表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/112

第5話 黒き反逆者 ①

翌日、格納庫には整備班が集結していた。

これからゼノフラムの改修作業が行われるためだ。

現場にはパイロットであるゼノスも訪れている。


元々ゼノフラムの設計に携わっていた為、フリーアイゼンの中では一番ゼノフラムに詳しいと言っていい。

むしろ、ゼノスの指示がなければ作業を行うことができない程だ。


「ったくよ、何度も何度もよくもまぁぶっ壊すよな」


「毎度すまないな」


チーフを務めるエイトは、何度目かわからないゼノフラムの大改修に呆れていた。

過去にゼノスは機体を大破させてしまっていることが多い。

あれだけリスクの多い機体であるのだから、仕方ない事ではあった。

その割には、ゼノス自身は未だに重傷を負ったことがないのだから

まさに『パイロット殺し』には相応しい『不死身のパイロット』と言えるだろう。


「まぁゼノフラムに関しては目を瞑ってやるよ……あの余計な2機の損傷は、何だよコラ。

お前が余計な作業を増やすと俺達の休みが削られるんだっつーのっ!

ったく、他の奴は呑気に休暇を楽しんでるってのによー」


歯ぎしりを立てながら、しかめっ面でエイトは文句を垂れる。

口は悪いが、なんだかんだで作業はしっかり行ってくれるし腕はいい。

ゼノスが信頼している整備士の一人だ。


「大した損傷ではない、問題はないだろう」


「そういう問題じゃねぇよっ! 弾だって使い切りやがってよ、それだけでどんだけ費用かかると思ってやがんだっての。

ゼノフラムだけで火の車だっつーのに、艦長も頭を悩ませちまうぜ」


「やはり改善点の多いHAではあるな、せめてコスト面だけでも改善したいものだが」


「ゼノフラムの話をしてるんじゃねぇよっ! お前、ワザとだろ絶対」


「ιには自己修復機能が搭載されているようだが、あれを採用できないか?」


「人の話聞けよっ!」


エイトは力任せに叫ぶが、ゼノスは一人でブツブツと呟きながら去ってしまった。


「ったく、無駄に体力使っちまうじゃねぇか……」


一度考え込んだゼノスは、しばらくの間は何を話しても無駄だろう。

エイトは深くため息をついた。


「チーフッ! 備品の移動完了しましたぜ」


「おう、早かったな。 早速作業に取り掛かるぞ……っつっても、ゼノスがあの様子だとなぁ」


ゼノスは呑気に椅子へ腰を掛けて、深く考え込んでいる。

その様子を見て、エイトはまたしてもため息をついた。


「……わかった、何とかしてくっからちょっと待機してろ」


「了解しましたっ!」


仕方なく、エイトはゼノスの元へと向かっていくのであった。










午前中の訓練を終えて、ヘトヘトになった晶はシリアと共に食堂へと訪れた。

前回と同様に、特盛のカツ丼を二つ出されて再び机に突っ伏す。


「なんだ、もう疲れてるのか? だらしないぞ、午後もしっかり訓練するんだからな、食っとけよ」


「い、いえ……だ、大丈夫ですよ」


疲れ切った体でこんなもの食べたくはないが、そうも言ってられない。

これもまた修行のひとつとして、晶は少しずつ箸をつけて行った。


「おー、晶くん意外と食べるんですねー。 流石はパイロット、食べる量も違いますっ!」


余計なところに、シラナギが現れてしまった。


「まぁな、こんぐらい食べないと訓練なんてやってられないんだよ。 午後は午前中の2倍ぐらいはやるからな」


「あらー大変ですねー、頑張ってくださいね晶くんっ!」


「が、がんばり……ます」


食べた後も、さらに過酷な訓練が待ち受けているかと思うと、晶は顔が青ざめた。

今日を無事に乗り越えられることを願うだけだった。


「……そういえば、木葉どうしてますか?」


「木葉ちゃんですかー? やっぱり気になりますよねー、今は私がヤヨイさんと相談をしているのですっ!

