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    絶体絶命 ⑤


ブリッジルームは、驚くほど静かだった。

警告音が響き渡る中、モニターから映し出された映像に誰もが言葉を失っていた。

ゼノフラムが、爆発したのだ。

今までパイロット殺しと呼ばれるHAを乗り続けてたゼノスは、どんな窮地に陥っても生き残り続けた。

だが、今回ばかりはいくら不死身と名高いと言えど……無事ではすまない。


「……どうして、どうして?」


木葉はカクンと膝をついた。

せっかく晶がι・ブレードと共に帰ってきたのに……またしても命が失われたというのか。

力なく項垂れて、木葉は泣き崩れた。


「……状況を報告しろ、カイバラ」


「はい……G3、ι・ブレード共に沈黙。 ゼノフラムは……大破しました。

なお、E.B.Bは大規模な移動を開始しました。 恐らくは……近くの街を侵攻しにいったかと」


誰もが顔を青ざめさせた。

せっかくゼノフラムやι・ブレードが決死の思いで大型E.B.Bを倒したというのに……侵攻を防げなかったのだ。

このままE.B.Bを街に向かわせれば、あのシェルターのような悲劇が生まれる。

この状況ではどうすることもできない。

打つ手はもう、残されていないのだ。


「アヴェンジャーはどうしている?」


「今もなお、フリーアイゼンを包囲しております。 ……しかし、仕掛けてくる様子はありません。

警告に伴いクルー達の避難が既に始まっておりますが……この状況で無事脱出できるかどうかは……」


更にはアヴェンジャーの手により、フリーアイゼンが窮地に立たされていた。

ロングレンジキャノンの破壊により、何とか撃墜される事だけは逃れたが……結局のところ逃れる術を持ち合わせていない。

このままアヴェンジャーに、フリーアイゼンを乗っ取られてしまうのか。

もはや、逃れる事は……できないのか?


