第40話 海賊王になりますん
「これは貴方達を信頼しての話です。是非とも御多分に漏れない事を強く願います。現在、我々は祖国を追われる身。そして、我々の家の者はこの大陸の方々に散ってしまわれました。今、現在は方々に散って家の者達を探している最中なんでございます」
おおう、地味に現状を私達の状況に擦り寄せて来てるな。流石はお兄ちゃん、ジリジリと寄せてきましたね。
つまり…… 私は貿易船に乗って各地に散らばった家族の皆を探せって事かな? それでいいのかな? それでいいよね?
「もちろん、ご存知でしょうが、お嬢様はそれなりに戦えます。しかし、万が一の為に護衛もお願いします。そして、各地でお嬢様の作る薬の宣伝等の販売促進もお願いしたいんです」
お、おおう? 結構畳み掛けるね……
「ほう? なるほどなるほど…… それは中々面白い話だな」
「ええ、お嬢様の薬の調合の腕一流です。お宅にも決して悪い話ではありません」
なんか上手く出汁にされてる感があるけど、まあ、いいか。私で出汁が取れるなら、存分に出汁を取ってくださいな。て言うか、なに? 私はこれから船に乗るの? マジ? 大冒険の始まりじゃん?
ロックとカナルさん。そして、お兄ちゃんが顔を付き合わせて黙りこくる。私も騒ぎ出したいが黙っておく。
恐らく、お互いに何か思考を巡らせているのだろう。正に達人達の間合いだ。ド素人の私には、それがどんな思考かは全く想像がつかない。話題の渦中にいるはずなのに、その本人である私が全くわからない。
しかし、その沈黙をロックが切り裂いた。
「おう!! わかったぜ!! 色々と訳あり、護衛、宣伝もろもろ含めて点一ってんなら、納得したぜ。おもしれぇ!! まとめて受けようじゃねぇか!!」
「それは良かった、こちらとしてもとても助かります」
なんか知らんがまとまった。
なんか、ロックもお兄ちゃんも満足そうだ。
なんだこれ、私の意見は無視かい? まあ、いいんだすけど。