でも、やっぱりただの学生であった木葉ちゃんを即採用というわけにはいかないようです。

木葉ちゃんは晶くんと違ってパイロットコース等ではなく普通科コースでしたからねー中々悩みどころですよ」


「そ、そうなんです……か」


やはりあまり期待はできないのだろうか。

せっかく木葉がここに残るチャンスができたというのに。

晶自身もιに乗った点と、たまたまそれを上手く扱えた点が運よく評価されて採用された身だ。

木葉は学校の成績が良くても、それがメシアの部隊に役立つかどうかはまた別の話。


「そんな顔しないでくださいよ、前にも言いましたけどフリーアイゼンは人手不足ですからね。

ちょっとでも優秀なところを見せれば、即採用かもしれませんっ!

ということで、木葉ちゃんにはいろいろ勉強してもらって実際に仕事を経験してもらいましょうっ!」


「へ?」


「それじゃ、いってきますねーっ!」


ふと、シラナギは頭に電球マークを浮かべながらグルグルダッシュで食堂を後にする。

……木葉が振り回されなければいいのだが、と晶は心配になった。


「なんだぁ? あの子、部隊に入ろうとしてるのか?」


「え、ええ、まぁ」


「ライル辺りが喜びそうだな、あいつ木葉の事可愛いとか言っていたんだ、すっげー鼻の下伸ばしてさ」


「ラ、ライルさんですか」


まだ一度きりしか会話を交わしたことがない人を思い出す。

あの時シリアがロリコンやらと騒いでいたのは、もしやそのことが起因なのか。

……あまり、木葉を近づけさせないようにしようと心の中で誓うのだった。


「そういえば面白い話を入手したんだ」


「面白い話?」


「そうそう、何とフリーアイゼンに新型の可変機が配給されるんだってさっ!

