Ep,4 教室
教室へ向かう廊下でも、僕たちは並んで歩いた。
レイは特に話しかけてくることもなく、僕は僕で、
(学校生活はどうなるんだろ?) と、これからのことに少し期待していた。
異能向上高等学校。
ここで、僕の異能を、どこまで高められるのだろうか。
あるいは、この先、どんな厄介事が待っているのか、、。
そんなことを考えていると、ふと横から視線を感じた。
レイだった。
彼女は、無言で僕を見つめていた。
その瞳は、やっぱり少し気怠そうだが、その奥に、何かを期待するような、そんな光が宿っているように感じた。
「なんか、面白いことでもあったか?」
僕が尋ねると、レイは何も言わずに、ただ首をわずかに傾けただけだった。
そして、すぐに視線を前に戻してしまった。
彼女の小さな変化に気づきながらも、それが何を意味するのか、僕にはまだ分からなかった。
ただ、このレイが、少しばかりは学校生活に彩りを与えてくれる、そんな気がした。
教室に着くと、僕は、自分の席を確認した。
「え!?こんな偶然あるのか!?」
危ない、もう少し大声を出すところだった、、
なんでびっくりしてるのかって?、そりゃあ、レイの席が僕の隣だからだよ、
僕は少し驚きながら、レイと一緒に席についた。
今日は入学式だし授業は無い!と思っていたのだが、入学初日に早速本格的な授業が始まった。
午前中は一般教養と座学、午後は異能に関する実技や特別講義があるらしい。
異能向上高等学校というだけあって、異能に関わる授業は充実しているようだ。
最初の特別講義は「異能の基礎理論」だった。
壇上には、白衣を纏った若い女性教師が立っていた。
彼女は特殊な機械を使い、空中にホログラムを映し出す。
そこには、複雑に絡み合った二重らせん構造の図が表示されていた。
「皆さんもご存知の通り、異能の多くは遺伝子の配列によって発現します」
教師は淡々とした口調で説明を続ける。
「突然変異によって特定の遺伝子情報が活性化し、個々の異能として顕在化するのです。例えば、視覚が発達する異能であれば、目の細胞に関する遺伝子が、聴覚であれば耳の細胞に関する遺伝子が、それぞれ最適化されている、というわけです」
僕の隣で、レイは相変わらず無表情で講義を聞いている。
ただ、時折、彼女の猫耳が僕の方に、傾いているのを僕は知る由もなかった。