Episode 4 最後の街と最後の仲間
最後の勇者は太陽の最後を見届けた後、最後の街に入った。
街の薬屋にて。
「ここにあるハイポーションを全てくれ! 俺は最後のハイポーションが買いたい! ラストポーションをくれ!」
「いらねーわ! そんなに! どうせまだまだ奥に仕舞ってあるの、絶対! 20本よろしくお願いします。あとラストポーションなんかないから!」
「ちぃ、水を差してんじゃねーよ、ドブスが!」
「うんうん、上等だ、表出ろやぁー、店主、ゴラァー!」
ハイポーション飲んで元気満タン!
「飲むんじゃねーよ! あんたのHP、飲む前から全快だったから! 意味ねーから!」
「最後の味の確認だ、戦闘中は確認できないからな…」
「もう嫌だ、この勇者…」
街のギルドにて。
先にどうぞ、先にどうぞ、どうぞ、どうぞ…
「あんたはさっきから何をやってのよ?」
「最後尾に行こうとしてるに決まってんだろ、人に譲れば自ずと最後尾をキープできる」
「バッカじゃねーの! キープする必要なんかねぇーから」
やっと順番が回って来た。
「勇者…? 書き直して下さい! 最近多いんですよね、自分の事を特別だと勘違いしちゃう人、あなたみたいな悪人面でバカな勇者様がいますか? 私、見てましたよ、意味不明に列を乱しているのを!」
「ハハハ、ざまーみろ、普段の行いが悪いからそういう目にあうんだ、品行方正な私を見習いなさい!」
「あなたもですよ、なにが女神ですか! 書き直して下さい! あなたよりよっぽど石像の方がオーラを放ってますよ」
「ガーン、石! まさか石に負ける日が来るなんて…、私、ショックで立ち直れないかも知れない…」
人に譲りまくって時間が経ったので、E級冒険者しか紹介して貰えなかった。残り物には福があるのだ。
「よろしくお願いします、僕は剣士をやっていて、隣の子は魔法使いです、確か武道家さんと回復術師さんですよね?」
「ええ、そうですよ、回復術師兼女神詐称の私です」
「ラスト、武道家だ、よろしくな、最後まで使おうと思ってる使い捨ての平凡な盾ども、略してタテニ、タテテ」
「…なるほど、場を和ます為にわざと冗談を言ってくれたんですね、感服します、まさか呪詛対策にあだ名まで考えてくれるなんて…」
「…その通りだ、よく分かったな」
「いや、ぜってぇー、思ってなかっただろ、騙されるな、純朴な少年!」
「黙れ、タテイチ、最後と言わずここで売り払ってもいいんだぞ」
「ぴぎぃいいー、何卒それだけはご勘弁を…」
このあと女神様はなんとかあだ名をタティチに変えさせた、めっちゃ頑張った。
「タテイチやだ!」「ダメだ!」
「タテイチやだ!」「ダメだ!」
「タテイチやだ!」「ダメだ!」
「ふぅ、しつこいな…、タティチにしてやる、感謝するんだな」
「おけまる」
占い師に占って貰おう。
「全~然ダメじゃ、これぽっちもなーんも感じん」
「流石は偽物勇者様w、私が本物の力を見せてあげるわ!」
「いや、お主も同じじゃぞ、才能の一欠片もない、ぷぷぷ」
「はぁあああー、ババア、もういっぺん言ってみろや! ぶち殺すぞ! これでも女神学校では超成績優秀だったんだからー!」
「年を取ってもう枯れたんだろ?」
「まだまだわけーよ! 肌とかツヤツヤな努力してるから!」
「自分で努力って言ってんじゃねーか!」
「そちらの剣士や魔法使いはスゴイ才能じゃのう、だが、まだまだ青い、もっと精進するのじゃ」
その晩、女神様は深酒した。
最後の勇者は金をくすねて、最後の掘り出し物を街で買った。
To Be Continued…
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