ついにHAが空を飛べる時代がやってきたんだなー、アタシすっごく楽しみだよ」


「か、可変機……?」


晶も学校の授業で設計思想については聞いてはいた。

要は状況に応じて、形態を変形させる事ができるHAだ。

一機の汎用性を更に高めようという思想が来ているとか。

しかし、まだまだ技術的な問題点が多く実現はされていないと聞く。


「試作機か何かでも来るんでしょうか?」


「もっちろん、まぁパイロットも未定だしひょっとしたら誰か追加で入ってくるかもしれんけどね。

その時はアンタがちゃんと先輩やるんだぞ」


「お、俺が?」


「そうそう、だから今のうちにミッチリ鍛えてやるからなー」


入隊して早々、後輩ができるというのか。

晶のような落ちこぼれは、まだまだ下を持つには早いんじゃないかと思う。

それに晶は学生だ、パイロットが補充されるにしても年上かつ経験豊富な人に決まっている。

そんな人の上になると考えたら、絶対に言うこと聞いてくれないんじゃないかと不安に思った。


「本当はアタシが乗りたいんだけどねー、エイトにも頼んどいたんだけどさ。

やっぱ空を自由に飛び回れたらものっすごく気持ちいと思うんだよねー……あー早く来ないかなー、新型」


シリアは子供のように目を輝かせていた。

晶にとっては、空を飛ぶなんて更にリスクが増えそうで怖いと感じたが、、シリアはそうでもないようだ。

昔から戦闘機の類に憧れていたということもあり、何かと空を飛びたがっていると前ゼノスに聞いたことがある。

一度ιに乗ろうとしたのも、疑似的な飛行が可能と聞いたから搭乗してみたらしい。


「アンタはιで満足? まぁ当然だよなぁ、あんだけいい性能の乗ってれば。 それにアンタの親父が設計したんでしょ、あれ?」


「ιは俺のパートナーですから。 あいつに守ってもらう代わりに、俺もあいつを守ってやるって決めたんです」


「やっぱり思い入れが違うねぇ、アタシとイエローウィッシュにもそんぐらいの熱さがほしいもんだね」


HAの事を話すシリアはとても生き生きとしている。

純粋に、HAが好きでパイロットをやっているんだろうというのが伝わってきた。

その上に凄腕のパイロットだというのだから、まさに天職なのだろう。


『シリア・レイオン、未乃 晶。 パイロット両名、ブリッジルームまで集合してください。 繰り返します――』


突如、フリーアイゼン内でアナウンスが聞こえた。

丁度、シリアと晶の二人が呼び出されているようだ。


「あちゃー……こりゃ何か事件かな?」


「事件?」


「今日の訓練は中止だ、んじゃ敬語終わりね」


「え? は、はい……」


「グズグズしてんじゃないよ、さっさといくよ」


「わ、わかりました」


「返事が違うっ!」


「わ、わかったよ」


そういうと、シリアは一気にカツ丼を平らげて見せて立ち上がった。

晶は呆然とするが、流石にあんな食べ方はできない。

仕方なくその場でカツ丼を残したまま、立ち上がろうとした。


「残すんじゃないと、食べながら行くよ」


「そんな無茶な……」


晶は仕方なく片方のカツ丼を一生懸命かきこんだ。

もう1杯は流石に厳しいと思い、やむを得ず手に持って駆け出すのであった――










「それで、ご飯を片手にブリッジに来るとはどういうことですか?」


「だって勿体ないだろ? アンタらが勝手に呼び出すのが悪いんじゃないか」


やはり、怒られてしまった。

ブリッジルームへ入ろうとした直前、二人はヤヨイと遭遇した。

晶が何故か丼を片手に持っていたことから、シリアを睨み付けて今の状況に至っている。


「とにかく、食べてからにしてください。 艦長が激怒しても知りませんよ?」


「ったくーめんどくせーなー、じゃあ晶さっさと食ってくれよ」


「……は、はい」


結局こうなるのか、だったらあの場で無理にでもかきこむべきだったと晶は後悔する。

しかし、食べた直後に走ってきたので食の進みが遅い。


「あーもう、じれったいんだから。 貸してっ!」


シリアはチマチマと箸を進めていた晶から丼を奪う。

そして目にも留まらぬ早食いで、一気に丼を空にして見せた。


「これでいいだろ、早く通しな」


「頬のご飯粒、ちゃんととってください」


ふぅ、とため息をつくとヤヨイは道を譲った。

シリアは頬についたご飯粒を取り払って、中へと入る。

晶も恐る恐るブリッジへと訪れた。


中には艦長以外、人はいない。

一体何が始まるのだろうか、晶は身構えていた。


「来たか……緊急指令だ、よく聞け」


