第4章 いつもと違う帰り道
いつもの帰路。
でも、今日は昨日とは違う。
少しだけ近づいたと思っていた距離。昨日より近いはずの二人の間。
「……」
「……」
ただ、やはり会話は無かった。
美咲は昼の事が頭から離れず、真治の顔を見る事が出来ない。そして、真治もまた、いつものような元気は無く、俯いたまま歩いていた。
ルーチンワークとなった行動がそうさせたのか、二人は一緒に歩いていた。
「……」
「……」
何か話しかけないといけない、そう想い美咲は勇気を振り絞り言葉を紡ぐ。
「……きょ、今日お昼一緒に居た人ってクラスメイトさん……?」
「……ああ」
真治の答えは簡素で、それ以上追及することを拒んでいるようだった。
「……そうなんだ……仲いいんだね」
「……別に」
「でも、お昼見たときは仲よさそうだった―――」
「うるさいな! 別に、って言っているんだから、何でもないんだよ!!」
真治の反応はいつもと違った。苛立っていた。
それは、美咲を跳ね除ける言葉。それ以上、声を掛けるのを躊躇うような怒号。
「し、真ちゃん……?」
「苛々するんだ! お前のせいで、お前のせいで!!」
「っ!?」
伸ばした手は―――払われた。呆気無く、払われた。
真治が何に苛立っているのかは分からないが、自分が関係していることだけは理解できた。
「……っ、くそっ!!」
「あ……」
止める間も無く、真治は走り去った。このまま普通に歩いてもどうせ隣なのだ、最後まで一緒に帰らなければならない。それが嫌だったのだろう。
「……真ちゃん」
最後に見た真治は泣いていた。
何があったのかは分からない。だが、どうやら自分が原因で真治を泣かせてしまったらしい。
「……私、どうしたらいいの……?」
訳が分からず、美咲は流れ出そうとする涙を堪えて歩き始めた。




