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第22話 落ちた獣 ①


D支部の開発室では、最先端HA技術の試験が常時行われていた。

D支部がE.B.Bによる被害が深刻である地区に置かれているのは、HA技術の試験に最も適しているからだ。

万が一事故が起きたとしても、住宅街の類は存在しないので被害も最小限に抑える事も出来る。

それ故、D支部には行き過ぎた技術が開発される事は珍しくはない。

過去に『G3』といった代物を生み出してしまったのだから。


メシア内で最も最先端技術を担うD支部にアッシュベルが足を踏み入れた理由は他でもない。

ι・ブレードの解析を行う為だ。

アッシュベルは独自の研究施設を確かに持ってはいるが、それだけではι・ブレードの解析を行うことが出来ない。

完全な解析を行うにはどうしてもD支部の最先端設備が必要だった。

今ではD支部も新生メシアの配下に置かれており、アッシュベルは今まで以上にD支部の開発力に力を注いでいた。

メシアが敷いていた技術規制も全て解除し、今ではD支部は文字通り自由な開発が行える環境となっている。

D支部に所属していた技術者にとっては、自分の技術を惜しみもなく注げるので以前に比べれば素晴らしい環境になったと言う歓喜の言葉しか聞こえてこなかった。


「その技術力で、己の首を絞める事にならねばいいがね」


アッシュベルはι・ブレードの解析を行いながら、ブツブツと一人で呟いていた。

ι・ブレードは『未乃 健三』が作り出した対アッシュベルのHAだと聞く。

その力の秘密となるのは、やはりあの時見せた白い輝き……ι・ブレードの共鳴がカギとなるのだろう。

使用されている装甲や武装、疑似的な共鳴を可能とする『ιシステム』といった技術。

それはアッシュベルの手に掛かれば、再現をする事は容易だった。

むしろアッシュベルは本来のコンセプトに忠実に従い、コスト面などの問題をクリアした『量産型』のι・ブレードまで生み出してしまったのだ。

これで『AI機能』まで搭載されれば、まさにι・ブレードは完成体となるだろう。


しかし、アッシュベルが求める力はそうではない。

ι・ブレードの見せた共鳴、そして健三が隠し続けた『コア』の秘密。

アッシュベルはその答えに、一歩ずつ近づいていた。

ι・ブレードは、何故か特定の人間でしか起動することが出来ない特殊な仕掛けが施されている。

何故、量産を前提としたι・ブレードにそのような技術を搭載したのか。

ι・ブレードに携わった技術者なら、誰もが疑問に感じただろう。

しかし、アッシュベルはその理由に気づいていた。

恐らく、パイロットの制限は意図的に仕掛けられたものではない。

『偶然』そうなってしまったのだと。


HAの動力源にはエターナルブライトが使用されている。

当然ながら動力源が機能しなければHAという兵器を動かす事は出来ない。

HAで使われるエターナルブライトはE.B.Bのコアと同質であり、動力源をコアと同一視する技術者は多い。

アッシュベル自身も動力源をコアと呼ぶ科学者の一人だ。

ι・ブレードのコアは他のHAと比べても異質であり特別な力を秘めているのは間違いなかった。


「やはり、私の推測は正しかったようだ。 ここに隠していたのだな、未乃 健三よ」


アッシュベルはι・ブレードのコア部を睨み付けて、ニヤリと笑う。


「これだけのデータがあれば十分だろう、後は私自らの手で導き出して見せよう……貴様の成し遂げた禁断の術の解とやらをな。

