1 話
こんにちは。僕こと相川 奈織【あいかわ なお】は、幼馴染と共に魔族が統治している国に攫われ―――拉致されました。
今、僕達が居るのはなぜか牢屋。
「僕達、悪いことしてないよ~!」と騒いでみたが、反応なし。
愛梨は、まだ"寝てる"し。
あ、荷物どうしよう…空間に入れておこうか。僕は買った荷物を影を媒体として個人空間に入れた。
準備も出来たから後は、ここから脱出するだけ…まずはドアを破壊してから愛梨を運ばなくちゃ。
僕は、ドアに近づいておもいっきり蹴った――ここまでは良かった。
そう、そこには魔族の守衛が一人立っていた。
「……こんにちは」とひきつった笑みをして挨拶をする。
「今は、おはようの時間だ。所でお前、人間ではないな?」
「何言ってるんですか? 僕は普通の人間ですよ?」
「だとしたらそれは異常だな。……もしくは吸血鬼か」と独り言を言ってる。見逃してくれるのかな。
「おい、侵入者が逃げたぞ! 捕まえろっ!」前言撤回。見逃してくれませんでした。
僕は愛梨をお姫様だっこして走り出した。
どのぐらい走っただろうか。
いつの間にか、床は赤いじゅうたんが敷いてあり、壁には絵画が飾ってある。
遠くに、大きい扉がある。―やっと出口にこれた! と僕は、はしゃいで【瞬間移動】を使って扉に近づき勢いよく開けた。
僕は固まった。――そこには王と王妃が立派なイスに座っていた。
僕はまだ眠っている愛梨を魔法で床から数センチ浮かして汚れないようにすてから、跪いた。
「殿下。ご無礼をお許しください」こんな事になるならもうすこし勉強してくれば良かったよ。
「こちらこそすまない。人間…いや"少女"よ」
僕は、かしこまる姿勢をやめた。
「一つ言わせてください。僕は男ですっ!」
「すまない。少年よ名は何という?」
「相川 奈織です」
「相川 奈織か。どこかで聞いたような」
――有名なのかな?
「気のせいです」僕はきっぱりと言い放った。
「んっ……」あぁ。愛梨、間が悪すぎるよ。
「おはよう。愛梨」
「おふぁよう」ろれつが回ってないな。
「魔族の国へ来てしまったんだけど、分かる?」
「ん…」そういえば、寝起きは血圧が低いんだったけ。
いつもどうりになるのには30分掛る。その間の記憶は残っていない。チャンスは今しかない!
「"吸血鬼族"序列1位【相川】 ハーフ吸血鬼、奈織!」僕は宣言してから、封印していた力を呼び出した。
「やはり吸血鬼族の相川だったか」となぜか王は満足そうに頷いている。
「血吸わせて貰います」と言ってから一気に王に近づき首筋をカプッと噛んで、身体に害がないように一口飲んだ。
首筋から顔を離して、ごちそうさまでした。と言って愛梨の所の飛んだ。
これで逃げる事が出来ると、思い愛梨をおんぶして壁に近づいて壊そうとした時に、仕掛け式の魔法が発動した。
「くっ!」愛梨の身体に負担が掛からないように避けた。
――くっ、時間か…。
僕は再度、力を封印して身体全体に【浄化の焔】を掛ける。【浄化の焔】は意外と便利だ。
傷の消毒やにおい消し、それに回復の効果もある。一家に一魔法【浄化の焔】ってね。…ごめん。ふざけ過ぎて。
「おはよう。愛梨」
「おはようっ!」
「ふむ」嫌だなあ。
僕は無言で、『絶音』を部屋全体にかけた。
「――――」あっ、やばいなあ。今ので近衛隊を刺激してしまったみたいだ。
仕方がないので、僕と愛梨を対象から外した。
「近衛隊がピリピリしてるから急いで逃げよう」
「そうだね」
サイレンサーを消して僕と愛梨は走り出した。
グサッ! と矢が刺さった音の前に、左腕に激痛が走った。
今ので、バランスを崩していまい転んでしまう。
「奈織っ、大丈夫っ!?」と僕のもとへ駆け寄って心配してくれている。
