第1話:元の世界
稚拙な文章ですが雰囲気で楽しんでいただけたらと思います。
それと自分が書きたいことを書きたい時に書くので不定期更新です。
気長にお楽しみください。
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とある世界線の、とある銀河の、とある星の、とある大陸の、とある国の玉座にて。
気怠そうに腰かけながら、深く被った魔法使いのフードの中に左手を入れて頬杖をついている青年。
見た目の年齢は20歳を過ぎたくらいで王としてそこに座るには若過ぎると感じる人が多いだろう。
しかし、この国の、この大陸の人々はその若き青年しかその国の王として考えられないと口々に言う。
彼は人々に【最高の魔法使い】【1000年続く魔法王国の頂点】【異次元の魔法使い】【魔法で作られたホムンクルス説】と言われる程卓越した魔法技術を持っている。
今も玉座に座りながら暇そうに天井を見上げたりしているが視線の先には夥しい数の、様々な色の魔法陣が玉座の間の壁から天井に至るまで隙間を埋める様に展開されている。
それを面倒臭そうに、いや、「めんどくせー」と実際に言いながら魔法陣に指を向けて何度か空中で指を振ると1つの魔法陣の模様が書き換わる。
この光景を見るためだけに謁見を申して立てる人もいるのだがそれは優秀な秘書官、というより正統な王家の者が弾いている。
そう。王と呼ばれている青年は王族ではないのだ。
元々、路地裏に捨てられていた薄汚れていた子供だった。生まれや育ちが分からず、髪や顔や服が汚れており生地が切れて素肌が見える服を辛うじて身に纏っていた。しかもようやく言葉を話せるくらいの年齢でだ。
色々あって。本当に色々あり当時の王妃に気に入れられて王家の人達に世話になることになった。
そこで初めて自分の名前を与えられた。【ノア】それが彼の名前だ。
ノアは身分的には前王夫妻の公爵家の養子扱いなのだが王妃が育てると宣言して丁度同じくらいの年齢の兄弟がいる彼らの友達として育てられた。
勿論、陰口や時には直接的な手段で害を受けたがその度に家族と言ってくれた王家と前王夫妻達が全力で排除してくれた。
ありがたいことに魔法の才能と努力が実を結んで自分で返り討ちに出来るようになったのだが自分で解決するようになったら寂しいと泣きつかれたので結局最後の時まで特に王妃には頭が上がらない程世話になっていた。
それで何故ノアが王になったか。幼馴染の兄弟の兄のガレンは口下手脳筋タイプ。妹のセフィアは美女は短命と言うらしいが20にもならないうちにこの世を去ってしまった。
同じ頃に王妃も亡くなったのだが王妃とセフィアが遺書で『王位はノアに。全軍をまとめるトップにガレンにすること。ガレンに政治は無理』と詳細は違うが2人共その様に書いていたのだ。
普通ならこんな遺書は通らないし血統や妬み等で妨害が入るはずが、魔法を覚えてから恩返しに王妃に何かしてほしいことは無いか?と幼いノアが聞いたところ『それなら民のために何かしてちょうだい?私達が優雅に暮らせるのは彼らのおかげだから』と言われたので魔法で様々な問題を解決していたら『実際助かってるしな~』という緩い雰囲気の元、王位についた。
反対派の貴族と一緒に反対活動をしていたが貴族だけでなく民からも賛成されて、反対勢力は本当の王族である国王達の忠実なる影達によって知らずのうちに消えていき押し切られた。
こうしてハシュバート王国の歴史上で1番緩く、1番長い王として君臨し続けた王『7代目国王。ノア・ハシュバート』が誕生したのだった。
在位期間は1000年を超えて先日大陸全体を巻き込んだ祭りを開催し終えたばかりだ。
先程の「めんどくせー」は祭り後の緩んだ空気に付け込んで悪だくみをする者達を止めるために魔法を発動していたからだ。
