪者かな」
「何で私を助けるんだ?」
「……」
女の問いには答えず盗賊女の足を縛り上げる
猿轡をされ両足を縛られ腕は各々が奇妙に折れ曲がっていて骨折しているのが一目で解る
「…見捨てられないからだよ」
「……え?」
「ソレよりちょっと手伝ってよ、まだ…死にたくないでしょ?」
「…もう終わりだ、彼奴等がここまで攻め入ったんだ、この街はもう終わりだよ」
「そっかわかった、じゃあソコで待っててよ、終らせてくるから」
「ふっアンタに何が出来るのさ…強くても出来ないモノは出来ないよ」
「人はしぶといと思うけど?じゃあ」
女性がブツブツと何か言っていたが構わず二階へ進む
サーモグラフィを出して周囲を探るが二階には誰も居ないようだ
(不用心だな、だけど助かる)
頭上を透かせば五つと少ない部屋数と15ほどの人影が映る
階段に1人、廊下から一番手前の右側に3人、左側に3人、一つ奥の左側に4人、一番奥の部屋に4人、先ずは階段に居る1人を黙らせるのがいいだろう
電子音1[ウェポン・セレクト、ブレイド]
電子音2[ボディ・チャージ]
電子音3[カウント、スタートⅤ]
何度か使った簡易加速機能とパワーアシストを使い階段を駆け上がり男の首を一発で圧し折りその勢いのまま右部屋の壁を破り入る
思ったより厚い壁を抜けたその破片を通り越した先には2人の男に嬲られる若い女がいた
「!ッやっぱりそうなるよな」
棒を持つ男は首に剣を突き立て蹴り飛ばしもう1人は鞭(?)を持つ腕を切り落とした後に首を一閃しそのまま扉を破り左側の部屋へ入る
中には男が1人女が2人(内1人は倒れている)でやはり嬲りの真最中であった
僅かに反応した男だが直ぐ様腰の大型片手銃を頭部に受けて沈んだ
電子音1[カウント、ZERO]
電子音2[リミット・オーバー]
周りの色が戻り先程までの嬌声が響くがそれも直ぐに悲鳴へと変わる
「しまった!!やっちまったよ」
ファルファラに備わる加速機能は加速のみの『ボディ・チャージ』は連続3回、技を使う『スターライト・○○』は1回使用するとリミッターがかかり放熱とエネルギーチャージに各々60秒が必要になる
兎に角まだ息の有る男の首へ剣を突き立てる
「何だ!?何があった!!」
慌ただしく扉を開け男が出てくる
「あ、兄貴自分が見ますだ!!」
「ん、頼んだ」
「ちょっと待った!!」
変身を解いてから盗賊達と向き合う
「大将は何処だ?」
「こいつ、このガキだ!!」
少し小柄だが筋肉質で見るからにパワーアタッカーな男
「…どこの者だ?、風の(ヴィント)王国じゃあないな」
幾多の戦場を潜り抜けたであろう威圧を放つ大男が言う
「風の王国?何ソレ、俺は通りすがりの放浪者でアンタを壊す者だ」
「威勢は良いがガキが俺に敵うのか?」
「やってみれば解るさ、来ないならコッチから―――」
突然目の前に現れた火球が奏太を飲み込む
「ギッヒッヒヒ!!、馬鹿が!!」
「お前は黙っていろ」
背は高いが他2人に比べると細い男から黒味掛かった黄色い『風』の残滓が私が魔法を放ちましたと言っている
「まぁ殺っちまった物は仕方ねぇ、下っ端呼び集めろ」
「へい、解りやした!!」
各々が別々に気をやるなか近付いて来る下っ端に拳を叩き込む
「がぇ!!」
「痛ったいなあもう!」
拳は鼻に直撃したが喧嘩すら数える程しかした事がない奏太には殴る『痛み』も初めての体験だった
「お頭、こいつ只者じゃあない」
「魔法を弾くたぁお前マジシャンか?」
電子音[チャージ、OK]
「っ?!よし!!」
「こいつ恥かかせやがって、ぶっ殺す!!」
小柄筋肉が斧を手に振りかぶってくる
電子音1[ロック]
電子音2[レリーズ]
「ぐっ変身!!」
粒子が吹き出し体のパーツを象ったレリーフと紋章の様なマークが飛び回り男が降り下ろした斧を弾き返す
電子音[チェンジ・オープン]
粒子とマークが体に集束して弾ける
そして鎧と言うには異形が姿を現す
「危なかったな、装着完了さぁ行くゼ!!」
直ぐに斧を掴み小柄な筋肉を抑えるが経験の差か男は斧を離し体が後ろに引っ張られる様な重い拳を叩き込んで来た
(大丈夫だ、いける)
「かっ硬え!?」
ソレから何度も拳で斧で攻撃されたが傷は付いても決定打は無かった
左腕の円盤を回しペンダントを切り替える
電子音1[ピーチ]
電子音2[機能30%限定使用]
腰の銃が消え代わりに木の棒の先に桃を象った刃が付いた武器が現れる
「せいや!」
ギャギン!!
