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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
新たな街、ホワイト・ロック編
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第49話 再会

 しゃーー!! こらーー!!

 ホワイト・ヘッジだが、ホワイト・アスパラガスだか知らねぇが行ってやろうじゃねぇかーー!!

 《黒の師団》のしょうもない野望を完膚なきまでにブッ潰してくれるワイ!!


「失礼ですが。ホワイト・ヘッジへ入るには少なくと二等級以上の冒険者が同行する必要があります」


 ズゴーーー!!

 な、な、な、なんだってーー!?


 そう言ったのはギルドにいる受付嬢さんだった。受付嬢と言うだけあって、かなりの美人さんなんだ。非常に整った受付嬢の制服にそれと同じくらい整った顔立ちに立ち振舞いをしておられる。

 そして、どことなく規律を重んじるお姉さんと言った感じがする。


 多分、ただをこねにこねた所で見過ごして貰えはしなさそうだ。


 どうしようかと考えていると、俺と一緒にギルドまでやって来ていたウィザさんが受付嬢へと語りかけた。


「なら、二等級以上の冒険者を紹介してはくれないか。出来れば山に詳しい物だと助かる。例えば、私が依頼していた鉱石採集をしてくれていた者達はいないか?」


 ああ、ウィザさんは鍛冶の材料になる鉱石をここの冒険者に頼んでたのか。なら、一応宛はあるのか。

 ウィザさんの言葉を聞いた受付嬢が何やら書類を手に取りペラペラとめくり出した。

 そして、しばらくすると一度だけ頷きこちらに視線を移した。


「承知しました。彼等もちょうど帰還して来た所で手が空いてる様です。彼等を呼んでまいりますので、少々お待ち下さい……」


 おお、なんかわからんが、大丈夫そうだな。

 あぶねぇあぶねぇ、早速、詰んだかと思ったぜ。


「ね~ねぇ? お爺ちゃん、それなぁに」


 その時、不意にミィちゃんが口を開いた。

 そのミィちゃんの視線と好奇心はウィザさんの腰元に集まっていた。


「ほほほ、これは刀じゃよ」


 そう言うと、ウィザさんが腰に差した一本の刀を撫でて見せた。そう、まさしくジャパニーズソードである。


 それを持ち出して来た時は目玉が飛び出すくらいビックリしたが、それよりもウィザさんに刀が似合うのなんの。正に老練の侍、その物である。なんだか、着ている服も着物に見えて来た。


 それに今までの立ち振舞いと言い。気配の殺し方と言い、ウィザさん、アンタ、絶対強いよね。


「珍しい剣。どこの。大陸の剣?」


 何となくだが、探りを入れてみることにした。

 て言うか、ただ純粋に何処が発祥の武器なのか気になる。


「ほほほ、東の果てにあるトウア諸島と言う場所が発祥となります。この刀と言う物は美しく硬くしなやかで強い。私はこの様式で最高の刀を打つ事が夢なのです。その件で《華族》の親父殿にも色々と御世話になったのです」


 ほえ、そんな事が有ったんだ。全然知らない話と言う事は俺が《華族》に入る前の話なのだろうか? それにしても、色々とは具体的に何があったのだろうか。気になるな……


「おお、来ましたぞ。彼等が鉱石採集の依頼を受けてくれている者達です。最近、ここに来たらしいのですが、かなりの腕利きです。それは私が保証しましょう」


 そう言って、ウィザさんがある一党を指差した。その一党が目に入った瞬間、俺は次こそ目玉が飛び出すかと思った。


「あれ、クレアちゃん!?」


 その声と共に彼女は、跳ねた金髪のクセッ毛を揺らしながらこちらへと走り寄って来た。相も変わらず、短パンに露出度の多いシャツからは肩とへそを出している。


「リアナちゃん!?」


 こちらへと駆け寄ってくるリアナちゃんを両腕で受け止めて見せる。リアナちゃんも負けじと両腕で私の身体を抱き締めている。


「おぅおぅおぅ!! こいつぁ、奇遇だなぁ!! こんな所でお前ぇさんにまた会えるとはなぁ!!」


 相も変わらず、ガタイの良いザルウォーさんがこちらを見下ろしながら話し掛けて来てくれた。


「全く、驚きました。まさか、このホワイト・ロックにクレアさんが居るなんて」


 知的な雰囲気は相も変わらずのオルドさんが語り掛けて来た。

 

「ああ、本当に驚いた。また会えてよかったよ、クレア!!」


 そして、最後にはレックスさんが笑顔を浮かべて駆け寄ってきてくれた。


「うん。本当、良かった!! 皆。元気!?」


 リアナちゃんに続き、ザルウォーさんに、オルドさん、レックスさんが順に私に向かって駆け寄って来てくれた。

 皆も相も変わらず善人を絵に描いた様な、優しくて暖かい笑顔をこちらに向けて来てくれている。


「ほほう、皆様知り合いだったんですか? これは珍しい事もありますな」


 ウィザさんが私達の様子を見ておかしそうに笑っている。おかしいもなにも、凄い偶然だ。こんな所にみんなが居るなんて。それにまさか、彼等がウィザさんの依頼を受けていた冒険者だったなんて。

 今度は、私とウィザさんの様子を見ていたレックスさんが、不思議そうな顔で語りかけて来た。


「ウィザさん。彼女とは一体どんな関係なんですか?」

「ほほほ、そうですな。それは道すがら話しましょうかな。クレアさんもそれでよろしいですかな?」


 うん、問題無しです。早速出発しましょう!


「うん、大丈夫!! 早く行こ!!」


 と、口にした瞬間あらぬ方向から喧しい叫び声が聞こえて来た。


「おうおうおうおう!! てやんでぇぁいッ!! テメェら、ウチの御嬢様を囲って何のつもりでぃ!!」


 その方向を見ると、ロックの馬鹿が腕をブンブンと振り回し、肩で風を切りながら凄い勢いでこちらにやって来ていた。そして、その後方にはドランさんも控えている。


 お? な、なんだこれは?

 なんだか面倒な事になりそうだな……


 あと、なんでロックの馬鹿はべらんめえ口調なんだ?

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