面会(元の世界では)
ケヴィンが目覚めた後しばらく研修を受けた懐かしの施設の一室に男女6名が集結した。
他の転生者と会って話がしたいという彼の申し出によって集まった転生者3名とそれぞれの担当官3名であった。
「中田さん久しぶり~、ここも懐かしいなぁ。」
久しぶりに会う担当官に施設の入り口から終始ハイテンションな女性は木村祐美と名乗った。元の世界ではバーバラという名前で西の大陸にあるイズールという都市でそこそこ繁盛していた食堂を営んでいたと言う。
「イズールは西の大陸で1、2を争う大都市ですよね、そこで食堂をやっていたとは凄いですね。」
「よくご存じですね、久世さん、、、、ここではケヴィンさんで良いのかな?はイズールにいらっしゃったことあるんですか?」
「えぇ、まだ本格的にパーティを組む前に世界各地を回って修行がてらにいろんなクエストに参加していたんでイズールのギルドにも厄介になってました。確か近郊の森に発生したオークの巨大コロニー殲滅作戦とかに参戦したんじゃなかったかな。」
「え~、偶然!それ私も参加していた!」
「え?」
「食堂開業のための資金稼ぎに元々はゴリゴリの冒険者だったんです、私。」
「、、、、、ひょっとして、、、業火のバーバラ?」
「ははは、そんな名前で呼ばれていたこともありますね。」
参加した作戦で強力な炎属性の魔法を使う女魔法使いがいた、西の大陸では名の通った冒険者で1/3のオークは彼女の炎により退治されていたと記憶している。
まさかこちらの世界で昔の自分を知っている人間がいるとは思っていなかったバーバラは少し照れながらもう一人の転生者に話を振る。
「佐々木さんは何をされていたんですか?」
「私は中央大陸の片田舎で神官として働いていました。孤児院の手伝いや街のみなさんの相談にのったり、冒険者の手当てなどを細々とやっていました。
お二人のように輝かしい功績は残念ながらありません。」
「中央大陸でも多くのダンジョンに挑戦したので、、、実は以前にお世話になってるかもしれませんね。」
「かもしれませんね。静かな街だったのですがある日突然ダンジョンが出現して忙しくなったのを覚えていますよ。」
「、、、、そこに行っていないかもしれませんが、、、すいません。」
「いえいえ、田舎の貴重な収入源にもなりましたから。」
「、、、、ははは。」
神官と言えば望めば誰でも慣れるという職業ではない、ケヴィンがパーティを組んでいたニーナの職業聖女と同様かなりのレア上級職である。正直神に仕える神官までもがこちらの世界に転生されているということに衝撃を受けた。
転生されるのは一体何基準なんだ?
そんな疑問から各々が転生される直前の様子の話となったが、迷宮で力尽きた後、店じまいをして片付けをしている時、担ぎ込まれた冒険者の呪いを解いている最中と三者三様だった。
こちらの世界で目を覚ましたのは病院のベッドの上で間もなくして担当官が現れたということはどうやら共通した事項であった。