第1章 突然の告白
学生時代に書いた拙い作品です。誤字脱字があるとは思いますが、読んで頂ければ幸いです。
いつもの時間。
家が同じ方向にある瀬川美咲と赤里真治は微妙に距離を空けて歩く。
もう一歩を踏み出せば、もう少し勇気を出せば縮まる距離。
でも、踏み出せない。
そんな微妙な関係。
あと、少しだけ近付けたら、もしかしたら……。
そんな事を思いながら、美咲は真治の顔が見れず、下ばかり見て歩く。
一つ上の真治は、もうすぐ高校生活も終わる。そうすれば、何処か遠い所に行ってしまうだろう。
「はぁ……」
思わず、ため息が漏れる。
どうして自分はこんなに勇気が無いんだろう、と叱咤してしまう。
「ん? どうした、美咲? ため息なんて吐いて」
「えっ? あ、な、何でもないよ……」
そっか、と呟いてまた前を向いてしまう真治。
せっかく喋るチャンスだったに、また逃してしまった。
本当に自分が嫌になる。
元々喋りが得意ではないのだが、それでも真治とはちゃんと話せていたはずなのに。今は顔さえまともに見られない。
真治の事を、ただの幼馴染として見られなくなったのは何時の頃からだろう。
いつの間にか好きになっていた。
近過ぎて、気づけなかった素直な思い。
こうして一緒に歩くだけでも幸せになるのだが、それ以上に惨めになる。
友達以上恋人未満の関係は変わらぬまま。進展はまったく無い。
今日もまた同じように、このまま無言で家まで着く―――と、思っていた。
「そういえばさ……」
「ど、どうかした……?」
「何でそんなに離れて歩いてるんだ? もっと隣に着たらいいのに」
「あ、えっ? あ、うん……」
ただ、今日は進展があった。真治のほうから何気なく言ってきた。
顔を真っ赤にしながらも少しだけ真治に近づき、いつもより少しだけ隣を歩く美咲。
「お、もう着いたな……それじゃ、また明日」
「あ、うん……また明日」
いつの間にか、家に着いていた。幸福な時間は経つのが早い。
手を振って隣の家に入っていく真治を見送る。
「あ……言い忘れてたけど、俺ここからかなり離れた大学受けるんだ」
「……え?」
突然の告白に頭が真っ白になる。
真治が居なくなる?
その言葉の意味を理解しただけで、思考が止まっていた。
「……美咲に一番初めに教えたくてさ……んじゃ、また明日な!」
真治は照れくさそうに笑いながら言った。だが、その言葉は頭が真っ白になってしまった美咲に届く事は無かった。




