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     プロジェクト始動 ④


メシア本部への突入ポイントへと目掛けて、フリーアイゼンは前進し続けた。

敵の激しい猛攻を受け続け、艦への負担は尋常ではない。

もはやフリーアイゼンが落ちるのも時間の問題であった。

だが、艦が動く限りひたすら前へ突き進む。

メシア本部へ潜入するのが先か、艦が落とされてしまうのが先か。

まさにフリーアイゼンは死の境地へと立たされていた。

艦の周辺にはシリア機とラティア機が護衛に回ってはいるが、敵機の殲滅が追い付いていない。

むしろメシア本部からは更なるHA部隊が出撃され、数はひたすら増加し続けているのが現状だった。


サーベルを両手に持ち、ブレイアス(ウィン)は敵HAを華麗に切り裂いていく。

だが、一瞬にして敵ブレイアス部隊に囲まれてしまい、弾丸の嵐が襲い掛かる。

そこから抜け出す為に飛行形態へと変形し、空高く上昇して何とか包囲網を抜け出す。

そのまま飛行形態を継続させ、持ち前の高稼働を活かして敵の注意を引き付ける事でシリアは精一杯だった。


「クッ……まだ仕掛けられないのか? このままじゃ艦が――」


『諦めちゃダメよ、私達の戦いはまだ始まったばかりなんだから』


「わかってる、気持ちが負けていちゃ――」


ラティアからの通信を返そうとした時、シリアは突如姿を現した大型HAを前にして思わず言葉が詰まってしまった。

通常のHAよりも二回りほどの大型サイズのHAが、フリーアイゼンに迫って来ていたのだ。

両腕にはロングレンジキャノンが二門備えられている、それも通常よりも大き目なサイズである。

恐らく火力を重視したメシアの新型機なのだろう。

しかも大型機は単機ではなく、5機ほどの部隊として向かってきていた。


「やべぇぞ、あれはロングレンジキャノン搭載型だっ!」


『……ドッキングするわよ、全部落とすわ』


「正気かよ? いくらドッキングしたからと言えど―――」


『ブレイアス(ウィン)はイリュードが私達に託してくれた勝利の翼よ。

この程度の危機も乗り越えられないようなら、(ウィン)の名が泣くわよ』


いつになく厳しい口調で、ラティアはそう告げた。

一度はフリーアイゼンの敵として立ちはだかったイリュードであったが、最後にはシリア達に勝利の翼を託してくれた。

それはラティアとシリア、フリーアイゼンに期待したからこその行動なのだろう。

ラティアはその機体に応えようと必死なのだ。

シリアも負けてはられない、姉と同じく勝利の翼を託されたのだから。


「……そうだな、姉貴の言う通りだ。 よし、行くぜッ!」


『いい返事だわ、いつでもいいわよ』


シリアは周囲の敵から逃れながらも、ラティアとの元へと飛行形態のまま向かっていく。

すると、同じく敵部隊から逃げ回っているラティア機の姿が目に入った。

それを確認すると、シリアは機体を人型へと変化させる。

ラティアはその動きに合わせて機体をクルクルと回転させながら、一気に敵の包囲網を潜り抜けていく。

一瞬にして合流を果たすと、二つのブレイアス(ウィン)はドッキングを成功させ、一つとなった。

だが、こうしている間にもフリーアイゼンは攻撃され続け、大型HA部隊は既に砲撃体勢へと移っていた。


「時間がない……姉貴、オーバーブースターを使わせてもらうぞっ!」


『ええ、遠慮なく全速力で向かいなさいッ!』


