3 話
僕は、信じられなかった。『戦争』が始まるという事を。あんなに平和だったのに。
――いや今までの平和は表向きで、実際には戦争勃発間近だったのかもしれない。
「奈織の力は危険だわ」僕の力は危険? なんで?
ここは、人間の国なのよ。と付け加えられる。そうか。僕が、……ハーフ吸血鬼だからか。
「それに、魔法の才能ね。それがバレたら最悪……戦争の道具として使われてしまうわ」
「ようは、僕の能力がバレなければいいんだね?」
「そうよ。魔法の事もよ」
僕は大丈夫だな。家でしか使ったことないし。
「これからは使わない事。いいわね?」
はい、釘を刺されました。
――僕と祐樹はその事による契約書みたいなものを書かされた。
僕の母さんが来たから仕方がなく自分の家に帰った。それで今は自分の部屋で音楽を聴きながらベッドに寝そべっている。
はあ、と何回目か分からないぐらいのため息をつく。
「ため息ばかり吐いていると、幸運が逃げてしまうぞ」
「祐樹、ありがとう。でも吐かずには、いられないんだよ」
「そうか」と祐樹は言って、部屋から出ていった。
母さんの言葉がさっきからぐるぐると思考の渦を回っている。
「あああ! もう考えるのやめたっ!」と僕は大声を出してから、現実逃避をするために寝た。