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ダンジョンマスター
ダンジョンマスターであるネロはその日、創生の神から神託を受けた。
新たなダンジョンを期日までに創り出し、その最深部にてあるものを守り通せとの内容であった。そのあるものは世界の運命を左右するもので決して人の手に渡ってはいけないものだと言う。
責任重大な任務であったが長年ダンジョンマスターとして多くのダンジョンを生み出し冒険者たちの前に立ちはだかって来た彼には自信があった。
この世界のダンジョンにはいくつかの制約条件があるのだが、そんな中でも未だに完全踏破者が出ていない常闇の迷宮を創り出したのがネロ本人である。
この新しいダンジョンはダンジョンマスターネロとしての集大成であり、恐らくは最後の作品になるという予感がする。
最高傑作である常闇の迷宮を超える難攻不落のダンジョンを完成させると言う強い意志の元、神託を受けたその日のうちに創作を開始する。
創生の神が自分を選んでくれたこと、そして久々に手掛ける大仕事に自ずと笑みが漏れる。
創生の神が提示した運命の日まで 89日