もはやι・ブレードは不要だ、いずれパイロットも亡き者となり完全な置物となるだろう。 ま、精々研究者の実験道具にされるがいい」


不敵な笑みを浮かべ、アッシュベルはι・ブレードを背に開発室を後にしていった。









D支部の監獄、晶は未だに捕らわれたまま身動きを取れていなかった。

一体どれくらい時間が経過しているのか、いつまでこんな状況が続くのか。

晶はほとんど飲まず食わずの状態で、監獄の隅に背中を預けて倒れていた。

頬がやつれて目からも生気をほとんど感じない。

既に脱水症状まで起きており、もはや晶の体は限界に近い。

晶の目の前には乾ききったパンとサラダ、そしてコップ一杯の水が置かれている。

毎日毎日取り換えられているが、この状況でも晶は決して口にしなかった。


カツン、カツン。

牢獄中に足音が響き渡った。

足音はゆっくりと近づいてくるが、晶は何一つ反応を見せなかった。

カツン、と足音が止まると鉄格子越しに2メートル近くの大男が姿を現していた。

鉄格子の鍵を開くと、大男は片手に料理を乗せたトレーを持っている。

ご飯とみそ汁と漬物といった、和風の簡易的な料理だ。

大男を何も語らずに、手が付けられていない料理を下げて新たに運んできた料理と入れ替えた。

晶はその姿を見向きもしないで、ただ俯いたまま黙り込んでいた。

大男はギロリと晶を睨み付けた。


「貴様、そろそろ本気で死にかねんぞ」


「……誰が、お前達のなんか――」


突如晶は、ガクンッと力なく項垂れた。

もはや喋る気力すら残されていない。

大男は片手に水の入ったコップを手にし、項垂れた晶の頭を鷲掴みにする。

無理やり上あごを持ちあげ口を開かせ、強引に水を流し込み始めた。

当然ながら晶は咳きこんで水を吐き出してしまった。


「ゲホッゲホッ――、な、何するんだよっ!」


「命を粗末にするな、餓死は最も過酷な死だぞ。 毒は盛っていない、さっさと食え。 貴様の両手も既に自由にしてあるはずだ」


晶は大男に言われ両手を確認すると、いつの間にか縄が解け晶の両手は自由になっていた。

それだけではない、アッシュベルに撃たれた右腕と右肩も傷の手当がしっかりとされていたのだ。


「見ていろ」


大男は一通り晶の目の前で差し出した料理に手を付け始める。

ご飯を一口頬張り、味噌汁を啜り、漬物一口と全て口に運んだ。


「見ろ、俺は何ともない。 この料理には毒は盛られていないということになる」


「……貴方は、一体?」


「元メシア所属の『ゲラス・グランダ』だ、今はD支部でテストパイロットを務めている」


「この傷の手当、貴方がしてくれたのですか?」


「ああ、死にかけたガキを放っておくのはいい気がしねぇからな」


元メシアと名乗るこの大男、もしやアッシュベルの配下ではないのだろうか。

意識がはっきりとした状態で晶は再度料理を目にすると、ここでようやく危機感を感じたのか何かを食べなければという衝動に駆られる。

思うように動かない体を動かしながら、晶は箸に手を付けた。


「ゆっくりと食えよ、全部吐き出しちまうかもしれねぇからな。 何せ2週間程何も口にしてねぇ状態だ、普通なら死んでてもおかしくはねぇ。 ったく、タフなガキなこった」


「いいんですか、俺は捕虜なんですよ」


「捕虜だって人間さ、飯ぐらい与えねぇでどうすんだ」


晶は料理を口に運んだ、体は気怠く食欲もあまりわかなかったか、久しぶりに口に運んだご飯の味は格別だった。

