奪われた『G3』 ②
晶がブリッジルームへ訪れると、既にゼノスとシリアの姿がそこにあった。
何やら艦長と話し込んでいるようだが、深刻な表情を浮かべている。
その様子から見ても緊急事態が発生してしまったのは確実だ。
晶は恐る恐る、艦長の元へと訪れた。
「来たか、晶」
「な、何かあったんですか?」
「メシア本部から直に依頼が来たらしい、今回の任務は今までとは違うぞ」
「今までと、違う?」
やはりゼノスの表情は重い。
これまでいくつかE.B.Bの襲撃による討伐活動を繰り返してきてはいたが、こんな表情は見たことがない。
いつもなら無表情に近いゼノスの表情には、何処か『不安』や『焦り』を感じさせられた。
「我々に課せられた任務は『G3』の破壊、だ」
艦長が重い口を開き、晶にそう告げた。
「G3? な、なんでしょうかそれは」
「第S級汚染区域にて開発が進められていたHAだ。 正式名称がつけられる前に開発中止となったのだがな」
「汚染区域……ですか。 ど、どうして中止に?」
「……G3は、殺人兵器と成り果ててしまったのだよ」
「さ、殺人――」
晶の表情は一瞬にして青ざめた。
艦長の口から告げられた一言はあまりにも衝撃的過ぎる。
どうして、対E.B.Bを想定したHAが『殺人兵器』となってしまったのか?
「熱源探知による、E.B.Bの自動追尾機能が『人』にも影響を及ぼしたんだ。 その結果、大勢の人がHAに殺されてしまった。
過去に例のない、最低最悪な事件を引き起こしてしまったんだ」
ゼノスが口を開き、晶に事件について詳しく告げた。
「そ、そんな兵器がメシアで開発されていたんですか……。 そ、それの破壊ということは――」
「そういうこった、アヴェンジャーの奴らにそいつが奪われちまったのさ。
アタシ達はその『殺人兵器』を相手にしなきゃならなくなったらしい」
シリアから告げられた一言で、晶は事の重大さをようやく理解した。
まさかE.B.Bではなく、人が作り上げてしまった『殺人兵器』の破壊命令が下されるとは、誰が想像できたのだろうか。
「現在『G3』の捜索については、メシア全部隊で行われている。 本部内の意向では、『G3』はE.B.Bとして処理をする方針として決まった。
作戦行動については後程知らせよう……やれるかね、君達は」
「今まで何度もE.B.B相手に命を懸けて戦ってきた。 今更殺人兵器程度に恐れることはない」
「アタシもやるさ、アヴェンジャーの奴らは最近調子に乗ってるしな。 この前の借りもキッチリ返してやらないと気が済まないよ」
ゼノス、シリアの両名は迷わず艦長にそう告げる。
「君はどうだ、未乃 晶」
「……俺だってパイロットですよ、そんな危険なHA……ιで破壊してみせます」
声が震えていたが、晶は艦長にそう告げた。
今まで大型E.B.B等を相手にし続けて、命を懸けて戦ってきたのも事実ではある。
だが、今回は『人』が作り出した兵器なのだ。
危険を考えればE.B.Bと大差はないはずだというのに、晶の中ではこれまで以上に恐怖心が高まっていた。
「検討を祈るぞ」
艦長はそう告げると、静かにブリッジルームを立ち去って行く。
「人類が生み出した負の遺産『G3』……まさか奴らにその情報が渡っていたとはな」
「ど、どういうことですか?」
ゼノスは晶に向けて、そう呟いたが晶は何の事だかさっぱりわからなかった。
「元々メシア内では、『G3』については箝口令が敷かれていたんだ
「隠そうとしたんですか? ど、どうして?」
「意図的でなくとも殺人兵器として化してしまったHAの存在を世に知られてみろ、世界におけるメシアへの信頼は一気にガタ落ちだ。
