7 話
遅れちゃいました……
シルヴィ。それが彼女の名前だそうだ。
彼女が言うには、これから僕たちを自分の住んでいる家に泊まらせるようだ。
「それで、奈織は私と一緒の部屋に寝ましょ」
「えっ、僕は祐樹の部屋でいいんだけど」女の子と一緒に寝るなんて無理です。
「ダメよ! 奈織は女の子でしょ?」ああ、そうか。そう思ってたんだ。まず、言わないといけないことがある。
「――僕は、女の子じゃない!」
「えっ」間の抜けた声だった。
祐樹は声をこらえながらお腹をかかえて笑っている。
「祐樹、部屋に着くのが楽しみだね?」お仕置きしてやるからな。
「おい、奈織。その言葉だと勘違いされると思うぞ」あ、そっか。
「じゃあ、お仕置きしないとね」
「いえ、奈織がする必要はありませんわっ! 私がやりますっ!」
「なんでお前なんだよ?」
それは、と言って口ごもるシルヴィ。
「お前、奈織の事好きになっ、ごぶっ!?」祐樹はその先をしゃべることが出来なかった。
なぜならシルヴィに鳩尾を殴られたからだ。
「黙らせてくれてありがとう」
「いえ、奈織が困っていたのですから。と、当然の事をしたまでですわっ」
「それでは行きましょうか」シルヴィが言ったのをきっかけに僕たちは家に向かった。
余談だが、祐樹は僕が引きずって連れて行った。
結構大変だった。