シリアの言った通りだった。

もしや、出撃命令が出されるのだろうか。

晶は身構えて、生唾をゴクリと飲み込んだ。


「砂漠地帯の中心部に、大型E.B.Bが発生したようだ。 ゼノスは今回、ゼノフラムの改修作業で手が馳せない。

そこでお前たち二人に討伐へと向かってほしいんだ」


「大型……ですか」


艦長から下されたのは大型E.B.Bの討伐命令だった。

晶は過去に二度討伐任務にあたっているものの、ゼノフラムなしで討伐任務に参加するのは初めてだ。


「面白そうだね、アタシ達に任せな。 すぐに終わらせてやるよ」


「うむ、既に部隊の者が準備を進めているようだ。 お前達も準備を整え次第、部隊と共に出発をしておくれ。

なお、フリーアイゼンは現状この場を動くことができん。 援護射撃も期待できないことを留意しておけ」


「うへぇ、厳しそうじゃないか。 本当にいけるのか?」


「3台のロングレンジキャノンが支給されるようだ、主砲代わりにはなるだろう」


ロングレンジキャノンとは、超距離に特化した火力重視の装備の事を指す。

弾倉に超圧縮されたエターナルブライトを詰め込み、発火させる事により生み出される莫大な熱エネルギーを利用した兵器だ。

弾の軌道には紫色の光が生じ、破壊力は凄まじく一般的なHAをいとも簡単に破壊してしまう程。

数は少なく、莫大なエネルギーの量と凄まじい威力を誇ることから、使用時にはメシアの上層部から承認が必要とされていた。

晶自身もその兵器については、聞かされていたことがある。

いわゆる、ビーム兵器と呼ばれる現代兵器の一つだ。


「ロングレンジキャノン利用なんて随分大げさじゃないか」


「決して楽な任務にはならないだろうな、健闘を祈るぞ」


「了解、アタシ達に任せな」


「今回ターゲットとなるE.B.Bの資料だ、目を通しておけ」


艦長は二人に、E.B.Bに関する資料を渡した。

晶はその資料に目を通す。


今回のE.B.Bには、砂漠地帯に存在する極めて危険性の高いE.B.Bと分類する。

砂漠地帯の中心部に巨大なくぼみを作り、その中心部よりHAの装甲を溶かす液体を吐き出す。

また、くぼみは常に中心部に砂が流され続けており、一度でも踏み込んでしまえばE.B.Bの餌食となってしまう。


「これって……」


名前こそ出てはいないが、まさにアリジゴクのことを指していた。

E.B.Bは種族問わずに、生物であれば異形へと進化を遂げてしまう。

前回のクモといい、何故か植物までもが狂暴化してしまうことに晶は恐ろしさを感じていた。

エターナルブライトがなければ、どれもこれも無害な生物だったはずなのに。


「指揮は私がとろう、カイバラも補佐を頼むぞ」


「了解しました」


「アンタの指揮なら安心だね、それじゃ準備してくるぜー」


シリアは資料を観点に目を通すと、ブリッジを後にした。

晶も慌ててシリアの後を追い、駆け出した。













格納庫では、ゼノスを中心としてゼノフラムの改修作業が行われていた。

とてもじゃないが、あの忙しさには声をかける暇もない。

ι・ブレードの整備は既に終わっているようだ。


たった二人の出撃は心細いが、今回はこの基地に配属されている複数のウィッシュ部隊も同行だ。

それに事前にE.B.Bの情報だって手に入っている、後は無事に討伐を行うだけだ。


『どうだ、緊張するか?』


晶がι・ブレードに乗り込んだ途端、シリアから通信が入った。


「流石に出撃自体には慣れてきました、ただιシステム発動する時の頭痛は……あんまり慣れないです」


『ハッハッハッ! アタイには関係ない話だな、そりゃ。 ま、それも時期に慣れてくるだろ』


「……今回ってLRCを使った討伐になるんですか?」


『そうだな、上手くコアをぶち抜ければ即終了。 いつもみたいにムラクモでグサッとできないから気をつけろよ

一度でも砂にはまってしまえば、ホバーリングだってすることはできないんだ』


資料に書いてある通り、E.B.Bの作った砂のくぼみは、常に激しく砂が中心部に流れ込んでおり、捕まってしまえば砂に捕らわれてE.B.Bの餌食となってしまう。

迂闊に近づかないように、気を付けなければ。


「心配しなくていいさ、どーせ全員で遠距離から集中砲火でおしまいさ。

高台だって用意していくみたいだし、よほどバカしない限りはまらないよ」


「そ、そうです……ね」


それでも何かの拍子ではまってしまいそうなことに不安を覚える。


「それじゃ、出発するぞ。 アタシにちゃんとついてこいよ」


「りょ、了解っ!」