もしメシアが信頼を失ってしまえば、世界中の人々は何を信じればいい? 下手すれば、アヴェンジャーのような奴らが増加し続けて世界は大混乱に陥るだろう。
だからこそメシアは全世界の希望であり続けなければならない、時には事実を隠すことも重要なのさ」
「……そ、そうなんですか」
「まぁ、バレたときはそれはそれでもっと問題になるんだろうけどね。 実際メシア内にもその事実は知れ渡って入るし、完全に隠すのは無理さ。
アタシもちょっと、そういう事実を隠すのには納得がいってないんだけどね」
「メシアにも、色々と事情があるんですね」
内部事情を知ってしまうと、晶は複雑そうな表情を浮かべる。
「問題は一刻も早くG3の行方を突き止めないと……お前の故郷のような悲劇が再び引き起こされるかもしれんということだ」
「そうだな、あいつらの行方が掴めない以上どうすることもできない。 何か手を打っておきたいところだけどねぇ」
「……あいつら、まだιを狙っているんですよね。 俺達に仕掛けてくる可能性だって、あるんじゃないんですか?」
これまでのアヴェンジャーの行動を振り返ると、ι・ブレードが今もなお狙われているのは事実だ。
あんな大規模な事件まで引き起こして、今更諦めるとも思えない。
もしそうであれば、フリーアイゼンに仕掛けてくる可能性があるのではないか? と考えたのだ。
「だろうな、本部の奴らもそれを理解した上で俺達に命じたんだろう。
ιの危険察知があれば、『G3』にも対応できると考えた可能性も否定できないが」
「ま、今は他の連中が探し回ってるしさ。 アタシらは報告を待っているしかないよ。
今日の訓練は中止にすっから、戦いに備えて体を休めとけよ」
「わ、わかりました」
シリアはそう告げると、ブリッジルームを立ち去っていく。
「俺はG3について調べてみる、確か艦内には映像データも存在するはずだからな」
「は、はい」
続いてゼノスもそう告げると、同じようにブリッジルームを去って行った。
晶は一人残され、呆然と立ち尽くす。
G3と呼ばれた機体、一体どのような恐ろしい兵器なのだろうか。
ゼノスやシリアが見せていた表情の重さからして、やはりただのHAではないことは推測できる。
……勝てるのだろうか、そんな『殺人兵器』に。
「……やるしか、ないだろ」
自分にそう言い聞かせ、晶は静かにその場を立ち去った――
アヴェンジャーが行ったG3の奪取により、メシア本部もようやく重い腰をあげて『対アヴェンジャー』に向けての活動に乗り出した。
だが、内部では人類同士で争う必要はないと、対アヴェンジャーに向けた活動を否定する者も少なくはない。
事実上、アヴェンジャーに向けた対策というのは『戦争』する、と同じ意味なのだから。
ゼノスは一人、その事を考えながら廊下を歩き続けていた。
未だにアヴェンジャーの目的については、不明。
今はただ、兵器を片っ端から集めるテロリストである認識でしかない。
だが、それ以上の疑問点は、アヴェンジャーの情報源だ。
ι・ブレードや、G3等といった情報は通常メシア外部の人間に入手できるようなものではない。
やはり、メシア内部で『アヴェンジャー』と繋がっている者が存在する、と考えるのが自然だ。
それを裏付けさせたのが、ι・ブレードを回収した後に奇襲を仕掛けてきた『一機のHA』……
通常、フリーアイゼンの位置情報を知り得るのは艦内の人間かそれを管轄する本部の人間だけだ。
砂漠地帯での襲撃も、偶然ではなく事前情報を持っての意図された活動だ。
何者かが、意図的にメシアを崩そうと企んでいるのか。
それとも、また『別の目的』が存在するのか。
どちらにせよ、人類にとって大きなメリットを感じられない行動であるのは事実だ。