互いの武器がぶつかり合い火花を散らす
今度はコッチから蹴りを放つがやはり避けられ距離を取られた、だが
「だあぁぁ!!」
直ぐにアシストを最大まで使ったタックルを仕掛ける
「ぬうぉ?ウガ!?」
ソレを受け止めようとした男だが止めきれずに扉を突き破り転がり込む
「イヤアアアアア!!」
突然複数の女の悲鳴が上がり一瞬思考が停止するが直ぐ様男を視認しる
男が斧を振り上げる、こちらもピーチアックスを振るう
ギャギン!!
鋭い金属音が鳴り響く
奏太の武器は男の脇腹から胸にかけて肉を切り裂く、一方男の斧は外装に刺さっていたが貫く事はなかった
「ウギェ!?がふっ!!」
ブシュッと赤い液体が吹き出し彼女達を染めていく、小柄筋肉は直ぐに動かなくなる
「ほぅアイツを倒したか…戦い方は素人、例えエンチャント・アーマーを使ったとしても遅れを取る奴じゃない筈だが?」
「頭、次は私が行きます」
「そうだな、お前は内のNo.2だから大丈夫だろ、小僧コイツは俺の次に強いからな」
「来いよ、手加減は出来ないけどね」
「…行きます」
傍らから二本の洋刀を取り出し駆けて来る
「…っ!」
掛け声も無しに素早い斬撃が二つ迫る
「うお!?」
直ぐ様ピーチアックスを振り出すが絡める様に弾き飛ばされ鋭い斬撃を受ける
「確かに硬い、だが只硬いだけでは!!」
双剣に加え蹴りを胸に放ってくる
ドンッ!!
素早くて手数の多い攻撃は意外過ぎる程に重く反動で体が後ろに滑り斧が装甲に若干めり込む
「やはり攻撃を一点に集めれば倒せなくはない、お前の負けだ」
「幾ら良いレアアーマーを付けたって壊せばいいって訳だな?」
「えぇアナタが倒れるのは時間の問題です」
二人の中では既に勝ちは決まっている様だった
「ふぅ…確かに俺は落ちたばかりで喧嘩も戦いも素人で装備もボロボロだ、だけどね…舐め過ぎでしょ?」
「ぁ?、行きます」
しなやかな動きで幾つもの斬撃を再び仕掛けてくる
「…今だ!!」
ファルファラのヒップホーンを折り曲げ軽兵装へと形態を変える
電子音[ブレイク・アーマー]
軽く外装に電撃が走り空気を吸い込みだす
バジィ!!