それを引き金とし、晶は空腹感に襲われ食が進みあっという間の料理を平らげた。


「そんだけ気力が残ってたらあと一週間ぐらいは生きれたかもしれねぇな、ガッハッハッハッハッ!」


ゲラスは口を大きく開き大笑いをした。

晶はその様子をただ呆然と眺めるだけだった。


「さっき元メシア兵だと言いましたよね、それまではメシア兵ではなかったんですか?」


「俺はずっとメシアに所属していた身よ、だがメシアはなくなっちまった。 今は新生メシアとして、新たに立ち上がっているがな」


「メシアが、なくなった?」


「小僧はここに籠りっぱなしだったから知らねぇかもしれないがな、世界からメシアという組織が消え去った。 いや、あのアッシュベルという男が滅ぼしたという。

奴は『プロジェクト:エターナル』の実施を宣言していた、世界中の人間を『進化』へと導き、E.B.Bの脅威から世界を救う為にな」


「それって、まさか――」


以前、晶がアッシュベルが口にしていた内容とまさに合致していた。

あの男は本気で世界中の人間にエターナルブライトによる改造を受けさせようとしているのだ。

そんな事が実現されてしまえば、世界中の人間がE.B.Bへと変化を遂げてしまう。

いくら世界を救うためと言えど、自らがE.B.Bとなってしまっては何の意味もないはずだ。

なのに、どうしてアッシュベルはそんな計画を実行に移したのだろうか?


「俺はな、アッシュベルの言う事には一理あると思っている。 メシアという組織が全人類を守るってのは荷が重すぎたんだ、世の中自分の身は自分で守る時代なのかもしれん」


「だからと言って、アッシュベルのやり方が正しいはずがないっ! 貴方は知っていますか? エターナルブライトを体内に取り込んだ人間は――」


「E.B.Bへと進化する……確か、そうだったな」


「その事実を知ってもなお、貴方は――」


「何も全て奴の言う通りにする必要はねぇ、世の中には戦う必要がねぇ人間はいてもいいはずさ。

メシアのように全てを守るのは無理だ、だが大切な家族や友人ならどうだ? それぞれが自らの大切な者を守る、その為に力を得るのならば……とな」


「だけど、それですべてが解決するわけでは――」


「その可能性すら否定しちまうなら、アッシュベルの理論が正解という事になっちまう。

多少の犠牲を出してでも、最終的に人類を生存させる手段を残せればいいんじゃねぇか?

ならば、守られるべき対象は『女』と『子供』だ、戦いは全ての男に任せればいい、簡単な話だろ?」


「……それでも人類が、負けてしまったら」


「アッシュベルが正しかったという事だ、全ての人類を『進化』させない限り勝利がないとすればな」


晶は戸惑いを隠しきれなかった。

人類とE.B.Bの戦いを避ける事はもはやできない。

E.B.Bが進化を続ける以上、いずれ人間には限界が訪れる事も理解している。

だが、その解決法が今のところエターナルブライトを駆使すること以外に残されていないというのも現実だ。

思えば人類が初めて対抗する手段を手にしたのも、エターナルブライトを利用した兵器『HA』があってこそなのだ。

E.B.BにHAが通じなくなった時、人類は完全なる敗北を迎える事となる。

その悪あがきの手段として残されているのが、人類自身の『進化』ということなのだろう。


一体どうすればE.B.Bとの戦いは終わるのか。

本当にそれしか道が残されていないのか?