考え事をしているうちに、ゼノスは倉庫室へと辿り着いた。
倉庫といっているものの、実際はゼノスの私室に近く、調べ物をするときは、ここに籠って作業をしている。
ガチャリ、とドアを開くと……そこにはゴソゴソと蠢く人影があった。
ゴチャゴチャと積まれた機材の中に、頭を突っ込んで探し物をしているように見える。
この間抜けな後ろ姿が誰なのかは、ピンク色のナース服を見てしまえばいとも簡単に想像できた。
「……何をしている、シラナギ」
「わわっ!? ゼ、ゼノスですかっ!?」
ゼノスの声に驚き、バッとシラナギが立ち上がった。
「脅かさないでくださいよ、ビックリしたじゃないですかー」
「脅かしたつもりはない、お前が背後を気にしないのが悪いだろう」
「私はゼノスと違って一般人です、一緒にしないでくださいっ!」
シラナギは頬を膨らませながら文句を告げる。
そんなシラナギの横を素通りして、資料が並べられている本棚の前へと立つ。
ずっしりと並べられた本からG3に関する資料を探そうとすると、シラナギが興味津々にゼノスの隣へと立った。
「ほほーう、また調べ物ですか? 本当よくここにきますよね、ゼノスは」
「まぁな、お前は何か探していたのか?」
「そーです、あのうるさいおっさんから頼まれたんです。 何やら、エターナルブライトに関する調査記録がほしいだとか」
「それならここにあるぞ」
ゼノスは手慣れた手付きで、資料を片っ端から手に取ってシラナギの両手へと置いた。
「わわっ、お、重たいですっ! 流石ゼノスですね、すぐ見つけてくれるなんてっ!」
「お前が見当違いなところを探し続けてただけだ、機材の山に資料を置いておくわけがないだろう」
「それもそうですね、じゃあ私はこれさっさと渡してきますっ! あ、ダジャレじゃないですよ?」
「待て」
シラナギが立ち去ろうとしたところを、ゼノスは呼び止めた。
「な、なんですか? もしかして、親父ギャグになってた事に、気づいてませんでした?」
「Dr.ミケイルが何故、エターナルブライトに関する資料を?」
「うーん? どうしてでしょうね?」
どうやらシラナギは何も疑問を抱いていないようだ。
少なくとも、医者である彼には無縁であるものだと思っていたのだが。
「他にも頼み事は何度かあったのか?」
「雑用なんていつも頼まれてますけど、大半放置しているんでよく覚えてないですよ。 あ、もしかして勝手に持ち出すのまずかったですか?」
「……いや、なんでもない」
「ならよかったです、じゃあ借りていきますからねー」
両手で資料を大事そうに抱えて、シラナギは立ち去って行った。
「……今は、『G3』について調べるべきだな」
ゼノスは手に取った資料に目を通した。
G3には、ゼノフラム開発において採用された技術が流用されているようだ。
公式では開発中止となったゼノフラムでも、いくつかの技術は認められており最新のHAに取り込まれているのは珍しくはない。
超重装甲を実現した『紫輝合金』を何十枚にも重ねたものは、ゼノフラムでも採用されているがその分機動性を大きく犠牲にしている。
大型のHAでなければ採用自体はされない事から、G3はゼノフラムと同様の大型HDである事が容易に想像できる。
そして問題となった熱源探知機を利用した『サマールプラント』。
開発当時は、自動的にE.B.Bを追尾してコアを貫く『槍状』のコードであったが……実際には人体そのものに反応をしてしまった。
その結果、味方機のウィッシュや基地内の人間は全てサマールプラントにより串刺しにされてしまったのだ。