「……武器を取れ、アヴェンジャーを迎え撃つぞ」


艦長は護身用に手にしていた拳銃を手にし、静かにそう呟いた。


「なっ――無茶だ、そんな拳銃だけであいつらとやりあうのかよっ!?」


「奴らが仕掛けてこない以上、恐らくは艦を制圧しにくるはずだ。

戦えぬ者は脱出ポッドを使え、敵部隊が侵入すれば多少外はマシになるだろう」


「で、でもよ艦長……っ!」


「……パイロット達が我々を命懸けで我々を守ったのだぞ、だからこそフリーアイゼンは生きている。

ならば、我々が諦めていてはならない。 彼らに応えるのだ、必ず生きて帰るとっ!!」


艦長は、諦めていなかった。

現状に絶望せずに、まだ生きた瞳をしている。

その瞳には、揺るぎない決意が灯されていた。

他の者のほとんどが諦めてしまっている中、ただ一人道を示そうと立ち上がったのだ。

ライルは、そんな艦長の瞳に心を打たれた。


「……畜生っ! そんな武器じゃ無理に決まってんだろうがっ!! 確か倉庫にちっとマシな武器が積んであったはずだ。

万が一の時にしか使わないからってメンテがされてねぇけどなっ!! 急いでメンテすりゃ俺と艦長の分ぐらいは何とか使える状態に出来るはずだっ!」


「何を言っている、私も数に含めないかライル」


「リューテ? テメェ、そんなひょろっちい体で戦えるのかよ?」


「伊達に訓練は受けていないんでね、銃の扱いには慣れているのさ」


一度諦めかけたクルー達が、再び立ち上がる瞬間だった。


「……カイバラ、お前は艦内に避難警告を通達しろ。 そしてシラナギとその子を連れて逃げるんだ」


「いえ、お供します」


「正気か?」


「私のセリフですよ、それ。 ですが、嫌いではありません」


平常を装っているように見えたが、ヤヨイの手は震えていた。

本当はこの場から逃げ出したい気持ちがあるのだろう。

しかし、外に出たところで確実に生き残れる保証もない。

また、艦長が自ら戦うというのに、このまま逃げてしまうなんて真似はできなかった。


「おいおい、いいのか?」


「ええ、私が決めた事なので」


ヤヨイの言葉に迷いはなかった。

……死を覚悟しての、判断なのだろう。

逃れられないと知り、せめて抗おうとクルー達は再び立ち上がったのだ。


だが、木葉はそうはいかない。

ただでさえゼノフラムの爆発にショックを受け、絶望的な状況に置かれてひたすら泣き崩れている。


「……木葉ちゃん」


シラナギはそんな木葉の様子を、ただ複雑そうに眺めていた。

晶が帰ってくるという奇跡は起きたが、現状は変わらなかった。

もはや、これ以上の奇跡は起こらない。

アヴェンジャーの部隊は、正式ではないと言えどテロリストとしてメシアの各地を制圧してきた兵だ。

とてもじゃないが、実戦経験のないクルー達が敵うはずがない。

木葉に何て声をかけてあげればいいか、わからなかったのだ。


「……すまんな、この私がいながらクルーをこんな危険な目に逢わせて」


「今更だろ、艦長」


「艦なんてしょっちゅう落ちてますからね」


「まぁ、無茶しない艦長なんて艦長じゃありませんから」


皮肉のようにそれぞれが艦長に対してそう告げるが、悪くはない。

むしろ心地よい言葉のように、艦長には届いた。


「武器の準備を頼むぞ、ライル。 リューテとカイバラは避難状況の確認を急げ」


長期に渡る、無謀ともいえる戦いに備えて、艦長はクルー達にそう告げた。

その時――

フリーアイゼンに、一つの通信が入った。


「通信……だと?」


艦長は急いで通信先を確認する。

アヴェンジャーの連中ではない、このコードは――


「……まさかっ!」


その時、フリーアイゼンは僅かな希望が芽生えた。










モニター越しに移るのは、上半身が吹き飛ばされたゼノフラムと動きを止めたG3だった。

晶は俯いたまま、スロットルを握りしめたまま動かなかった。

こうしている間にも頭痛の激しさは増していく。

だが、それ以上に目の前に起きた悲劇に絶望していた。


……あの時、晶がG3を確実に仕留められていれば。

ムラクモの一撃さえ外していなければ、ゼノスはあんな行動に出なかったというのに。

何故、止められなかった。

どうして、G3をこの手で倒すことが出来なかったのか?

悔やんでも悔やんでも、悔やみきれなかった。


晶はふと、顔を上げると

その時、思わず言葉を失った。

G3がまだ、動いているのだ。

僅かにではあるが、確かに……動いている。

あれでも……まだ倒せないのか。

だが、激しい頭痛のせいでまともに機体を制御することはできない。


やらなければ……あのG3を、仕留めなければ。

ゼノスが刺し違えてでも破壊しようとした、人の手で作られた悪夢の兵器。

この手で、壊さなければ――


『残念だったなι……G3のサマールプラントはまだ生きている。 動けねぇテメェを仕留めるぐらい……楽勝なんだよ』


「お、俺の親友だけじゃ飽き足らず……ゼノス、までも……っ!!」


『……あの男が死ぬはずがないだろうが、この俺があの爆発で、死ななかったようにな』


「な……何だって……?」


ガジェロスから、信じられない言葉が告げられた。

……ゼノスが、死ぬはずがない?

勿論、敵が惑わそうとしているだけの可能性もあった。

だが、今更こんな状況で……そんな事をする意味はあるのか?


『……本当に、何もしらねぇガキなんだな。 まぁいい、単機じゃないと言えどG3をここまで追い込んだことは褒めてやるよ。

……だが、それも終わりだ。 安心しろ、お前の大事な仲間達は殺さずに生け捕りにしてやるよ。

そして、テメェの目の前で一人ずつ殺してやる……二度とお前が、外へ帰りたいと思わねぇようにな……』


「……そうは、させな――」


バタンッ――

突如、激しい目眩が発生し晶は倒れた。

コックピットから赤い光が灯され続ける。

だが、もはや立ち上がる事すらままならない。


―――晶


誰かが呼ぶ声が聞こえる。

女性の声、だろうか。

不思議な事に、頭の中に直接声をかけられているかのような感覚だった。

何処か懐かしさは感じるが……聞き覚えのない声。

この声は、一体……?


