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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
新たな街、ホワイト・ロック編
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第44話 アナザー・ギルド

 ホワイト・ロックはカルデラの中に形成された街とは言っていたが、見事なまでに大陸全体と比べ全体的に落ち窪んだ場所に街が栄えている様だ。

 ホワイト・ヘッジとか言った高い山がこちらを更に一段高い場所から見下ろしている。

 そして、カルデラとなっている街と大陸の境目は高い崖の様になっている。恐らく百メートルとかそんな高さだろうか。そして、その崖には虫食いの様に数々の大きな穴が空いているのだ。


 なんだろう、これは……

 まるで壁に空いたネズミの巣穴の様な……


「頼もうッ!!」


 その文言は完全に道場破りか何かなんだが、そんなこと等知ってか知らずかロックは怒号を挙げながら、その穴へと入って行ってしまった。


「た! たのもう!!」


 取り敢えず、俺も言っとこう。なんか、そう言う習わしなのかもしれないしな。

 そう言ってから気が付くのだが、後ろに着いて来ていたカナルさんは「たのもう」なんて一言も口にしていない。

 と言うことは、と言うことだ。


「う~ たのも~ たのも~」


 俺の手を握っていたミィちゃんが嬉しそうに「たのもう」と連呼している。ああ、俺の浅はかな行動の所為でミィちゃんに変なことを覚えさせてしまったかもしれない。

 そんなことを思っているとロックがこちらを振り向き悪戯っ子の様に笑って見せた。俺はそれを思わず睨み返してしまう。


 まったく、信用ならん奴だ。ミィちゃんが変なことを覚えちまったじゃねぇかよ。

 まあ、いい。取り敢えず、気を取り直して辺りを見てみるとするか。


 そう思い辺りを見渡して見ると、洞窟全体が薄い青色に光っている。しかし、そこまで明るくはない、かと言って暗くはないが松明と言った明かりとおぼしき物も見当たらない。恐らくこの、洞窟自体が光ってるのだろう。


 ヒカリゴケとかの一瞬だろうか? そう思い、洞窟の岩壁に近付いて確かめてみる。しかし、苔がはえていると言う感じではない。次に指先だ岩壁をなぞってみる。

 すると、指先でなぞった部分の光が消え。青い光が先程なぞった指先に付着していた。それをよく観察してみる。これは……


「……かび?」

「おでれぇた、お前は本当に何でも知ってんだな。本当に何者なんだぁ?」


 そう言ったのはいつのまにかに俺の横に来ていたロックだった。ロックは本当に驚いたと言うか、感心したと言った顔をしている。ううむ、正直当てずっぽうで言っただけなんだけどな……


「あてずっぽう。知らなかった」

「いや、それでも一目で辺りを着けるのは流石だぜぇ」


 そんなことより、このカビはどう言う原理で光ってるんだろう。本当は色々と聞きたいが専門知識とかになると、俺が異世界の言葉を翻訳出来ずに訳わからなくなっちゃうからな。どうしようかな……


「ほら、見てみろ着いたぜ。ここがホワイト・ロックのギルドだ」


 そう言うとロックが今から向かう先を腕で差した。その先に向かうと、そこはドーム場になった大きな空間だった。


「ふわぁ、綺麗ぇ……」


 ミィちゃんが感嘆の声を漏らした。そして、俺もそれに釣られて思わず溜め息の様な声を漏らしていた。

 ドーム場になった空間の天井は先程のカビが所々にではあるが沢山はえているらしく、まるで星空の様な輝きを放っている。

 前世の世界で言う所の天の川と言ってもいいだろう。


 天然のプラネタリウムとでも言えば良いのだろうか、美しい光景が眼前には広がっていた。思わずその光景に見とれてしまう。


「どうだ、クレア?」

「とっても、綺麗」


 そう言って、ロックを見ると。彼は嬉しそうに笑顔を見せてくれた。その顔を見た瞬間、自分の鼓動が高鳴るのがわかった。


 素早く我に帰り、首をブンブンと横に振るう。

 い、いや、いやいやい俺は男なんだよなぁ……


 その時、不意にミィちゃんが私の背後に隠れる様に移動し足にしがみついて来た。


「うん? どうしたの、ミィちゃん?」

「み、皆見てる」


 そう言われて辺りを見渡してみる。確かにギルドと言うだけあって、冒険者を絵に描いた様な人達が全員こちらを見つめている。何を見ているんだ。そんなに俺達は珍しいのか?


「へへ、ここの連中はこの景色よりお前の方が綺麗だと思ってるみたいだぜ。どうすよ、クレア?」


 ああ…… え? そう言う事なの?

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