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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
眠る大火山、ホワイト・ヘッジ編
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第52話 いざ、ホワイト・ヘッジへ

「はい、ミィちゃん。日焼け止め。塗り塗りしましょうね~♪」

「うに~♪」


 軟膏容器から日焼け止めすくい取り、ミィちゃんの頬を撫でる様にして日焼け止めを塗ってあげる。ミィちゃんは何やら堪らないと言った様な表情を浮かべて、目を細めながらこちらを眺めている。

 かく言う、私も堪らないと言った表情でミィちゃんの頬を撫でているんだろうね。


 それはしょうがない、ミィちゃんが可愛いから。

 本当に可愛い。一生撫でてられる。


「はい、これで大丈夫!」

「ありがと~!」


 ミィちゃんが嬉しそうな笑顔でこちらを見て来る。私も笑顔をミィちゃんに返してみる。


「日焼け止めたぁ、呑気なモンじゃねぇか!! 豪気なんだか、繊細なんだかわからんなぁ!! ハッハッハッ!!」


 そう言ったのは、私とミィちゃんの様子を眺めていたザルウォーさんだった。ロックとカナルさんは航海中に何度も見ている光景なので大した反応はしていないが、レックスさん一向は何やら物珍しげな顔でこちらを見つめていた様だ。


「クレアちゃんて、御化粧とかしてるの?」


 リアナちゃんがそんな事を言いながら何やらジロジロと私の顔を見詰めてきた。


「してない。これ。日焼け止め。これ。やらないと。私は。焼けど。しちゃう」

「火傷?」


 そう言うと、リアナちゃんがキョトンとした顔を浮かばた。まあ、普通はわからないだろうね。

 それに、リアナちゃんのほんのりと日に焼けした健康そうな肌は、私のヨワヨワな肌とは違って、そう言った事には縁遠いのだろうからね。


「肌が、凄く弱い。太陽の光で。焼けどしちゃうの」

「そ、そうなんだ…… 大変なんだね……」


 なにやら、リアナちゃんが一瞬、少し落ち込んだ様な表情を見せた。もしかして、病弱アピールに聞こえたかな? 決して、そう言う意味で言ったんじゃ無いけどな。どうしよう、そう思われてたら。ウザい、女みたいになってないかな?


 そんなことが頭を過った矢先、レックスさんの声が響いた。


「さあ、皆さん、こっちですよ。着いて来てください!」


 そう言った、レックスさんはホワイト・ヘッジを背にし、こちらに向かって手を振っていた。



 私達は今、ホワイト・ロックの街を出て直ぐの広野にいます。


 ホワイト・ロックはカルデラの窪みの中に造られた街になっているから、大陸の内陸に上がるにはカルデラの境界線となる高い崖を登るか、崖の中の洞窟を少しずつ昇りながら大陸へと上がるしかない。


 だから、ホワイト・ロックのギルドには大陸に内陸部に上がる為の洞窟が開通させているみたい。それを、私達は今しがた通り。大陸内部の広野へと足を踏み入れた。

 だけど、その矢先に強い日差しと潮風、火山により熱を帯びた大地を目の当たりにして直ぐ様、私は日焼け止めを取り出して今に至ると言った所だ。

 正直、これらをまともに受けてたら、私の身体は半日で水ぶくれだらけになってしまう。 


 いや、それにしても高い山だな。少なくとも富士山よりは高いと思う、まあ、正確な事は何もわからないけど。

 

 それに広野は草木が一応にはえているけど、所々茶色く枯れている所も見える。そして、その場所からはゴツゴツとした岩肌の様な地面が露出していたりする。

 私が現在立っている場所も草がはえそろっているが、その下はゴツゴツとした岩肌の様な地面が姿を隠している。


 これはここいら一帯が溶岩流が固まって出来た地形であることを示しているのだろう。

 そして、今から進まんとする道には木々が鬱蒼と繁った森が姿を見せていて。その森の切れ間にレックスさんが立っていて、こちらの方を眺めて手を振ってくれている。


「この森は樹海になっています、迷わないように気を付けてくださいね」


 そう言うと、レックスさんは森の切れ間の間に入る様にして、その中へと入り込んでいった。


 そう溶岩流を上に形成される森の海は樹海と呼ばれている可能性が非常に高い。それに、この異世界で方位磁針が効かない樹海とかは珍しくなく普通に存在してる。

 前世の世界でも溶岩流が固まって出来た岩肌の上に方位磁針等を置いたら、方位磁針が効かなくなる。その程度のことは起きたりしていた。


 だけど、それは岩肌に直接方位磁針を置いたらの話で手に持っていれば方位磁針が狂う事はまずない。これは単純に溶岩流であった岩肌が内包する磁力が強くないからだ。でも、この世界ではとんでもない磁力を纏う鉱石とかが当たり前の様に存在している。


 それはつまり方位磁針が全く役に立たないと言う事を示している。そう、マジ卍の迷いの森、それがこの世界の樹海なのだ。


「ミィちゃん。私の手。絶対に。話しちゃダメだよ」

「うん、わかった!!」


 私はそう言いってミィちゃんに向かって手を伸ばして見せた。ミィちゃんはその小さな手をこちらに伸ばして、にっこりとした笑顔を浮かべながら私の手を握り返してくれた。


 よし、ここからは、色々な意味で気が抜けない。

 気を引きしめていかなければ。


 さあ。待ってろよ《黒の師団》。必ず家族の情報を手に入れて見せるからな。

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