シリアはブレイアス(ウィン)のリミッターを解除すると、ブースターから紫色の煙が噴きだし始める。

驚異の速度で機体が敵部隊へと目掛けて接近していく。


「させるかぁぁっ!!」


サーベルを両手に構え、驚異の加速を乗せたままブレイアス(ウィン)は激しく大型HAへと斬りかかる。

ガキィィィンッ! 耳がキンとするほどの金属が鳴り響くと、大型HAは激しく吹き飛ばされただけで装甲面に傷は負っていなかった。

身を守る為の特殊なアーマーを身に纏っており、通常のサーベルでは手応えをまるで感じない。

どうにかしてアーマーを破壊するか、或いは急所を探し出さなければ――しかし、時間はあまり残されていなかった。

1機の砲撃は阻止したと言えど、残り4機が周囲へと散開し、ほぼ同時に砲撃を開始しようとロングレンジキャノンを構えた。


『シリアッ!』


「ああッ!」


ラティアの合図に合わせて、ブレイアス(ウィン)は左右にライフルを構える。

するとライフルの先端が赤く輝き始めた。

同時にシリアがトリガーを引くと、バチバチィンッ! と激しく火花を散らしながら、左右に赤き閃光が走っていく。

赤き閃光は2機の大型HAの動力部を貫いていき、火花を散らしながら煙を上げ始める。

それにより砲撃が中断された事を確認し、シリアはすぐに残りの2機の位置を確認した。


「間に合えぇぇっ!!」


シリアはスロットルを限界まで押し込み、一機の大型HAの元へと向かい、サーベルで斬りかかる。

ガァァンッ! と鈍い音が響くと、見事ブレイアス(ウィン)は1門のロングレンジキャノンを破壊して見せた。

だが、ロングレンジキャノンは二門搭載されている上に、もう一機への対処はとてもじゃないが間に合わない。

圧縮砲のチャージには時間を要する為、連続仕様をする事は出来ず、この距離から狙い撃つ事は出来なかった。


「クソッ、ここまでなのか……っ!?」


『……まだ、まだよっ!』


ラティアの掛け声に耳にし、諦めてたまるかとシリアは再びスロットルを限界まで押し込んだ。

だが、ロングレンジキャノンの先端は紫色の輝きに包まれ激しく火花が散っている。

間もなく発射されようとしていた。

その時―――バシュゥゥゥンッ! と、上空から紫色の閃光が敵大型HAへと襲い掛かった。


「な、なんだ?」


シリアは突然の出来事に、思わず機体を急停止させてしまう。

すると背後からも爆発音が耳に飛び込んできた。

何事かと思い振り返ると、信じられない事に先程シリアが動きを止めていた大型HA部隊が次々と破壊されていっていたのだ。

そして周囲には、ロングレンジキャノンを手にした黒きHA……・アヴェンジャーの主力HAであるレブルペインが姿を現していた。


「アヴェンジャーッ!? クソッ、またアタシ達の邪魔をしに来たのか?」


『……いいえ、よく見て。 レブルペインは全て、メシア本部のHAを攻撃しているわ』


「どういう事だ? ま、まさか味方してくれているのか……?」


『その通りだ』


突如、シリアの元に通信が入り込んだ。

この声は間違いない――ソルセブンの艦長を務めるイリュードの声だった。


『イリュード、どういう事なの? 彼らは一体――』


『彼らだけではない、我々の部隊も既に周囲に展開させている。

すまないな、もう少し早く到達していればここまで君達を危険に晒さなかったんだが……』


