新着情報
・レオンハート、ミネルバ、リン 湖の洞窟踏破!
・アルフレッド 3000クエスト達成!
・年間最多報酬獲得者はカイエン!
各地のギルドの掲示板には冒険者たちの輝かしき功績が貼りだされる。名誉を求め彼らは我先にと危険なクエストに挑戦したり、未開拓なダンジョンへと潜っていくのであった。
ケヴィン達もご多分にもれず無謀とも言える挑戦を繰り返しようやく掲示板の常連となってきていたのだった。
こちらの世界に転生されていなければ更に修練を積み仲間たちと今頃常闇の迷宮踏破という新たな足跡をそこに残せていたかもしれないのに、、、、そんなことを悔やみなが鉄工所の食堂で今日の新聞に目を通すケヴィンの姿があった。
昼休みの休憩時間、ケヴィンは主に食堂の片隅にある休憩スペースで新聞を読んで過ごすことにしている。
何をするにも情報収集は基本だ。必要な情報を集めるだけ集め万全な準備をしミッションに取り掛かることが一番の近道であると彼は信じている。そしてどんな小さなことでも良いので元の世界に戻るための何かのヒントでも潜んでいないかと密かに願っている。
・レアメタル新抽出法確立
・VR規制法案可決の見通し
・スペースデブリ低減のための新たな取り組み
まるで暗号のようで何を言っているのかも分からない文言がまだまだ多く記載されている。研修で習得した知識でこちらの世界についての大部分を知ったつもりでいたが、それが単なる思い上がりであったと痛感せざるを得ない。
元の世界に戻るのに実際必要か?と言われると不要な情報なのが大半を占めている気もするが今できることはより多くの情報を集めることくらいしか出来ない。やれることは可能な限りやると決めていたので、全ての記事に目を通すようにしている。
ニュースに目を通していると地下資源をめぐって隣国と争いをしているという記事や宗教の違いによりテロが起こったという記事が載っていない日がない。なんと人間同士で争っているのだという。魔物たちから身を守ることが先決で人間同士で争っている場合ではないケヴィン達の世界ではありえなかったことだ。
街の結界も城の城壁も基本それらに対しての防護策である。
転生されてからこれまで心優しくしてくれた人々を目にして来た彼にとって、人々が命を奪い合うという惨状がこの世界の別の場所で繰り広げられているということがとても信じられなかった。元の世界で魔物たちとの戦いに燃えていた時期もあったがとても人間とは戦いたくない、その点に関して言えば転生されて来た場所が良かったと思わずにはいられない。
争いの辛い記事を読んだ後、小学生が猫を助けたという心温まる記事で口直しをしてケヴィンは新聞を閉じた。