Ep,5 課題
異能の基礎理論、の授業も終わりに近づく中、
僕は一人で考え事をしていた。
(遺伝子の配列により、異能が決まる?、遺伝子の突然変異なら、変異する条件はなんなんだ?)
と自分の考えに夢中になっていると
「皇くん、何か質問かな?」
いつの間にか、教師が僕を見ていた。
はっとして顔を上げる。
「いえ、ありません」
「そうか。では、今日の課題だ。君たち自身の異能が、具体的にどの遺伝子配列に関わっているか、推測し、レポートにまとめなさい」
教室がざわつき始めた。
自分の異能の根源を探る、というのは、異能者にとって非常に興味深い課題なのだろう。
僕も、改めて自分の異能について深く考える良い機会だと思った。
放課後、僕は図書室で遺伝子に関する専門書を読み漁っていた。
レイは、いつの間にか僕の隣の席に座っていた。
彼女もまた、異能に関する本を静かに読んでいる。
しかし、彼女の視線が、時折僕の手元にちらりと向けられていることに気づく。
ここで僕はレイに純粋な疑問を口にした。
「レイの異能は、何なんだ?」
ふと、口から出た。レイは、僕の問いかけに、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳が、僕を真っ直ぐに見つめる。
「……私の、異能は……」
彼女が言葉を紡ぎ始める。
その口調は、いつも通り気怠げだが、どこか、僕にだけ打ち明けるような、微かな響きがあった。