シリアとラティアは突然現れた援軍に、思わず呆然と立ち尽くしてしまっていた。







フリーアイゼン内には危険を告げるアラームが鳴り響き続けていた。

ブリッジルームは真っ赤な光が照らされているが、艦長はひたすらモニターから目を離さずにいる。

鋭いその瞳は、目の前に聳え立つ巨大なメシア本部だけを捉えていた。


「本艦の損傷率が70%を迎えています……このまま攻撃を受け続けてしまえば艦は――」


「構わん、進み続けろ。 そろそろポイントへ到達する、ゼノスにも指示を頼む」


「りょ、了解です」


ヤヨイは状況に戸惑いながらもゼノスへ通信を送った。

艦長もここまで艦が危機に陥る事は覚悟の上だ。

だが、本当に危険だと判断した時はクルーの命を優先する。

既に脱出の準備も裏では進められてはいるが、この状況で脱出したとしても果たして無事でいられるかどうか――

艦長は誰も死なせないと約束した、だがこの作戦で犠牲者を生み出さないというのはあまりにも無茶すぎた。

それでも退く事が許されないとすれば、艦長はただがむしゃらに真っ直ぐに進み続けるしかなかった。


「白紫輝砲を用意しろ、一気に叩き込むぞっ!」


「おう、待っていたぜ艦長っ!」


「くれぐれも外さないでくれよ、ライル」


「任せとけ、俺を誰だと思ってやがるんだっ!」


艦長に合図で、ライルはトリガーを握りしめ照準を合わせ始める。

事前に洗い出しておいた座標データに合わせ、エネルギーの充電を開始した。


『こちらゼノフラム、少々損傷をしているが圧縮砲には影響ない』


ゼノスの通信を確認すると、サブモニターにはゼノフラムの様子が映し出された。

周囲には敵機がまるでE.B.Bのようにウジャウジャと飛び回っている。

ゼノフラムは巨体をチェーンで固定され、身動きが取りにくい状況にも関わらず、ガトリングで敵機を確実に落とし続けていた。

だが、その時にアヴェンジャーの主力であるレブルペインの部隊が突如モニターへと映し出された。


「何、アヴェンジャーだとッ!?」


『安心してくれ、彼らは味方だ』


艦長が驚きのあまりに声を上げていると、もう一つのサブモニターからソルセブンの艦長であるイリュードの姿が映し出される。


「イリュード艦長……貴方が来てくれるとはな」


『世界の危機が訪れようとしている中、おちおちE.B.Bの相手もしてられなかったからな。

……アヴェンジャーのおかげで、どうやらこの戦いは何とかなりそうだ』


「アヴェンジャーのおかげだと?」


崩壊寸前であるはずのアヴェンジャーが、一体何をしたというのか?

今やジエンスのような指導者すらいないはずだというのに。


『彼らの今までしてきた活動は決して無駄ではなかったという事だよ。 彼らはアッシュベルへの復讐を果たす為にアッシュベルに関する様々な情報を握っていたのだ。

そして、彼らのおかげで――我々を含めて、君達は『世界』という心強い味方を手にしたという事だ』


「世界を、味方に?」


世界を味方にできたというのはどういう事なのだろうか?

イリュードが一体何を言っているのか、艦長には理解できなかった。


「艦長っ! 見てください、これっ!」


ヤヨイが受信した映像を艦長が確認すると、信じられない事に神の源の中心に各地の新生メシアから艦隊が送られてきていたのだ。

これだけ数が揃えば、いくら本拠地のメシア本部であろうとも互角に渡り合えるはず。

しかし、一体どうやってこれだけの戦力を集めたというのか?

