Episode 6 四天王シオジャケ (温泉回)
「なんかこの街で一番いい女を引っ掛けられそうです」
「タテテちゃん、よく見といてあげてね」
「はい、勿論です、この街で一番いい男を落とせる自信があります!」
「ダメでしたぁああー! レベルアップ病にかかってる、短期間に急激に上昇すると、高揚感、万能感が抜けずに何でもできると思い上がっちゃうのよね、まぁ、あんたには関係ないでしょうけど…」
「よくぺらぺら回る舌だな、その舌引っこ抜いてやろうか?」
「なんでっ!? 説明してあげただけでしょ、ひどいよ、自分がレベルアップしても能力が上がらないからって、八つ当たりすんなー!」
「酒を禁止にする!」
「やめてください、それだけが心の救いなんです、何でもしますからー! 今日も飲みたいのー!」
ここは温泉街、砦の魔物達に転移で兵糧を渡していた者がいるという情報があったので、赴いた、情報元は盗賊ギルド、女神様の金を握らせたのだ。
最後の勇者は女神が臭くなってきたので、温泉へと向かった。
「見よ、この高速転移魔法を! 儂はな、こいつを駆使して、各地の温泉を不正に渡り歩いておるのじゃ、入湯料なぞ一度も払ったこともない」
「ほぉー、そいつはすげぇな、さぞかし美人もいたんじゃねーか?」
「ほほほっ、そりゃぁな、気配が鋭い者もおったが、魔族の視力は人族の数倍じゃからな、丸見えじゃぁああー、ひょひょひょ」
「そんなじいさんの技をもっと見せてくれよ、ほら極上の酒だ」
「そこまでいうんなら、見せてやろうかの? 秘技・高速二十連転移を!」
「あっちの壁の向こうは人がいないと聞いてるからオススメだぜ…」
「…待て、待ってくれ、わざとじゃない、嵌められたんだ、そうだ、転移、転移! うぴゃぁああー、遊び過ぎてMPがない!」
「…犯罪者はみ~んなそう言うんだ、良かったな、幸いにもここにはC級、B級、A級、選り取り見取りだぞ、天誅ーーー!!」
「ぎゃぁあああーー」
死因:女湯への転移(故意)一片の悔いもなし。
「そーいえばー、今日外が騒がしかったけどぉー、何かあったんれしゅか? ヒック」
「色欲に狂った魚が帰巣本能を発揮しただけだ、戻る川を盛大に間違ったがな」
「ほーん、肴食いたくなってきた! はよ取ってこーい!」
最後の勇者は荒ぶる女神を無視して、就寝した。
朝方ケンイチとタテテが帰ってきた。
「ねぇ、ダーリン」「なんだい、ハニー」
「…うぜぇ」
「まーまー、おそらくこっぴどく振られて落ち着くところに落ち着いたんだから、大目に見てあげなよ」
「そうだな、相手がいなくて行き遅れてるどこぞの女神よりはずっと健全か」
「はぁあああー!! 馬鹿にしてんの? 私だって、昔はめっちゃモテたんだからね、行こうと思えば、いつでもいけんだよ!」
「ハハハ、とんでもない戯れ言だな」
「ふんぎぃいいいーー!!」
To Be Continued…
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