晶はスロットルを握りしめて、深呼吸をした。


「いくぞ、ι・ブレード……」


コックピットに、赤い光が灯された。

まるで、任せろとでも言っているようだ。

晶は笑みを浮かべながら、スロットルを強く押し込み、機体を発進させた。











移動する事1時間、複数体のウィッシュが既に集合していた。

上空から狙撃をするために用意された高台が三つ、その一番上には例のロングレンジキャノンが搭載されている。

移動中にシリアから聞いた話によると、3体が上空からの狙撃を行い、その間に地上にE.B.Bが発生した際は残りのHAが片づける役割だ。


大型E.B.Bには仲間を生産する力があり、必ずと言っていいほど小型のE.B.Bが大量出現するはずだ。

また、あの高台を破壊されては上空からの狙撃は難しくなり、討伐そのものが中止となりかねない。


晶はレーダーを確認すると、そこには大型E.B.Bを示す反応が一つ。

モニターと照らして確認すると、確かにそこには大きな穴が存在した。


『君達がフリーアイゼン部隊からの増援か?』


「は、はい。 ι・ブレードのパイロットを務める『未乃 晶』です」


『驚いたね、本当に学生が乗っているのか?』


「ま、まだ見習いですけど」


既に到着していた部隊の隊長だろうか、晶は通信に応えた。

しかし、まさか全く無関係な人にまで自分の存在が知れ渡っていたことに驚く。

やはり学生のうちから試用期間といえどパイロットに採用されるのは、イレギュラーなケースなのだろう。


『そんなに緊張しなくてもいい、君の腕なら艦長から聞いてはいるよ。

君は今回の狙撃主を担当してもらうからね、作戦前からそんな調子ではいけないよ』


「え……」


狙撃主だって?

まさか自分がその役割に回るとは想像もしていなかった。

艦長の判断なのだろうか、確かにιには精密射撃にも対応した機能はついてはいるが……。


『任せときなって、何と言ってもウチの未来のエースさ。 ヘマなんてしないよ』


更にシリアは隊長に向かって、そんなことを言い出した。

精密射撃なんてシミュレーターでもやったことがないというのに――


「ちょ、ちょっとまってくださ――」


『それじゃ、期待しているよ』


晶が抗議をしようとしたが、虚しくも通信は切断される。

まさかこんな大役を任されるとは。


「な、何で俺なんですか?」


『まぁ、単純なιの性能ってのもあるけど……アンタが信頼されてるからなんじゃない?』


「だ、だからといって……」


『気にするなって、どーせ3台もあるんだ。 アンタ1機が失敗しても誰も咎めやしないよ』


「そ、それは問題ありますって!」


むしろそれが一番嫌だ、と晶は心の中で叫んだ。

本当に自分が担当してしまったもいいのだろうかと、不安に思った。


『未乃 晶、ιの射撃性能を見せてもらうぞ』


今度は艦長より直に通信が入った。


「い、いいんですか……俺、失敗するかもしれませんよ」


『最初からその調子では成功するものもしないぞ、少しは自信をつけろ』


「は、はい……」


やはり断れそうにない、やるしかないだろうと晶は腹をくくった。

高台には既に2機のウィッシュがスタンバイしている。

大型E.B.Bの反応はあるが、姿は現していないようだ。


顔を出した瞬間に……集中砲火を浴びせる。

シンプルそうに見える作戦だが、不安がよぎるのも事実だ。


「……悪い、また頼っちまうけどよろしくな」


コックピット内で晶は、ιにそう告げると赤く光が灯った。

相棒がこんなに優秀だというのに自分は情けないな、と晶はため息をつく。

すると、何も話していないのにコックピットが再び赤く点灯した。


「……わ、わかったよ。 もうちょっとしっかりするさ」


晶は気を取り直して、高台へと移動をする。

台に固定されているロングレンジキャノンは、莫大な電力を使用するらしく、数十本もの配線が繋がれていた。

蓄電器の電力は限られているため、あまり無駄撃ちはできないだろう。


シリアからロングレンジキャノンのマニュアルが送付された。

一通り目を通しておけということなのだろう。

晶はマニュアルを確認した。


『作戦開始時刻は14時30分だ、後20分しかないからちゃんと読んでおけよ』


「は、はい」


『使い方自体はシンプルなはずだから、アンタにもすぐわかるはずさ。 それじゃ、健闘を祈るよ』


「……はぁ」


晶の中では、不安が増すばかりだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