第35話 大好きなお姉ちゃんとお母さん。
お母さんからはいつも花の香りがした。
クチナシの花の優しくて甘い香り。
でも、そのお母さんはもういない。
私を助ける為に悪い奴等に殺された。
私も悪い奴等に捕まって鉄の箱に閉じ込められた。
私が連れてこられた場所は、悲しくて怖くて寂しい所。そこは、涙の香りで一杯だった。
皆も私と同じ様な目に遭ったのかと思うと、凄く悲しくて悔しくなった。
そんな時、お母さんと同じ花の香りがした。
もしかしたら、お母さんが助けに来てくれたのかと思ったけど。その香りはお母さんとは少しだけ違がった。
なんて言えばいいのか。それはわわからないけど、少し違っていた。
どこか危ない香りがした。
でも、それ以上にお母さんに似た甘くて優しい香りもした。
凄く不思議な人だった。優しいと厳しさが合わさったような凄く不思議な香りがした。
その人は凄く凄い人だった。
みんなを助けて。悪い人を全員をあっという間に倒しちゃった。
みんな、ビックリしたみたい。でも、私はそんな事よりもっと凄いと思った事があった。
みんな、あんなに悲しい香りを出していたのに、その時にはみんなから悲しい涙の香りはしなくなってた。
喜んでた、と言うと少し違うかもしれないけど、少なくとも悲しい香りはしなくなってた。
その時に私もああなりたいと思った。
悲しい涙の香り、大切な物を無くした人を少しでも助けてあげたいと思った。お姉ちゃんみたいに強くて優しい人なりたいと思った。
優しくて強くて綺麗、そんなお姉ちゃんみたいになりたいと思った。
私の大好きなお母さんと同じ、優しくて甘い香りのするお姉ちゃん。
私は絶対にお姉ちゃんみたいになるからね。お姉ちゃんみたいになって、困ってる人や涙を流してる人を助ける。
そして、お姉ちゃんも守る、お姉ちゃんの家族も皆守る。
だって、みんな、私の事を家族って言ってくれたんだもん。
もう、絶対に無くさない。
だって、大切な大切な家族だもん。
もう二度と無くなさい。