その時、いつか見た赤き優しい光が灯されていた。

不思議と心が落ち着いた。

何処か懐かしくて、安らぎをもたらしてくれる光。

……ιが守ってくれようとしているのか。


―――今は、眠って


再び、声が聞こえた。

こんな時に、眠ってられるか。

まだ、戦える……晶は必死で立ち上がろうとするが体が言う事を聞かない。

それどころか、たちまち眠気に襲われてしまった。


「ク……ソ――」


サブモニターには、何かの通信をキャッチした形跡が残されていた。

晶の知らない間に……何かがシステムで、操作されている。

そんな事に気づかずに晶は、気を失ってしまった――









ι・ブレードは、もはや動く気配はない。

このまま拠点へ連れ戻す事はできるだろうが、万が一パイロットが動けるようになっても困る。

流石に傷ついたG3では、ι・ブレードに太刀打ちできるはずがないのだから。

ゼノフラム……相変わらず、忌々しい機体とパイロットだ。

ガジェロスは上半身を吹き飛ばしたゼノフラムを見て、舌打ちをした。


「……ガキはこれだから、めんどくせぇんだよな」


どうやって脱出をしたか知らないが、まさかこれほどまでに追い込まれるとは夢に思っていなかった。

それに、ι・ブレードは確実にパワーアップしている。

全体的な性能向上は勿論……あの、謎の巨大な光の刃。

何処か主砲の原理と似ている……しかも、大型E.B.Bですら切断する恐ろしい一撃だった。

……たった一機のHAが、これほどまでの力を備えているとは。

ι・ブレードを必死になって追い続ける理由を、今更になってガジェロスは思い知らされた。


「……ま、終わりだ」


ガジェロスはサマールプラントを射出させようとした。


ドガァァァンッ!!

その時、コックピットのハッチが突如爆発し始めた。

バカな、もう動ける敵は残っていないはず……。

ガジェロスは後ろを振り向いた。


「なっ――」


そこに姿を現したのは、体中から血を流しているゼノスの姿だったのだ――

ハッチは原型を留めていない、ゼノス自らがその血だらけの拳で破壊したのだろう。

何処までもしつこく追ってくるゼノスに、思わず寒気すら感じてしまった。


「……今すぐG3から降りろ」


「そんな体で俺と生身で戦う気か? 万全のお前にならまだしても、今のテメェに俺の『G』が抑えられるはずがねぇぞ?」


「聞こえなかったか? 降りろ……と言っている」


「チッ……まずはテメェを――」


ガァンッ!!

目にも留まらぬ速さで、ゼノスの拳はガジェロスの顔面を捕える。

サングラスが粉々に砕け散ったが、ガジェロス自身にダメージはない。


ガンッ! ガンッ! ガンッ!!

