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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
新たな街、ホワイト・ロック編
48/75

第43話 新たな港街、ホワイト・ロック

「ま、街が白い!!」


 ミィちゃんが甲板から新たな港街を見て声を挙げた。

 太陽に照らされて白く光る漆喰の建物の数々。建物の扉や窓枠は青く染められ、その青と白のコントラストが街並みをひとつの景色として美しく纏め挙げられている。


「ねぇ、お姉ちゃん!! なんで、建物が白いの?」

「建物に塗る。材料が。石灰なの」


 確かそんな感じ。詳しくは知らない。恐らく、この地域の土に石灰が多く含まれてるんだろう。多分、近くに火山があるのか、この地域全体が火山活動で出来た土地だとか、そんな感じだろう、知らんけど。


「本当に良く知ってるじゃねぇか。ほれ、アレを見てみろ」


 そう言ってロックが遥か遠くを指差した。その先は街の背後を示しており。そこには大き過ぎて気づかなかったが、本当に大きくそびえる様な白い山が立っていた。

 

「アレがホワイト・ヘッジって火山だ。今は休火山になってるがこの街全体が火山の噴火で出来たカルデラに作られた街なんだ。それで街並みもあの火山から取れる石灰が利用されてんだ」


 クソ程アブねぇ街じゃねぇかよ。火山が噴火したらどうすんだってばよ。ポンペイみたいになったらシャレになんねぇぞ。俺は死にたくねぇぞ。

 俺がさぞかし不信な顔をしていたのか、ロックが笑いながら付け加えた。


「心配すんな。この街のギルドが火山を管理をしてるし。何かあった時の為に街には結界が張ってあって万が一火山が噴火しても街に被害は無い様になってんだ」


 おおう、なるほど。そこは思う存分ファンタジーしてる訳ね。



 そんなこんなで無事に船はホワイト・ロックに着き、俺達は街へと入った。

 街の様子は穏やかで活気に満ちているが、スラン・ベリスと比べると幾らか落ち着いた大人びた雰囲気をしている。


「ここは観光地としても有名なんだ。それに各地の海を渡って色んなモンが集まったりするんでよ、各地からリゾート気分で遊びに来た貴族なんかを相手に商売をする商人なんかも多いんだぜ」


 ほぉん、だから街並みとか雰囲気も少し大人しくて御上品なのね。ふむ、となると……


「私の。薬。貴族に。売るの?」

「いいや! 貴族相手に商売はしねぇ!!」


 そう言うとロックは得意気に顔を歪ませて笑顔を見せて来た。取り敢えず、何を考えているかサッパリなので首を傾げて見せる。すると、ロックは得意気に鼻を鳴らし講釈を垂れて来た。


「ふふん、いいですか? エクレアお嬢様。まず貴族は薬など滅多に必要としないのですよ。傷なんて殆ど負いませんし、病気ならば医者に行きますしねぇ。これが、どういう意味だかわかりますか、エクレアお嬢様?」

「なに? その口調?」


 そして、何やらこの男は物凄い得意気な顔を浮かべている。鼻の穴がビックリする程開いている、ブラックホールかと思った。そして、その鼻を信じられない程鳴らしている換気扇か何かかな?。


「ふふん、ならば、よく傷薬等を必要とする職業の者に薬を売ればいいのですよ。この街にはそう言った職業の方達が居るんですよ。そして、彼等に質の良い商品を渡せば必ずリピーターになる事でしょう、その彼等とは……」

「ああ、冒険者ね……」


 俺がそう言うとロックが盛大にズッコケて見せた。

 ざあまあみろ。


「んだよ、わかってたのかよ……」

「……なんとなく」


 まあ、さっきまでギルドの話とかしてたし。冒険者が居るのは想像がつくし。確かに考えてみれば傷薬とか毒消しとか霊薬なんて物が沢山必要なのは冒険者なんだよね。

 なら、商売相手を冒険者にすると言うのは非常に合理的だと思う。て言うか、俺は今までそんな事もわからずに薬を売ってたのかよって感じ。少し考えればわかっただろうによ。

 我ながら馬鹿丸出しじゃんよ。


「よし、なら、先ずはギルドに顔を出すか?」

「うん。そうする」

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