パイロット自身には、プラントキャンセラーという機能が搭載されており、唯一サマールプラントからの熱源探知を無効化する機能が搭載されている。
これにより、パイロットの命だけは助かってしまったという話は聞いたこともある。
だが、見境なく人間に襲い掛かるなんて欠陥は開発段階で気づかれてもおかしくないはずだ。
何故、直前までこの事実を誰も知らなかったのかも気になる。
やはり、ゼノスから見ればこの事件は意図的に引き起こされたとしか思えなかった。
「もう少し、調べてみるとするか」
ゼノスは引き続き、『G3』の調査を進めた。
晶は自室へ戻ると、一人ベッドの上で考え事をしていた。
入隊してから大分日が経ち、少しずつではあるが訓練を通じて上達を実感できるようにはなってきている。
だが、やはり『危険察知』に頼ってばかりでウィッシュ等の一般的なHAに搭乗すれば、自分はあそこまでの活躍はできないだろう。
E.B.Bの襲撃を受け、全てを失った結果……新たに『ι』という力を手にして、念願のメシアへの入隊を果たせた。
本当は喜ぶべきことなのだろうが、そうもいかない。
第4シェルター東地区が襲われた時の事は、今思い返しても背筋がゾッとするほどの恐怖だ。
目の前で……『あの男』にクラスメイトを虐殺された。
忘れもしない、あれはまさしく『バケモノ』としか言いようがなかったのだから。
だが、日が経つにつれて木葉も大分ショックから立ち直ってきてはいる。
少しずつだが、新たな日常は手にできていた。
「親父は、襲撃の事も……俺がメシアへ入隊したことを知っているんだろうか」
未だに晶の父親からは、連絡が全く取れずにいる。
今となっては父親が何処で何をしているかも一切わからない。
父親は、何度か実家に帰ってくることはあったが、今はその実家そのものが消え去ってしまった。
帰ってきてから、初めて事実に気づくのだろうか。
コンコン
突如、ノック音が響いた。
「木葉だろ、入っていいよ」
多分木葉だろう、と晶は通した。
「あ、晶くん……」
何処か不安げな表情を見せて、木葉が扉を開ける。
例の殺人兵器について聞かされたのだろうか。
「シリアさんから聞いたの、新しい任務がきたって」
「心配しなくて大丈夫さ、E.B.B退治の時点で命懸けて戦ってんだからさ」
「そ、そうだけど……ちょっと、心配かなって」
木葉は俯きながら、そう呟いた。
やはり『殺人兵器』という言葉は、誰もが恐怖を抱く単語だ。
ある意味では『E.B.B』よりもよほど恐ろしい。
「木葉は自分の事で精一杯だろ? 俺なら大丈夫さ、こっちにはιの危険察知だってあるんだ。 必ず、生きて帰って見せる」
「う、うん……そう、だね」
心配させまいと、晶は強がってみせるが木葉の表情を曇ったままだ。
「ι・ブレードって、晶くんのお父さんが作ったんだよね?」
「あ、ああ……そうらしいけれど」
「だから、晶くんを守ってくれているのかな?」
「ど、どういう意味だよ」
「だってお父さんとお母さんって、子供の事はとても心配になるでしょ? HAが大好きなお父さんなら、子供を守るためのHAを作っちゃうんじゃないかなって」
「そんな馬鹿な話、あるわけないだろ。 あんなに最新技術を詰め込んでいるというのに、たかが俺なんかの……為、に?」
ふと、木葉の言葉を耳にしてある疑問について思い返す。
かつて、ι・ブレードは晶以外の人物が動かせたことがなかった。
そのι・ブレードが何故か晶の学園に保管されていたという事実。
そして父親が秘密裏に開発を進めていたという点。
何かの偶然が重なった、にしてはあまりにも揃いすぎていないだろうか?
それにどうして、そんな誰も乗れないはずの『ι・ブレード』を、アヴェンジャーがほしがっているのか?