まるで、鉄でも殴っているかのような音が響き続ける。

それでもゼノスは、殴るのを辞めなかった。


「……テメェ、一体俺のサングラスをいくつ割るつもりだっ!?」


「サングラスなぞ辞めてしまえばいい、貴様には似合っていない」


「余計なお世話だっ!」


ガジェロスはバケモノと化した右腕を使い、ゼノスを思いっきり吹き飛ばした。

だが、ハッチの寸前でゼノスはその場で留まる。

そこから追い打ちをかけるように、ガジェロスは右腕で鳩尾を狙った。


「……グッ!」


「テメェが降りろ……人様のコックピットに殴りこむパイロットが何処にいるんだ? この非常識な野郎がよ?」


「非常識なのは貴様だ……ただ一人の男に復讐をする為、罪のない人々の命を奪い続ける……それで誰が、救われる?」


ゼノスは何度も何度もガジェロスに殴られようと、その場にひたすら留まり続ける。

決して落とされまいとしがみついたまま、ガジェロスを睨み続けた。


「貴様にはわかるまい……俺の持つ『復讐』の深さをな。 もはや俺が生きる理由を持つには、『復讐』しかねぇんだよっ!!」


「復讐は新たな復讐の芽を生む、復讐は人を不幸にするだけだ……その先に幸福、救いはない」


ゼノスは力任せに、ガジェロスの胸倉をつかんだ。

ガァンッ!!

そのまま片手で、力任せにガジェロスを壁へと叩き付ける。


「テメェだって、薄汚い人間だろうが。 いくら綺麗事を並べようと、お前と俺に大差はねぇっ!」


「復讐に執着する貴様と一緒にするな。 だからこそ、俺はお前を裏切った」


「その口閉じろ……テメェの綺麗事を耳にすると虫唾が走るんだよ」


「なら、すぐ楽にしてやる」


その瞬間、ゼノスはガジェロスの頭に思い切り頭突きをかます。

強引に後ろへと回り込んで両手で思い切りガジェロスをハッチの外へと突き出した。


「ゼノス……っ!!」


ガジェロスの右腕から、無数の触手と赤い槍が飛び出す。

ゼノスはそれを避けようと、高く飛び上がった。


「そこで、寝てろっ!」


そのまま勢い良く、ゼノスはガジェロスに目掛けて蹴りをかました。

ズガァァァンッ!!

激しい爆発と共に、ガジェロスは地へと向けて落下していく。


「……後は、G3だけか」


あの一撃でガジェロスが死んだとは思えない。

再びコックピットへ上がってくる前に、ゼノスは何とかしてG3を処分しようと考えた。

かつて事故で多くの味方機を奪ったHA。

HAは、人の命を奪う兵器ではない。

人を守る為に作られた、人類の希望となるべき存在なのだ。

……アヴェンジャーの使い方は、間違っている。

こんな兵器を生み出してしまったメシアも、何処か道を踏み外してしまったのだ。


『アッハッハッハァッ!! 生身で戦うなんて、バッカみたいっ!! でも、そういうの大好きっ!!

ウヒヒ、私お兄さんなら愛してあげてもいいよぉぉぉっ!!!』


「……なっ!?」


コックピットへ戻った途端、ゼノスはG3に向けてレブルペインが攻め込んでくる姿を捕えた。

それだけではない、既に無数のレブルペインがフリーアイゼンの元へと集っていたのだ。


「グズグズしている暇はない……一刻も早く、艦へっ!!」


G3の破壊は後回しだ、とゼノスはG3を動かそうとした。

だが、まともに動く気配はない。

流石にあの爆発のダメージは尋常ではなかった。

本当に、辛うじて歩くことができるのとサマールプラントを使うことが出来る、だけだったのだ。


『ウヒヒ、そうだそうだ。 お兄さん、あの子とっても大事なんだよね。 ならさ、あの子倒しちゃえば本気出してくれる?』


「何……?」


レブルペインの先には、今は沈黙し続けている『ι・ブレード』の姿だった。


『鬼ごっこしようよ、アハハ。 早く私を捕まえてごらんなさーい、そしたら大好きって言ってあげるからぁぁっ!! アッハッハッハッハッハッハァッ!!』


「クッ……っ!」


何か使える武装はないのか。

バルカンは距離が足りない、サマールプラントはι・ブレードを傷つける恐れがある。

かと言ってキャノン砲も破壊されていれば、槍も既に大破していた。

駄目だ、どうする事も出来ない――


「晶……逃げろ、晶ぁぁぁっ!!!」


ゼノスの悲痛の叫びが、響き渡った瞬間――


バシュンッ!!