「ぐぅうぅ」――魔法を使って治しても良いけど、そうしたら愛梨にばれてしまう。
「少女よ。少年を治して欲しければ、協力しろ」と近衛隊の――おそらく隊長だろう――人が愛梨に言う。
「ぐうぁ…駄目だ。……罠だ。それに乗っちゃ…ぐぁ…いけない……」激痛に耐えながら言うが、愛梨は動揺していて聴こえていないみたいだ。
『序列1位の【相川】はこの程度なのか?』と僕の頭に響いてきた。
僕は行動に移した。愛梨の顔に近づいてキスをした。しばらくして、愛梨が寝息を立て始めた。
再度、封印を解いて【浄化の焔】を使う。
少し、痛い目に会わせないといけないね。
「―僕に迷惑を掛けないでくれない? この国なんて直ぐに滅ぼす事なんて出来るんだよ?」
僕の言葉を聞いた近衛隊が一気に殺気を立てて武器を構えた。
「そんな物が通用するとでも思ってるの?」そろそろ魔力が具現化するなあ。
王は笑っていて、王妃は僕のことをじっと見つめている。
「これから僕と愛梨に干渉しないなら…やめてあげてもいいけどね」
「………」
「無言は肯定として受けとるよ? でもさっきのお返しはするよ」
言い終えた直後に近衛隊から、すごい量の殺気を出され、王の命令無しで魔法と矢を撃ってきた。
今の僕には、"そんな物"は当たらない! 僕は挑発するようにゆっくりと回避をする。
――さあ、楽しい遊戯の始まりだ!
遊戯って楽しいなあ。……あれ、僕って好戦的だったけ?
きっと、力の副作用だよね?
「王に近づけさせるな!」明日、筋肉痛で動けなくなるなあ。
――さてと、これで最後にするか。
僕は左手を上げて、手から光を出して爆発させた。……音だけだけどね。
近衛隊は王を守るために身体を盾にした。
「お返し終了♪」と上機嫌で言い、王に近づいた。近衛隊は警戒したけれど気にしない。
「――これから僕達に干渉するな。…したら、この国が無くなると思ってね」言いたいことは言ったから帰るかな。
僕は、愛梨にキスをした。さっき魔法で眠らせたからそれを解くためにだ。
「んっ… 奈織?」起きるの早いなあ。免疫が付いてきたかな。
「帰ろう」僕は手を繋ぎ数歩、歩いてから【瞬間移動】を使った。
僕の家の玄関を座標としてセットしておいたので、余計な人への混乱は無かった。
愛梨には魔族がやった、と言っておいた。――まだ、僕の事は教えたくないから。
「楽しかったわ。それじゃ、またね」と愛梨が言ってくれたのが唯一の救いだ。
愛梨が帰った後、家族会議が緊急で開かれた。勿論、今回の事だ。――って、父さんいつ帰って来たの?
「奈織ちゃん。2日間、愛梨ちゃんと一緒に何処に行ってたのかしら?」母さん、そこからなのね。
「父さんは悲しいぞ」勘違いしすぎだよ。
「魔国に攫われて、気が付いたら今日だったの!」
「残念だわ」
――もう、何も考えない。
「それで……お仕置きしちゃった」
「戦争か?」
「それは要らないよ。…所で"序列1位"の事を詳しく話してもらおうかな」序列の所から父さんと母さんが顔をしかめた。
なぜ、僕が知ってるかって? 地下にある書物に書いてあったから。でも詳しくは書かれてはいなかった。
「まあ、今じゃなくても良いよ。……力を使って、疲れたから少し寝るね」と僕は言い残して自分の部屋のベッドにダイブした。
よほど疲れていたのか、僕は数秒で寝息を立て始めた。
俺は、あの子に知られたことがショックだった。そのことは教えたくなかった。知らせたくなかった。
だが、あの子は知ってしまった。――なら、教えるのが一番だろう。
「教えるのですか? "相川"の事を」と妻が真剣な顔をして言った。
勿論、と俺は答えた。
内容、薄いなあ……。
5/14 修正。