第7話 決着VSオーク
ここで俺の能力を解説して行こう。
因みに能力と言うか、ほぼズル技である。
この世界では幻影魔術と言う魔術がある。
しかし、それは大いに軽視されている。幻を見せる、幻覚を作る、相手に催眠を掛ける。使用用途は様々だが、そのおおよその使い方は騙す事に通じている。
しかし、これが厄介な事に相手が強かったり、精神的に強靭だと上手く掛からなかったりする。唯一の相手の強さに関係なく作用するのは幻を作ると言う魔術だろうか……
例えば「炎を出す」のではなく「炎を出した様」に見せかける魔術だ。
簡単に言えば見た目だけのハリボテ魔術と言っていいだろう。ここまではマジックの類いと変わりない。
だが、ここからが幻影魔術の真骨頂である。
行くでぇ!! 《ドッペルゲンガー》発動!!
すると、アタイの姿をした分身が二人現れた。
これが幻影魔術、第一の妙技!!
《ドッペルゲンガー》である。
世の中には自分を含めて三人、同じ顔の人間がいると言うだろぉ? それだよ、それ。
まあ、ドッペルゲンガーとは言う物の何体でも出せるんだけどね。まあ、出せば出す程に細かい操作に影響を及ぼしちゃうから。私が出すのは精密に操作できる二体まで。
これでケリをつける!!
そして、第二の妙技、名付けて!!
《突撃マ○ックミラー号》である。
幻影魔術で壁を作り出し。更にその魔術で作り出した壁に見せたい風景を投影する。これにより、向こうからはこちらの様子はわからず。こちらは好きな風景を相手に見せる事が出来ると言うスーパー必殺技である。
そして、スーパー・ド下ネタである。
現在見せている景色は普通の森の景色に本物のアタイとリアナちゃんだけを消した景色を見せている。
つまり、オークから見ると私とリアナちゃん二人が突然姿を消し、何故か私が二人出て来たと言う意味わかんない状態になっているはずだ。
因みに、この絶技はエロ目的で開発したが、今だかつてそう言う意味で活躍の場面を得る事はなかった。補足として言うならば、暗殺の場では活躍の機会は星の数程与えられた偶然の産物が産み出した絶技である。
もちろん、内側からは外側の様子が丸見え。スケスケである。
スケェスケェ!! サスケェ!! である。
よっしゃ!! レツゴ!! ドッペルゲンガー!!
そう念じると共にドッペルゲンガーがオークへと襲いかかる。オークは意味わからない状況も相まってかしっかり騙され動揺している。
まんまと分身したアタイ×2を相手に大立回りを演じている。
分身したアタイもすばしっこく、オークのブンブンと振り回す拳を華麗に避けている。後ろからの攻撃も華麗に避けている!
す、凄い。背中に目がついているのかぁ!?
ま、まるで遠くからオークの攻撃を見て避けているかの様ではないか!? 凄いッ、凄過ぎるぅ!!
まあ、それもその通り。だって遠くから見ているアタイが操作してるんやから、そらそうなるわな!!
しかし、幻影は幻影なので触られたり。攻撃が当たったりするとドッペルゲンガーはそのまま霧になって消えてしまう。
だけど、これだけお膳立てすれば下準備は十分。下つっても、下ネタって意味じゃないからね。
とまあ、下らないジョークを言って自分を落ち着かせ、私はゆっくりと立ち上がりオークへと歩み寄る。
この際も《マジッ○ミラー号》の壁を徐々に移動させ、オークにバレないように移動する。
もちろん、本体である私に攻撃が当たらない様にドッペルゲンガーも上手く操作し誘導して行く。
その間に、本体である私はオークの背後へと回り込む。
そして、オークが拳を振り上げ打ち下ろした瞬間。《○ジックミラー号》の領域から飛び出し、オークの首にナイフを思い切り突き刺す。
その瞬間、獣の呻き声と共にオークが身を捻り、こちらに掴み掛かろうとしてくる。
しかし、しっかりデブなのが災いしてこちらにまで手が届かない様だ。
こちらも、これ幸いとプッシュダガーナイフを抜いては刺し、抜いては刺しを繰り返す。常人だったら三秒くらいで動けなくなる程の毒なのに、もう三十秒はそんなやり取りをしている。
まさか、分量が足りなかったか?
いや、そんなはずはない。オークが純粋に生命力豊かなのだ。やはり、野生の魔物とは恐ろしい物だ。
しかし、そんな事を思った矢先、オークは力無く地面に膝をつくと、そこままへたり込んでしまった。
よっしゃ!!
ウインナー!!
イエーイ!!
ワイの勝ちじゃ、ボケェ!! カスぅ!!
これに懲りたら、二度と逆らうんじゃねぇぞ!!
あぁ、そうか!! もう、逆らう事も出来んなぁ!!
見ると、オークは地面にへたり込み、ピクピクと痙攣している。
普通、人だったらもうとっくに死んでるハズだけど、まだしぶとく生きてるみたいだ。本当に恐ろしい生命力だ。
あんだけ罵倒しといてなんだが素直に尊敬する。しかし、このまま苦しみを与えているのも可愛そうだ。速く、首を落としてしまおう。
俺は手に握ったナイフに力を込め、オーク首に突き刺す。
そして、思いっきりその首を切り裂いた。