イリュードは、プロジェクト:エターナルの真実を告げたとしても人々が信じるはずがないと確かに言っていた。

世界が動けるはずがない、だから艦長はフリーアイゼンでの孤独の戦いを覚悟していたというのに。


『アヴェンジャーが独自に集めていたアッシュベルに関する情報のおかげで、我々は世界を説得する事に成功したのだよ。

今も尚メディアに通じてアッシュベルが行ってきた悪行が全世界に報道されているはずだ。 ……勿論、全ての人々がその話を信じたわけではない。

だが、多くの者が私に賛同をしてくれて君達の手助けしようと神の源へと集まってくれたのだ。

アヴェンジャーはあくまでもアッシュベルを討つためではあるが、目指す先は我々と同じなのは確かだ。 彼らは信用できる』


「――イリュード艦長」


アヴェンジャーとの決戦の時といい、またしてもフリーアイゼンはイリュードに助けられた。

彼のカリスマ性の高さは本物であり、世界の心を動かすにまで至っている。


『外の事は我々に任せたまえ、貴方達は内部に潜入して……アッシュベルの野望を阻止してくれ。 君達であれば、彼に勝てるのであろう?』


イリュードはニヤリと笑みを浮かべ、艦長にそう告げる。


「そうだ、我々は――勝つ」


艦長は間髪入れずに、答えた。


「白紫輝砲、いつでもいけるぜ」


「……我々の為に集まってくれたメシア兵の為にも敗北は許されん。 行け、人類の未来を掴む為にッ! 白紫輝砲、撃てぇぇぇぇッ!!」


怒声に近い気合いに籠った声を合図に、ライルは力いっぱいトリガーを引く。

真っ白な閃光が目の前を走り、爆音に近い凄まじい音と共に、白紫輝砲が発射された。









俊との決闘を終えた晶は悲しみを乗り越え、フリーアイゼンと合流しようとひたすら敵機を潜り抜けていく。

すると、周囲から突如レブルペインを始めとした援軍が現れ始めてきていた。


『晶っ! 無事だったかっ!?』


ブレイアス(ウィン)の姿を確認すると、どうやらシリアも無事だったようだ。

フリーアイゼンも無事とは言い難いが、目標ポイントへ到達していることからプラン自体は順調に進んでいるように見えた。


「シリア? い、一体何が起きてるんだ? どうしてアヴェンジャーが?」


『どうやらイリュード艦長が援軍を呼んでくれたらしい、これでアタシ達にも希望が見えてきたなっ!』


『後はフリーアイゼンの仕事よ、私達は次に備えて一度補給を済ませましょう』


「そ、そうだな―――」


バシュゥゥゥンッ! 突如耳を塞ぎたくなるような爆音が耳に飛び込んでくると、晶は思わず耳を塞いでしまった。

フリーアイゼンから真っ白な輝きを放たれていた。

白紫輝砲が発射されたのだろう、様子を確認する為にフリーアイゼンの先端へと向かってι・ブレードを前進させる。

先端にはゼノフラムも甲板に固定されており、真っ赤な圧縮砲が発射され続けていた。

攻撃が止むと周囲は白い煙に包まれて、視界が奪われていく。

あれだけの火力だ、いくらメシア本部の装甲と言えど貫けないはずがない。

煙が段々と晴れて来ると、晶は思わず目を丸くして言葉を失う。

―――メシア本部の壁が破壊されるどころか、傷一つ何もついていない状態だったのだ。


「な、何なんだよあの壁……? クソッ!!」


あと少しだというのに、侵入する事すらできないというのか?


