Ep,3 入学式
入学式は、正直言って退屈だった。
校長の話は長く、異能の発展がどうとか、人類の未来がどうとか、特待生は誰々とか、くだらない話ばかりで、正直僕は暇でしかなかった。
隣に座っていたレイも、僕と同じように退屈げな表情で、時折、猫耳をぴくりと動かすだけだった。
しかし、その視線が時々、僕の方へと向かっていることに、僕は気づかなかった。
入学式が終わり、僕はレイと一緒にクラス分けが書いてある掲示板の元へと向かった。
「入学式、暇だったぁぁ」
「…暇だった」
やはり、レイも暇だったようだ、そんなことを会話をしていると、やっと掲示板の元へと到着することができた。
だが!それも束の間、掲示板の周りは人々でごった返していた。
「うへぇぇ 人多いってぇ」
だけどクラス分けは見なくてはならない! 勇気を振り絞り僕はレイと掲示板を見に人の波の中へと身を投げた!
やっとのことで掲示板の前に到着すると、僕は自分に名前を探した、
A組 皇陽一
自分に名前を見つけた、、
「ふぅ、これで僕も晴れて異上高校の一員か」
でも、入学できた嬉しさより、むしろ早くこの人混みから抜け出したい気持ちの方が強かった。
「……陽一」
僕の背後から、微かな声が聞こえた。
振り返ると、そこにはレイが立っていた。
彼女は、僕と同じA組の列を、ぼんやりと見つめている。
彼女の視線が、僕の名前のすぐ下で止まった。
A組、レイ
偶然にも、僕たちは同じクラスなったのだ。
「おー、同じクラスか」
僕がそう言うと、レイは小さく頷いた。その表情は相変わらず無表情で、感情を読み取ることは難しい。
しかし、そのしっぽが、わずかに揺れているのが僕には見えた。
それは、彼女の内心の、ちょっとの高揚を示しているのかもしれない。
「よろしくな、レイ」
僕が改めて声をかけると、レイは僕の目をじっと見つめた。
そして、小さな、本当に小さな声で「……よろしく」とだけ返した。
彼女の耳が、僕の顔の動きに合わせて、かすかに傾いたような気がした。