ニューアイテム
面会から一週間が過ぎ、ケヴィンは部屋を訪れた三浦から新しい携帯電話を手渡された。
面会が終了し、解散直前に今後もたまにこのような会合を出来るようにと連絡先を交換しようという流れとなった。
「え?ガラケーなんですか?メッセージアプリ使えませんね、、、、」
という木村の一言によりケヴィンの携帯電話がスマートフォンへとランクアップすることとなった。。
職場でもケヴィンと同様のタイプの携帯電話を使っている人間はレアであったが、特に不便を感じていなかったため気にもしていなかった。
聞くところによると通話だけでなく、ゲームやいろいろな検索も出来るということだった。使いこなせるかは別として情報収集には有益だろうと思い、これを機にということで三浦に相談したところ転生者のIDカードではいろいろと制約があるとのことで三浦が新しい物を準備してくれることとなりそれが本日届いたとのことだった。
「今後これを使用してください、前の物と同様常に肌身離さず持ち歩いてくださいね。
メッセージアプリはこの間、佐々木さんと木村さんが使用していると言っていたものを入れてありますので今後簡単に連絡取れるかと思います。
私も同じもの使ってますので何かあれば電話でなくこちらで連絡してもらっても良いですよ。
最初からそうしていれば良かったですね、気が利かずにすいません。」
「いえ、今までので十分役目は果たせていたので、、、最初に渡されてもきっと電話くらいしか使い道なかったでしょうし。」
基本的な使い方と注意事項を説明し終わると三浦は、
「ゲームも使用できますがくれぐれもやり過ぎないようにしてください。課金とかのトラブルが発生しても困りますから。」
そう言い残して帰って行った。
三浦が帰った後、しばらく一人で受け取った端末を操作してみる。必要最低限のアプリだけを入れてありますとの説明だったが今までのそれに比べ格段に出来ることが増えている。当面は操作に慣れることに専念するようだろう。
そうこうしていると携帯が鳴った。
メッセージアプリに木村たちからのメッセージが届いたようだ。
『スマホデビューおめでとうございます!また楽しい昔話しましょうね』
と、可愛らしいスタンプを添えて送ってくる木村に対して、
『先日は貴重な時間ありがとうございました。少しでも元の世界への情報ありましたら共有出来ればと思います。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。』
と、非常にかしこまった文章だけで連絡をくれる佐々木であった。
先日は電話番号しか交換していないのに、何故先ほどスマホデビューしたことを二人は知ってこのメッセージアプリにメッセージを入れてくれたのだろうか?ケヴィンはかつて携帯電話を初めて手にした時のように何故か部屋の周辺を見回してしまうのだった。
「あ、、、り、、、、、が、、、と、、、、う、、、、ご、、さ、い、、、ま、、、す
こ、、れか、ら、、も、、、、お、ね、、が、、いし、、、ま、す」
とりあえず、もらったメッセージに対して返信をしなくてはと思いなれない画面操作でなんとか返事を送ることに成功した。