晶は考えれば考える程、頭の中が真っ白になっていくのだった。


「時間だ、飯は定期的に運んできてやる。 テメェはまだまだ若いんだ、命を粗末にするような真似はするんじゃねぇぞ」


「……ありがとう、ございます」


「礼を言われる筋合いはねぇ」


ゲラスはスッと立ち上がると、ゆっくりと牢屋の鍵を閉めて外へと出て行った。

晶は響き渡る足音を名残惜しそうに聞いていた。

あの人とはもっと何かを話したかった。

晶は一方的にアッシュベルを否定する事しかできないが、ゲラスは違う。

全てが正しいとは言わないが、アッシュベルの理論を受け入れることが出来る人間だった。

とてもじゃないが、晶にはそういう器用な真似は出来ない。


「こんな事をしている場合じゃない、あの時みたいにどうにかして脱出をしないと――」


以前アヴェンジャーに捕まった時のように、何とか脱出する事が出来ないかと考えたが、その時とはまるで状況が違う。

鍵はしっかりと閉められているし、他に逃げられそうな場所は何一つ残されていない。

唯一の希望があるとすれば、あのゲラスという男が食事を運んでくる瞬間ぐらいだろう。

……しかし、晶の今の体力であの男から逃れる事が出来るとは思えない。

それにあれだけ優しい人を裏切るような行為をしてしまう事に、罪悪感を抱いてしまう。


「少し眠れば、いい案が思いつくはずさ」


疲れを感じたのか眠気がドッと襲い掛かってきた晶は、すぐに横になって深い眠りについた。







フリーアイゼンの通路。

シリアはトレーに1人前のカツ丼を持って歩いていた。

食糧の残りも少なく食堂は閉められており、各要員は食事制限がされている状況ではあるが、どうやらシリアが無理やり頼み込んだようだ。


「やっぱこれがなきゃ仕事なんて捗らないよなー」


しばらくの間食していなかった好物メニューではあるが、決して自分が食べる為に運んでいるわけではない。

ゼノスが飲まず食わずで作業を続けていると聞いて、シリアは差し入れとして持って行こうと考えていたのだ。


「しっかし、最近姉貴の姿みねぇな……一体何処にいるんだろうな」


アヴェンジャーとの決戦日以降、シリアはラティアとろくに会話をしていない。

最後に見たのが機体が回収された際に、脱出ポッドから降りた時にラティアが医務室に運ばれていた姿だ。

クルーによれば意識を失っていた状態だったらしいが、幸い命に別状はなく怪我も大したことがなかったらしい。

一回お見舞いをしたっきり、ラティアとは顔すら合わせていなかった。

思えばあの時から何処か元気がなかったように感じる。

そんな事を考えているうちに、ゼノスの作業部屋前まで辿り着いていた。


「おーっす、差し入れだぞゼノスーっ!」


バンッとシリアは乱暴に扉を開いた。

相変わらず部屋は資料の山で散らばっており、あらゆる機材の電源が入れっぱなしになっている。

ゼノスは端末のモニターの前で、眠っていた。


「お? ゼノスの寝顔とか珍しいじゃん、どれどれ写真を撮ってしまおう」


ニヤニヤとしながらシリアは携帯を取り出しカメラ機能を起動させる。

起こさないようにソッと近づき、カメラをゼノスの寝顔に合わせようとすると――

ピピピッ! という電信音が突如、端末から響き渡った。

するとゼノスはガバッと起き上がり、端末の操作を始める。


「うわっ、お、起きてたのかよ?」


「シリアか、何時からいた?」


「チッ、もうちょい寝てりゃよかったのにさ。 ついさっき差し入れを持ってきたんだ、ゼノスが飲まず食わずで作業に没頭してるって聞いてさ」


「そうか、すまない後にしてくれ」


「なんだよー、せっかくアタシが飯持ってきたんだからさー。 ちょっとぐらい休憩しようだとか――」


『待たせたな、暗号の解析がたった今終わった。 すぐに私のところまで来てくれないか?』


「了解、すぐに向かう」


ゼノスはフラムからの通信を確認すると、即座に席から立ち上がる。

シリアの横を素通りしていき、すぐに部屋の外へと出て行ってしまった。


「お、おい待てよっ! せっかく持ってきてやったんだからカツ丼食えって!」


シリアは慌ててカツ丼を片手に持って、ゼノスの後を追いかけた。







ゼノスが向かった先は、以前Drミケイルが私室として使用としていた部屋だった。

そこには端末も設備されており、データ解析等を行う環境は十分に整っている。

今ではフラム博士が私室を作業部屋として使用としていた。

端末の目の前で、フラムはメガネをかけてモニターを睨めつけている。

何故か髪はクッシャクシャに乱れている、いつもはもっと綺麗に整っているはずなのだが。


「うっわ、頭ボッサボサ……もしかして、女を捨ててる?」


「君には言われたくないがね、こう見えても私はまだまだ乙女のつもりだが? というか、何故君までここにいるのだね?」


「いや、アタシはゼノスにカツ丼を――」


「勝手についてきただけだ、邪魔にはならんはずだ。 すぐに結果を教えてくれ」


「うむ、よかろう。 思った以上に暗号の解析に苦戦してしまってな、思わず頭を乱れかきむしってみたところ驚くほど作業が捗り始めたのだ。

やはり我々のような技術者には多少なりともストレス解消方法という術を身に付ける事は重要なのだよ、今度はストレス解消のためのゲームを開発しようと思うのだがどうだね?