突如、2本の紫色の閃光が走る。

レブルペインが両足が、一瞬にして破壊された。


「何だ、あの光……?」


一体何が起きたのか、理解できなかった。

その時、ゼノスの目の前に空飛ぶHAの姿が目に入った。


黄色を中心としたカラーリングの戦闘機だ。

左右には2本のライフルが備えられており、翼の先は何処か鋭く見えた。


「あの機体、まさか――」


黄色いHAは、尋常ではない速度で空を駆け巡っていた。

空から勢いよく地上へと降下すると、信じられない事に……戦闘機が一瞬にして人型のHAへと姿を変えた。

人型へと姿を変えたHAは両手にサーベルを持ち、華麗なる動きで周囲のレベルペインを一瞬にして切り裂く。

更に襲い掛かってきたE.B.Bの残党の攻撃を素早く避けると、二本のサーベルは合体し、突如巨大なソードへと変化した。

圧倒的なリーチを誇るソードで、あっという間に周囲に群がるE.B.Bとレブルペインを全滅させてみせた。


「……間違いない、メシアが開発していた可変型HA『レビンフラックス』だ……パイロットは誰だ?」


『あら、敵さんのHAから懐かしい声がしますね?』


「……ラティアなのか? まさか、『ソルセブン』かっ!?」


『その通りだよ、ゼノス君』


その時、空から無数のウィッシュ軍団が訪れた。

いや、ただのウィッシュではない……スカイパーツを用いた飛行可能となった『スカイウィッシュ』だ。

ここ数年で、ようやく実現されたHA技術の一つである。

そしてその後ろを続くように現れたのが……巨大な赤い戦艦だった。

フリーアイゼンと比べても、圧倒的な大きさを誇るその艦はメシア内でも有数の『レギス・アダマント級』

赤きボディとその圧倒的な存在感から、『ソルセブン』と名付けられている大規模な戦闘の際に使用される戦艦だ。


「やはりイリュードか……!」


『すまないな、助けに来るのが遅くなってしまったよ。 ところで君、何故G3に搭乗している?』


ようやく、逆転の兆しが見えてきた。

メシアの主力艦が援軍に来てくれれば、もはや敵はない。

何百以上ものHAを格納できる大型艦だ。

この状況をひっくり返すのは、十分すぎる程の戦力である。


「話は後だ、それよりラティア……このG3を破壊してくれ」


『あら、いいのかしら? 遠慮なく行きますよ』


「奴が戻ってくる前に急いでくれっ!」


ゼノスはそう告げると、急いでG3から脱出を計った。

その後、猛スピードで移動してきたレビンフラックスが巨大なソードでG3を切り裂いて見せた。


ズガァァァァンッ!!

激しい爆発と共に、G3は木端微塵になった。

代償が大きすぎたが、何とかG3を破壊する事に成功した。

気が付けばガジェロスの姿は近くにない。

……爆発に巻き込まれた可能性もあるが、ガジェロスはその程度では死なない。


またいつか、敵として目の前に現れるだろう。

スカイウィッシュの一機が、ゼノスの元へと近づいてきた。

コックピットからロープを降ろされると、ゼノスはそれに捕まってよじ登る。


同時にι・ブレードも、2機のウィッシュによって回収されているのを確認した。

それを見届けると、ゼノスはようやくロープを上りきった。


「……っ!? な、なんて酷い怪我を……よ、よくロープで上ってこれたものだ……」


「気にするな、この程度の傷……慣れている」


「は、はぁ……わかりました。 アヴェンジャーとE.B.Bについては我々スカイウィッシュ部隊にお任せください」


「ああ、頼んだ」


長き辛い戦いに、ようやく終わりが訪れた。

まさかこれほどまで強力な助っ人が来るとは、夢にも思っていなかったのだ。

フリーアイゼンの部隊というのは、メシアにはそれほどの価値があると考えられているのか。

はたまた別の理由があるのかがわからない。

とにかく、援軍が来てくれた事で……形勢が逆転した。


今頃、アヴェンジャーの奴らは顔を真っ青にしているだろう。

そう考えていると、ゼノスは気を失った――


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