Episode 9 四天王タルトタタン
「キャハハハ、見ぃーつけた♪」
ハンテンテーン!
すかさず女神を盾として差し出す。
「ぎゃぁあああーー」
それを放り捨てる。
「ぶぎゃ」
「最後まで使える優秀な喋る盾を持ってて良かったぜ、こいつの利用価値の九割は服にあるがな…」
「ひどいねー、人の心はないの?」
「うるせー、いきなり街中で攻撃してくるやつにいわれたかねーんだよ、やるんだったら、太陽が落ちてからにしやがれ!」
「だけど、甘々なんだよ! おバカな勇者さん」
少女が左の眼帯を外す。
ハンテンテーン!
「こっちは最初から二段構えだからねー、私は四天王タルトタタン、たった今お前の人格を葬った者だ」
「ダメでゃぁ、この勝負は勝てない、怖ひ、撤退だぁぁあああー!!」
「アハハハハ、無様、無様、これが勇者とは世も末だねー」
女神様を置き去りにして遁走する。
最速勇者は女神様をいらないものと瞬時に切り捨てた。
その頃女神様は大地と仲良くおねんねしていた。
「うひゃぁー、地面で寝転がるのちょー気持ちいい、もう何もしたくなーい、誰かー、酒を持ってこーい!」
ところ変わって、ここは宿屋。
「さて、下手な芝居はもうこれでいいだろう、やつめ、俺を煩せておいてただで済むと思うなよ! 最速で地獄に叩き込んでやる!」
「ラストさんはあんまり変化がありませんね…」
「まぁな、俺はスペシャルにふざけた存在だからな、そんな芸ごとき歯牙にもかけない」
「あのー、タティチちゃんはあのままでよかったんですか?」
「ああ、あいつもガキじゃないからな、寂しくなれば、勝手に戻ってくるだろう…」
「そうなんですね、分かりました!」
「幸いにもここには女神の残した本財布とカラアゲボウを売った金がある、やることは2つだ、タルトタタンの誘拐、そして、全力パンチだ! 前者は今から闇ギルドに行く、後者はこの街全てを利用する!」
(…もしや、勇者カラアゲもこの術中に嵌まったのか?)
殴られ屋、殴られ屋がこの街に来たぞー!
「どっせぇぇええーーい!」
「シェラァアアアーー!」
「アビダバドゥバァー!」
「コンニツィハー!」 …
掛け声は千差万別、色々なやつに殴られ、最後の勇者は固い握手を交わし続けた。
「俺の筋肉どうよ?」「うむ、最高筋肉!」
文が届いたので、最後の勇者は誘拐現場へと向かった。
「放せー! 卑怯なんだよ、気配を消して何十人で襲ってきやがって、それがいたいけな少女にする行為か!」
「知らん、金を貰えれば、如何なることでもやる、それが闇ギルドだ、今回はたっぷり金を積んで貰ってな、ウハウハだ、ワハハ」
「クソがぁぁああーー!」
「おう、ちょっぱやく再会できたな」
「てめぇは、バカな勇者! あの時、確実に人格を狂わせたはず! 現に今までのやつらは全員再起不能だった…」
「甘々だな、俺をそこらへんの雑魚と一緒にすんじゃねーよ、何より、お前は端から負けている! なぜなら、お前の反転・転は一周して表に戻るという意味だからだ、言葉の響きだけはそれらしいがな、俺という存在がその確たる証拠だろ?」
「バカな、あり得ない!」
「いーや、お前はもう既に認めている、なぜなら、お前の姿が少女から醜悪な魔族に戻り始めているからな!」
喰らうがいい、この街の全ての暴力を!!
「ぐがぁあああーー!!」
「…ふぅ、バカで良かったぜ、ちょっと揺さぶりをかけたら、信じ込みやがった、流石に少女を殴り飛ばすのは気が引けたからな…」
最速討伐完了!! 死因:勝手な思い込み。
「起きろ! このバカ女神!」
「いだっ、なんでデコピンすんの? いだっ、いだっ…、無限はやめてぇええーー! 次からは真面目に働くからぁぁああーー!」
To Be Continued…
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