超無敵なスーパーロボットが貧弱な雑魚ロボット達を圧倒的な力で倒し続けるゲームだ、エフェクトはうんと派手にしてところどころムービーを挿入してだな――」


「それについては勝手にやってくれ、今は解析結果を頼む」


「やれやれ、そう慌てなくとも結果は出ているというのに」


フラムはこっそりと髪を整えながら、スッと席から立ち上がった。

するとテキパキとスクリーンとプロジェクターを用意し、そこから端末の映像を映し出した。

映像には何処かの地図が写されており、ところどころに赤い×印が記されている。


「まず一つ目、暗号文の中にι・ブレードと思われる記載があった。 内容によると、ι・ブレードは現在この地に留まっているという」


「ここは――」


フラムが端末を操作し、ズームアップされた箇所を見てゼノスはすぐにそこが何処なのか理解した。


「そう、ここはまさにD支部を示している。 つまり、ι・ブレードは今……D支部の中に捕らわれている可能性が高いという事だ」


「D支部っつーと、例のG3が奪われたあぶねぇ施設だろ? なんだってそこにι・ブレードが?」


「わからん……少なくとも、晶もそこにいると考えていいだろうな」


「問題はこの情報が果たして本当に正しい情報なのか? という事だ。 このメッセージはメシア本部から無差別に送付されたらしいな。

万が一だ、これが『フリーアイゼン』をおびき寄せる罠だという事も考えられる。 ι・ブレードは我々にとっては有力な主力の一人だ。

勿論、パイロット自身も大切な仲間ではあるし捕らわれているとすれば何としてでも救い出さねばならないと考えるのが自然だ」


「……なるほどな、アンタが解析できることを知った何者かが罠としてメッセージを送りつけた。 多人数に渡り無差別に送付させたのも、俺達の目くらましのための手段に過ぎない。

筋は通っているが、それでも俺は助けに行くぞ」


ゼノスはフラムと目を合わせながら、そう呟いた。


「いいのだな、あまり言いたくはないがパイロット自身がアッシュベル側についたという可能性も否定は出来ん。 それでも、行くのかね」


「晶が俺を裏切るはずがない」


「その通りさ、アイツがあんな奴の言う事聞くはずないさ」


「うむ、ならば止めはせん。 しかし、わざわざフリーアイゼンを動かしてまで行く必要はあるまい。

この旧メシア基地には幸い、輸送艦がいくつか用意されているようだ。 行くとすればそれらを使うのがいいだろう」


「その点に関しては艦長に話を通そう、行くぞシリア」


「お、おい、アタシを引っ張るなよっ!?」


ゼノスは晶の居場所だけ確認すると、すぐに出発しようとシリアの腕を掴んだ。


「まぁ待ちたまえ、君。 実は暗号文にはもう一つ、隠されたメッセージがあるのだよ」


「もう一つ?」


「そうだ、エターナルブライトに関する機密事項がメシア本部に隠されているらしい」


「エターナルブライトの、機密事項だと?」


「そうだ、恐らくメシアでもほとんど知ることが出来なかった『アッシュベルの研究成果』の事を指しているのだろうな。

……私はこれを見て確信したよ、この暗号を我々に送ったのは『未乃 健三』である事に間違いあるまい」


「……詳しくは後だ、今は晶の救出を優先させる」


ゼノスはそれだけ告げると、シリアは連れて部屋から立ち去っていった。


「未乃 健三、君は素晴らしい技術者の一人だ。 私は君に憧れていたというのに、何故危険を冒してまで我々にこれを?」


悲しい表情を見せながら、フラムは天井に向かってそう呟いた。


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