『晶か、丁度いい手伝え。 ロングレンジキャノンとムラクモの解放を頼んだぞ。 俺はもう一度圧縮砲を使うッ!!』


晶に気づいたのか、ゼノスは動じずに冷静な口調で晶にそう伝えた。

すると晶はロングレンジキャノンを構えて精密射撃モードへと移行する。


『おっと、ブレイアス(ウィン)にも圧縮砲はあるぜっ!』


事態に気づいたシリアとラティアは、艦へと戻らずに晶達と合流を果たしライフルを構えた。


「何としてでも、この壁を貫いてアッシュベルを……ッ!!」


こんなところで立ち止まる訳にはいかない。

俊のような犠牲者をこれ以上出さない為にも。

晶は必ずアッシュベルをこの手で討つと誓っていた。

強い願いを込めて、晶はロングレンジキャノンをメシア本部へと向けてトリガーを握りしめていた。










艦長は鋭い目付きでモニターを睨み付けていた。

まさか白紫輝砲の一撃でもメシア本部の壁を貫けなかったとは考えてもいなかった。

……だが、白紫輝砲はメシア戦艦の中でもナンバーワンを誇る火力ではある。

この一撃も決して無駄ではないだろうと、艦長は確信していた。


「圧縮砲は再度撃つには時間がかかりすぎる……ならば、主砲での一撃を加えれば――」


『こちらゼノスだ、たった今ι・ブレードとブレイアス(ウィン)が合流を果たした。」

俺達のタイミングと合わせて、主砲の発射を頼めないか?』


艦長がゼノスに向けて通信を送ろうとすると、既にその位置を読み取っていたのかゼノスが先に通信で伝えてきた。

もう一度撃てば――必ず貫けると信じて、艦長は帽子を深くかぶり直した。

すると、モニターから赤い閃光が一斉に射撃ポイントへと向けて発射されていく。


「主砲、撃てッ!!」


艦長の合図と共に、ライルはトリガーを力強く弾く。

バチバチィンッ! と激しく火花が散り、辺りが白い煙が包まれていきながらも攻撃を止めない。


『クソ、開け……開けよッ!!』


フリーアイゼンに晶の叫びが響いた途端、ι・ブレードのムラクモが赤色の輝きを放ち……射撃ポイントへと向けて真っ赤な刃が凄まじい速度で飛ばされた。

これで開かれたか? 煙が段々と晴れていくのを艦長は静かに見守る。

―――だが、あれだけ集中砲火を行ったにも関わらずメシア本部の壁に穴をあける事は出来なかった。


「―――リューテ、艦を前進させろ」


「艦長? し、しかし」


「艦がどうなっても構わん、何としてでも……あの壁をぶち破れッ!!」


こうなれば一か八か、艦長は僅かな可能性を信じて艦を直接メシア本部へぶつける作戦へと移行した。

単なる悪あがきとなる可能性も高いが、少しでもいい……あの壁を貫ける可能性があるのなら試すしかないと。


「わかりました、全速力で艦を突撃させます」


「……マジかよ、まぁでも――やるしかねぇようだなっ!」


流石のライルも一瞬だけ怖気づいたが、すぐにニヤリと笑みを浮かべる。

ヤヨイは私室から持ち出した写真立てをギュッと両腕に抱き抱えていた。


「すまない、皆。 お前達の命、預かるぞ」


リューテは迷わず艦の速度を上げ、ひたすら艦を前進させていく。

下手をすれば艦は大破して、大爆発を引き起こす危険性すらある。

ポイントまでの距離は徐々に縮まっていく。

距離にして200m、150、100……


『圧縮砲、撃つぞっ!』


『俺ももう一度ロングレンジキャノンでっ!』


『アタシは諦めない、何度でも何度でも撃ち続けてやるさっ!』


『イリュード……貴方が託した勝利の翼、無駄にはさせないっ!!』


4人のパイロットの声が、ほぼ同時にブリッジルームへと伝ってくる。

目の前は一瞬赤い閃光が走り、凄まじい爆音が響き続けた。

周囲に煙で見えなくなろうと、艦長の決断は変わらない。

そのまま艦を、前進させるだけだった。


「行くのだ、我々の道を……切り開けェェッ!」


ズガァァァァンッ!! 艦がメシア本部の壁に衝突した途端、まるで瓦礫の山が崩れるかのような凄まじい音が響き渡る。

ブリッジルームが激しく揺れる中、電気がチカチカと点滅しサイレンも音を止めた。

振動が止まり、辺りは静けさに支配された。

どうやら、大爆発だけは避けられたようだ。

しかし、艦は今どうなっている?


「艦長、見てくださいっ!」


ヤヨイはすぐに状況を確認し、艦長に伝えた。


「……我々の、勝利は近いな」


そして、ニヤリと微笑んだ。







突然艦が前進をし始めた時、晶は思わず慌てふためいてしまった。

まさか白紫輝砲・主砲と通じなかったから艦を突撃させようなんて言う発想に至るとは、無謀以外何者でもないと思ったからだ。

だが、時には暴挙に出る事が正解に繋がる事もある。

晶は目の前に広がる光景を目にしてそう感じていた。


「――ついに、道が開かれたのか」


フリーアイゼンは見事、メシア本部の壁を破壊し、内部で不時着をしていたのだ。

周囲には破片が飛び散っており、衝突した衝撃でフリーアイゼンは身動きが取れそうにない。

ある意味では、フリーアイゼンの役割はここまでとも言える。

後はHA部隊での内部からの制圧を残すだけ。

ここからが、本当の戦いの始まりだった。


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