そう。玉座の間に展開されている魔法陣は様々な場所でほぼ自動で遠隔操作されている魔法だ。
これはとある異世界人から聞いたモノで『オートメーション化』と言うらしい。
その言葉と概念を魔法に組み込んだのが今も発動している魔法であり大陸のあらゆることを支えている魔法だ。
…しかしだ。
「変わらない退屈な日々…。もうなんか疲れたなぁ…。別の世界にでも行って気ままに旅でもしたいなぁ…」
視線に映る魔法陣ではなく、その先の窓から見える空に視線を向けて思わず呟くノア。
そんなことあるわけないか…。とため息を吐くと突如、足元が光り出し瞼を閉じててもその輝きが目に感じる。
目を細めながら瞼を開き、足元から感じる神性の魔法陣に視線を向けてすぐに理解する。
「異界への召喚陣だ!!ヒャッホーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
飛び跳ねて玉座から立ち上がり深めに被ったフードから男性にしては少し長めな、肩に当たるくらいの長さの白髪が現れる。
1000年を生きた青年。いや、青年か?…ともかくだ。彼は急いで大陸の運営のために展開していた魔法陣を全てキャンセルし、時間稼ぎのために足元の召喚陣に魔法を発動しながら3つの召喚陣を発動した。
そこから現れたのは杖を構えている永遠の幼馴染、ガレン。何か書類を運んでいた最中だったらしい正統なる王族の血統、セフィリア。額の汗を拭うためにタオルで顔を覆っている作業服の男、技術局のトップのドントレット。
3人共慣れたものですぐに事前告知無しに召喚されたことを察して文句の1つでも言おうとしてこちらを見て足元の魔法陣を見て緊急事態なことに気づいた。
「…ノア。それは」
「すまんガレン!時間がない!ドントレット!大陸中に通信魔法を!」
「…分かった!!………接続完了!3、2、1」
「やぁみんな!突然色々な物が止まって驚いているだろう!しかし緊急事態だ!どうやら異界に召喚されることになった!というわけで現時点をもってセフィリア・フォン・ハシュバートを8代目国王に任命する!」
「えっ!?!?」
「私がいなくなって様々な問題が出てくるだろうが皆で乗り越えてくれ!文句があるやつはいつも通りガレンに勝ってから文句を言え!これを見ている敵対心のある者達!俺がいなくてもガレンはいるから調子に乗っても無駄だぞ!」
「わ、わたしじゃなくてガレン様が国王になられて方が…」
「家族に適性が無さ過ぎて貧民街にいた俺に任命するレベルの人間だぞ?正真正銘の最強の魔法使いではあるが政治では優秀な子息レベルだ。諦めろセフィリア女王」
「…その通りだ」
「俺が魔法でしていたことはドントレット!前から言っていたやつを王都から整備していってくれ!あんたなら出来る!頼んだ!」
「………あぁ。最後の頼みくらい聞いてあげますよ」
「王位継承の証としてこの杖をセフィリアへと送ろう。セフィリア、困ったらガレンとドントレットに相談しなさい。でもガレンは言葉が足りなさ過ぎるから根気強く聞きなさい。女性関係のことは~、キュレイ夫人なら問題ないだろう!すまん夫人!!任せた!!それと1000年間、王やってた俺とセフィリアを比較すんなよ?俺に勝てるのはガレンだけだからな!ガハハッ!!あと悪いことしてる連中は証拠はこっちに残しておくから大人しくしていろ!まだ言い足りないことだらけだけど限界なので最後に…。ハシュバート魔法王国と平和を愛する全ての民に栄光あれー!!!」
こうして、大陸の8割を支配するハシュバート魔法王国7代目国王の最後の通信魔法と8代目女王の戴冠式が突発で行われたのだった。
その後どうなったかは分からない。何故なら彼は別の世界に召喚されたのだから。
反応があればやる気出ると思うのでリアクションだけでも良いのでしてくれたら嬉しいです。