「なっ?!」
甲高い音と共に外装が弾け内部装甲が展開する
電子音[チェンジ・プロトタイプ、パピオン]
「おお?コイツは見た事の無いレアアーマーだ!!」
「…絡繰が多いモノですね」
No.2が弾き飛ばした外装片を避けつつ距離を開ける
「…」
「ですが重厚な鎧を脱いだら身軽になるぶん…素人が我等には敵わない」
「このNo.2はウチ等の中でも最高の速さと手数を持つんだぜ、硬い鎧を捨てた素人が勝てる見込みは無いよな」
電子音[ウェポン・セレクト、ツインソード]
「勿論解っているさ、だから…」
ファルファラへエネルギーをチャージする
電子音1[チャージ、3.2.1.マキシマム]
電子音2[バイパスオープン]
電子音3[カウント、スタートⅤ]
チャージした粒子が迸り周りの色が薄れていく
一瞬にして長身男の動きの速さを無にする
腕、足、胴、そして武器へ休み無い斬撃を浴びせていく、アシストパワーを加えているのでダメージは通っている筈だ
電子音[カウント、ZERO]
長身男の双剣が砕け散る
「お前、どうやって!?」
大男が驚きの声を上げる、多分瞬間移動した様に見えただろう
「取って置きは直ぐに出さないものだよ、ス
ターライト・カッティング!!」
電子音[スターライト・カッティング]
双剣を重ね合わせ大きな鋏にし胸にタックルをする
「や、ヤメロー!!」
大男が叫ぶ
「ぐあっ」
双剣男が絶望と混乱に固まる
「これで終わりだ」
壁に追い込み首に鋏を宛がい力を籠める
ごとっ
鈍い音を立て首が落ちる、そして体がビクビクと痙攣しはじめ崩れ落ちる
「て、てめえヤってくれたな!!」
「だから舐め過ぎだって言ったでしょう」
盗賊のボスは明らさまな怒りを放出してくるがそれも当然だろう、素早さに長けた長身男なら兎も角目の前の男はスピードではなくパワーに重きを置くハンマーのパワーアタッカーである、多分だが感覚的には数秒で勝敗が決まりまたNo.2も失ったのだ、怒らない方がおかしいだろう(まぁ自業自得なのだが…)
最後に残った男は傍らの大きなハンマーを手に歩み出る
「ここまで派手にヤってくれたんだ、只で帰れると思うなよ」
「ふっ…アンタがね」
ここは敢えて挑発をする
「っっ!!、こんなにコケにされたのは初めてだ、お前みたいな奴にこの俺が、レベル80が負けるわけ無いんだよ!!」
「え!?レベル…80?」
突然の異質な言葉が奏太の内心を掻き乱す
(レベルってゲームみたいなLv.か?ソレとも別の…?)
「死っねー!!」
意識を思考に持って行かれそうなところにハンマーが右から左へ振り下ろされる、素早いソレをバックステップで避けると部屋の壁に大きな穴が開く
(げっ当たったら意識くらいは簡単には飛ぶよなアレ)
ハンマーの威力に顔を青くしながら状況を確認するなか女達の悲鳴がまた上がる
(しまった、彼女達の事忘れてた)
この男は部屋の壁なんか関係無いのだ、女達を下手に動かすより速めにケリをつけた方が良いだろう
「油断してた訳じゃないけど、一か八か、だな」
既にチャージを済ませたファルファラの力を再び解放する
電子音1[ボディ・チャージ]
電子音2[カウント、スタートⅤ]
左腕の円盤を動かし再びピーチアックスを呼び出す
先ずは相手の武器を潰す為にハンマーの付け根を狙う
電子音[ウェポン・セレクト、ソード]
空いている方の腕に洋剣を装備して武器と大男に次々と斬撃を浴びせていく、だがカウントがⅢを告げる時大男のハンマーが弾ける様に飛ぶ
(なっ何で?)
今までファルファラの高速化はプロトタイプであれ今のところ上手く動いている、その力が働いている間に一部だけが自分と同じ様に加速するだろうか?
電子音[Ⅱ]
カウントが進むなか大男へ振り返りピーチアックスを振り下ろす
キャギィン!!
焦っていたのかパワーアシストが上手く乗らず鎧に弾かれる、だけどお陰でヒントを見つけられた
(腕が…動いてる?、高速化の間は動きが停止するばずだろ?)