「どうしたの、晶くん?」
「――あ、いや」
深く考えても答えは出ない、今は忘れよう。
「と、とにかく俺は……大丈夫だからさ、心配するなよ」
「……うん」
木葉は、ギュッ晶の手を握りしめて頷いた。
「絶対、死なないでね。 もう、私には……晶くんしかいない、から」
目尻に涙を浮かべながら、力弱く木葉は呟く。
木葉は、E.B.Bの襲撃によって全てを失った。
家も、家族も、親友もクラスメイトも何もかも。
晶もその苦しみはよくわかるし、同じ境遇ではある。
やはり、木葉自身はまだ乗り越えられていないのだ。
いつもは平然としているが、小刻みに震える手を見ると未だに何かを失う恐怖に怯えているのが伝わってきた。
今の木葉には支えが必要だ。 晶自身が、少しでも支えにならねければ――
「俺は死なない、木葉もみんなも、この手で守って見せるよ」
かつての親友の願いも込めて、晶は力強く木葉に伝えた。
握られた手を強く握り返して、少しでも木葉を安心させようとする。
晶と木葉の目線が逢って、二人は一瞬だけ目を逸らした。
その後、木葉は笑顔になって、頷いた。
「信じてるからね、晶くん」
とある廃墟に、3機のHAが存在した。
2機のHAは……例のアヴェンジャーが開発した『レブルペイン』だ。
そしてもう1機は、奪われた『G3』の姿だ。
何故こんな廃墟地に、3機のHAが待機しているのか。
コックピット内で、大欠伸しながらマンガを読んでいる少年の姿があった。
かつて晶のクラスメイトであった、『白柳 俊』である。
「いつになったら行動開始すんだよ、リーダーさんよ」
『少なくとも夜を待たなければフリーアイゼンに仕掛けることはできん。 大人しく待機していろ』
「へいへい……あー退屈だな、さっさとιとやらせてほしいのによぉ」
通信越しから聞こえる男の声を軽く聞き流しながら、再び俊は大欠伸をした。
彼らはアヴェンジャーとして、『ι・ブレード』の奪取を命じられた小部隊だ。
今は作戦に備えて待機中であった。
『ウヒヒッ、ιなんてどうでもいいじゃない。 あのお姉さん、生きているんでしょ? 私再会するのがすっごく、楽しみなの』
「その笑い方やめろって、お前可愛いのに勿体ないだろ?」
今度は少女の声が通信で届いてきた。
いつ聞いても気味の悪い笑い声は、味方であったとしても恐怖心を煽られる。
だが、俊にとってはただの気持ち悪い少女であるだけだった。
『君は強いけど、愛してあげられないの。 だって戦うと、凄く怒られちゃうし。 だからね、嫉妬はしちゃダメだよ?』
「誰が嫉妬なんてするんだよ、全くとんでもねぇ女だな……顔は可愛いくせによ」
『言ったはずだ、アヴェンジャーには貴様を含めてまともな人間はいないと』
「ハハッ、違いねぇ。 俺は唯一まともでありたかったけどな」
マンガを読みながらも俊は、ちらりとモニターから見える『G3』の姿を確認する。
緑色の巨体は、一見何の変哲もないHAに見えた。
だが、この中に『サマールプラント』と呼ばれる殺人武装が存在するのだ。
「殺人兵器、ねぇ……こんなものに頼らねぇとιを殺れねぇのか? なっさけねぇな」
『ιを奪うのは最優先の任務だ、このサマールプラントがあれば奴の危険察知にも容易に対応できるはずだろう。
かつて貴様が、偶然にも『ι』の危険察知に対応した時のようにな』
「だから、必要ねぇっつってんだよ。 そんなもんハンデの一つぐらいに思えばいいのによ、あー3人掛かりとかつまんねぇ任務になりそうだ」
『任務とは、貴様が楽しむために存在するものではない』
「いいだろうが、ちゃんとこなせばよ。 てか、その兵器って俺達にグサッと来るんじゃねぇだろうな? ま、そしたら俺はテメェを破壊してやるけどよ」
『その心配はない、既にお前たちのコックピットにはプラントキャンセラーが搭載されている。 サマールプラントの餌食になることはないだろう』
「ハッ、そうかよ? 全く、つまんねぇなクソッ。 そのG3ってやらを破壊する方が、よほど楽しそうだったのによ」
再び大欠伸をすると、俊はマンガ本をぽいっと投げ飛ばした。
「もー限界だ、寝ちまっていいよな?」
『好きにしろ』
「んじゃ、お言葉に甘えて」
俊は呑気にコックピット内で、昼寝を始めるのであった――