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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
華族編
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第37話 ミィちゃん、どこ?

「ミィちゃん。ミィちゃん。どこ?」


 私はミィちゃんの行方を探して屋敷内をウロウロと探し回っていた。

 しかし、おかしな事にミィちゃんがどこにもいないのだ。一体、どこに行ってしまったんだろうか?


「クレアさん、どうしたんですか。何か探し物ですか?」


 俺の不可解か行動を見かねたのか、クロード兄ちゃんが私に話し掛けてきた。


「ミィちゃん。いないのぉ」

「ミィさんが? おかしいですね。先程までいたんですが……」


 そう言うとクロード兄ちゃんが顎に手を当て眉をひそめてみせた。

 さっきまでいた、と言う事はまだ近くにはいるはず、て言うか屋敷内にはいるはず。一体、どうしたんだろ? 

 

 ミィちゃんは一体どこに……


「にいに。ミィちゃん探して。お願い……」

「ええ、わかりました。探してみましょう」


 そう言うと、クロード兄ちゃんもミィちゃんの捜索に加わったてくれた。

 その後、数分に渡り屋敷内を探したがミィちゃんを見つける事は出来なかった。


 どうしよう、これは一体どういう事なんだ?


「ただいま~ って、二人共なにやってるんだ?」


 私達、二人の様子を見て、たった今どこからか帰って来たアイラお姉ちゃんが声を掛けて来た。


 いやいや、もう来たとかそんなのどうでも良いよ。どうしたもこうしたもないんだよ。ミィちゃんが、ミィちゃんがいないんだよ。どこに行っちゃたんだろう。もしかして、屋敷から出ちゃったのかな? 

 そしたら、大変だ、どうしよう。なんで、ちゃんと見てなかったんだろう。

 あの娘、賢いから外に出たい時はちゃんと一緒に行こうって言ってくれるのに。

 最近、ギクシャクしてたから言いにくかったのかな? ああ、そうだとしたら私の所為だ、どうしよう……


「あ、あう、あうみ、ミィちゃんが!! ミィちゃんがッ!!」

「あわわ、どうしたんだ? 落ち着けって、クレアちゃん、らしくないぞ」


 アイラお姉ちゃんがひきつった表情で私を見ている。  


 らしくないって、外面はそうかもしれないけど内面はいつもこんな感じだよ。いっつもてんてこ舞いよ!!

 いやいや、そんな事よりミィちゃんはどこに行ってしまったんだ!!


 は、はやくッ!! はやく見つけないと!!


「あ、クレアちゃん、あぶな……」

「うにゃぁぁぁぁあっ!!」


 え!? い、痛い!! な、何が起きたの!?

 え? なに? これ?


 え? タ、タコ?

 なんで、私の身体中にタコが!?


 へ!? な、なにこれ!?

 あ、タコか……


 え? だから、なんでタコ!?

 しかも、一杯いる!?


 あぁ!? せっかく、リアナちゃんやレックスさんに買って貰った服がヌルヌルになっちゃったよ!! 


 もう!! なによこれ!!


「いや~ 悪い悪い!! ちょっと、漁師のオッサン達と一発賭けをしてさ、今日はついてたみたいでな。大勝大勝、持ち前の金がねぇってんでよ、代わりに取り立て新鮮のタコを貰ったんだ。しかも、八匹」


 はっ、八匹ぃ!?


 あ、もう!! 

 一匹、スカートの中にも入って来てるし!!


 よく見ると、私の足元にタコが入っていたであろう蛸壺が転がっている。そこからヌターッとタコが出て来て私の足にヌッタリとこべりついて来ている。

 そして、それはヌルリヌルリと音もなく、こちらに這いよって来ている。

 しかも、このスケベ野郎。何食わぬ顔で私のスカートの中に入ろうとしてやがる。

 すかさずスカートを押さ、中に入っていた一匹を手で引っ付かんで蛸壺の中に放り込む。


「うぅ、もうっ!! きもち、わるい!」

「ああ、ごめんね。クレアちゃん。今、取ってあげるからね!」


 うう、情けない。泣く子も黙殺する《幻惑を纏う刃》がタコごときにもてあそばれるとは一生の不覚。


「うぅ、大切な服。だったのにぃ……」

「まあ、洗えばまた着れますって。そう気を落とさないで……」

「ごめんね、クレアちゃん。せっかくのお洋服を……」


 いや、違うよ!!

 そんな事より、ミィちゃんだよ!!


「そうだ!! ミィちゃん!! いッ!!」


 立ち上がろうとしたその時、僅かな痛みが足に走った。見ると、膝を軽く擦り剥いていたみたいだ。

 まったく、いつもはこんな擦り傷程度で声挙げたりしないし。先ず、こんな擦り傷を負ったりしないのに。我ながらかなり動揺しているみたいだ。


 だけど、今はそんな事よりミィちゃんだ……


「……お姉ちゃん、大丈夫?」


 その時、どこからかミィちゃんの声がした。


「え!? ミィちゃん!? ミィちゃんどこ!?」


 私がそう言うとミィちゃんはその場に突然姿を表した。

 まるで透明な霧の中から出てきた様に……


 そ、そんな。ま、まさか、それは……


「げ、幻影魔術……」

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