電子音[カウントZERO]
大男の腕に動きが戻る
「っ、しまっ!」
高速化が停止し大男の攻撃を無防備に受けてしまう
壁をぶち破り階段まで飛ばされてしまう
「戦いの途中で動きを止めるなんて本当に馬鹿だな!!」
「ぐぁっうぐ!!」
(…体が軋むみたいだ、それに何故だか大男が恐い)
硬い外装甲を外している事に加えて無防備に攻撃を受けたために通ったダメージが大きく成ってしまった様だ
「どうした、もう終わりか?ヤッパリレベルがモノを…ん?」
大男が視線を反らすに合わせて自分も視線を向ける
(女?)
大男は女達に視線を移したらしい、この状況ではその内戦闘に巻き込まれ命を落とすだろう
再び燻っていたモノが一瞬にして大きな炎の様に燃え上がる
(…僕はそんなの望んじゃいない!!)
「ウオオオ!!」
先程から沸き起こる恐怖を怒りで無理矢理に押さえ付ける
形振り構わず大男にアシスト全開のタックルを見舞う
「っく、お前はまだわかんねえのか!!」
不意を付いたつもりだったがソコは経験の差か受け止められる
大丈夫だよ アナタは負けないよ
脳裏に『彼女』の言葉がまた聞こえた
「そんなの分かんないね、あぁ俺は負けない!!」
自分が決めた事と恐怖がせめぎ合うなかで必死に全身に力を込める
「ググっ巫山戯るな!!何で、この俺がこんな奴に、負けるわけが無いだろ!!」
押し返そうと力を込めるが上手くいかない大男が吠える
(頼む、逃げてくれ!)
そう思うも彼女達は動かない、動けないのだ
(あぁ、あの表情は僕と同じ『怯え』、だったら…)
アシストパワーを全快にして一気に大男を引寄せる
「ぅおおりゃぁぁ!!」
「ぬお!?何を…ぐはっ?!」
相手の力を利用した巴投げを見様見真似でやった為か奇妙な投げが良かったのか大男が隣の部屋へもんどり打ちながら突っ込む
(頼む、逃げて…)
「皆!コッチよ!早く逃げて!」
奏太が指示するよりも早く誰かの声が響き彼女達が階段へ向かうのを確認する
直ぐ様ファルファラのヒップホーンを折り戻しエネルギーをチャージする
電子音[チャージ、3.2.1.マキシマム]
ウエストツールバックからナイフの柄を取り出す
粉塵が舞うなかH.M.D.のサーモグラフィには丁度立ち上がる大男とその下を通る八つの影が映る
「コッチから行くゼ、おっさん」
電子音1[バイパスオープン]
電子音2[カウント、スタートⅤ]
高速化のなかで相手が止まって見えるのは多分自分が限り無く速く動いているからで間違いない、でもイメージでは『時を止める』と言う仕様で作ったが実際には『時は止まってない』、自分の動きを最大限に高めているだけで多分その速さにも限界もあるだろう、そうイメージの産物とこの世界には差異がある
(だったら隙をあたえない連撃だ)
高速化になり駆ける
大男を蹴りあげ立たせる、続いて輝く刃を持つナイフで二閃し鎧を破壊する、また拳と蹴りで壁に追い込む
カウントがⅢを告げた後ファルファラのヒップホーンを再び開き戻しカウントを中止する
電子音1[カウント・パージ]
「スターライト・パニッシャー!!」
電子音2[スターライト・パニッシャー]
全身から粒子が溢れその場からムーンサルトの様に後方へ回転しながら跳び空中で相手を再度捕捉する、そして背中から後方へ粒子を解放し一気に加速し、粒子を収束させた蹴りを叩き込む
「うらあああぁ!!」
蹴りは大男の胸に吸い込まれる様に当たる
「ぬがああぁ?!」
イメージではこのまま相手を戦闘不能状態へ陥らせる筈だが実際はどうだろうか…
「うがっガアア!?がああぁ?!」
「うらあああぁ!!!!」
電子音[チャージ・ブレイク]
ドッガン!!
電子音の音声と共に足に収束させた粒子が弾け相手へ収束と同時に爆発し辺りは粉塵に包まれる
最近は寒いから風邪には気を付けてね
2014.01.20 投稿