6 話
誤字脱字、感想をお待ちしています。
外を見てみると、陽が完全に落ちて暗くなっていて月がのぼっていた。
吸血鬼としての血が半分流れているからなのか"夜は興奮する"。――普段は衝動を制御しているが、過度のストレスで制御ができなくなっていた。
血が吸いたい。血を吸ってみたい。その欲求が思考を埋めていく。
奈織は気付いていないようだが、身体から周りにいる人を興奮させるフェロモンを放っているようだ。
「んっ……」何かをこらえる様に瞳を潤ませて顔を紅潮させている奈織。
「奈織、大丈夫か? なんなら馬車から降りてヤッてもいいんだぜ?」
「うん、おねがい」
月に照らさながら、血を吸っていた。
「ちゅう。んっ……。ゆうきの、血おいしい」奈織は顔を上気させていて、眼が据わっていて潤んでいた。
「奈織。あまり吸わないでくれ……。貧血で倒れてしまうから」
「むう。仕方がないなあ」僕は、どうしたんだろう。
その時、後ろから鋭い気配を感じた。――祐樹もどうやら気付いていたらしく顔の表情を変える。
「可愛い吸血鬼さんと人間の少年ですか」金髪で縦ロールをした女の子だった。
頭には、耳がついている。飾りかと思ったがよく見てみると動いているので飾りではなかった。
「君の血を吸わせて♪」女の子の後ろに飛んで血を吸えるように準備をする。
「ふん、話に聞いた通り相川の血の者は手が早いのですね」と言いながらも両耳と尻尾を嬉しそうにパタパタと動かしている。
「あれ? 僕、まだ何も言ってないんだけどなあ。……まぁ、いいや――かぷっ」女の子の首筋をカプッと噛みついて血を吸い始めた。
「ぁん。――相川の者に吸血される"だけ"で、こんなに気持ちいいなんて……。死んでしまいそうですわ」そこには喘ぎ声を出して上気させてる女の子がいた。
「そこのドリル。お前が案内者か」
そういえば母さんが言ってたっけ。
「貴方は私を侮辱してますの?」僕は血を吸うのをやめた。
「侮辱はしていないつもりだが?」あぁ、喧嘩腰になってるよ。
「祐樹、失礼だって」
「人間の分際で、なまいきですわっ!」
「からかっていると言った方がいいか?」
ますますヒートアップさせている祐樹。――この状況を楽しんでるな。
「案内者だったかな? そこの祐樹は放っておいていいから。案内をお願いできるかな?」
「私の名前はシルヴィよ」