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民と神子
神子様。
王妃様。
そう呼ぶ声に微笑み手を振る。
隣には同じように民の声に応え、微笑み手を振る国王。
時に顔を見合わせ、微笑み合う姿に民は更に沸きあがる。
国を救ってくれた神子と国王。
国のために戦い、勝利した神子と国王。
その二人が愛し合い結ばれて。そうして仲睦まじい姿を民に見せる。
それは何より民を安心させ、民を活気づかせる。
それはテラスの上、神子と国王は眼下に集まる民へと向けて言葉を放ち、そうして二人寄り添いあって城の中へと戻っていく。その後ですらも、民は大きな声で神子と国王を敬う声を上げるほどに。
城に戻った二人が、神子がすいっと国王から離れ、国王が何とも形容しがたい表情でそれを許したことも知らずに。
微笑んで手を振り去っていく神子を、罪悪感に押しつぶされそうな目で見つめる国王がいることも知らずに。
民は神子と国王を称え続ける。