第2章 戸惑い
「麻耶ちゃんどうしよう~~」
真治が離れる事を聞いた翌日、美咲は登校するなり、親友であり、最大の理解者である若木麻耶の懐に飛び込んだ。
「おうおう、美咲、どうかしたの?」
わしゃわしゃと頭を撫でてくれる麻耶は、朝っぱらから意味不明な行動に出たにもかかわらず、その寛大な心で受け止めてくれる。だから、美咲は掛け値なしで付き合ってくれる麻耶に甘えてしまうのだ。
「……真ちゃんが遠くに行くって」
「……ほほぉ、それまた突然だね」
「うん……私も昨日初めて知った……」
少し落ち着いた美咲は麻耶から離れ、丁度後ろにある自分の席に座る。
麻耶とは何故か分からないが、一学期から確実に隣か前後の席になっていた。加えて、同じ調理部に入るなど、妙に縁があった。だからこそ、極度の人見知りの美咲がすんなり仲良くなれたのだが。
「おーおー、目真っ赤にしちゃって、大丈夫?」
「んむ……ちょっと目がかゆいかも」
麻耶にハンカチを借り、目に当てる。あまり意味は無いだろうが、好意は嬉しかった。
昨日、衝撃の告白をされた後、どうしようか、と悶々と考えていた美咲は、泣いてしまった。
別れる事になっても、自分の気持ちをすぐに言えない、勇気の無い自分に嫌気が差して泣いてしまったのだ。
「それで、美咲はどうしたいの?」
「……どうしよう」
「ありゃ? そこは嘘でもいいから告白するとか言っとけばいいのに」
苦笑いを浮かべながら、麻耶は美咲の頭を撫でた。
「まぁ、まだちょっとは時間あるんだし、悶々と考えてみるのもいいかもね」
「……うん」
「どうしても、答えが出そうに無いなら私に任せなさい!」
どん、と胸を叩いて麻耶が勇気付けてくれる。
頷く事しか出来なかったが、麻耶の気遣いはとても嬉しかった。
「ま、その場合は、当たって砕けろ作戦を実行するから」
「って、砕けちゃ駄目だよ!」
麻耶の、気を利かせたギャグに二人して笑った。
……ありがとう。
麻耶に心の中でお礼を言う。今口に出すのは少し照れくさい。
でも、本当に嬉しかった。
そんな事を思っていると、始業のチャイムが鳴った。




