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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
拠点探し編
34/75

第29話 ロック

 逞しい雄ッパイが目の前に写る。て言うか、女の俺のよりデッケェんじゃねぇか?


「いや~ 助かったぜ。一時はどうなるかと思ったんだ、ありがとな!! 俺はロック、よろしくな!!」


 そう言うとロックと名乗った男が、その逞しい腕を差し出して握手を求めて来た。薄っすらと血管の浮き出た逞しい腕。そして、顔を見ると男は爽やかな笑顔をコチラに見せた。


 ケッ!! 俺もそんな見てくれで産まれて来たかったよ!!


 俺はロックの差し出した手を無視し、ミィちゃんの元へと歩み寄る。


「ミィちゃん。大丈夫ぶ?」

「うん!! 大丈夫!!」


 少女は元気に答えると再び俺の足へとすり寄って来た。


 う、うぉぉぉ、か、可愛い……

 

「はっはっは!! 随分、なつかれたみてぇだな!!」


 そんな俺達の様子を見てロックが面白そうに笑い声をあげた。取り敢えず、俺はロックをひと睨みして見せた。


「おお、おっかねぇ。そう睨むなよ!!」


 ちゃかしやがって。見せモンじゃねぇぞ。

 まあ、いい。取り敢えず窮地は脱した。後はこの鉄格子に閉じ込められた人達を解放して。残りの船の乗組員をさっさと片付けてしまおう。


「じゃあ、俺は一丁。他の奴らを片付けて来るぜ」

「え?」


 そう言うと、ロックは肩をグルグルと回しながら甲板へと上がろうとしだした。

 な、何、考えてんだってばよ、コイツは?


「丸腰、危ない。武器……」

「武器ならここにあるぜ」


 そう言うとロックは自分の拳をこれ見よがしに私に見せてきた。


 それは素手で戦うと言う事なのか? そうか、やっぱり、こいつ、アホなのか……


 そんな眼差しで彼を見ていると、ロックは大きく深呼吸をしてみせた。そして、その呼吸で吸い上げた空気を一斉に弾き出すかの様に息を吐き出した。


「ハアッッ!!」


 すると、ロックの身体中から凄まじい勢いで血管が浮き出で来た。そして、その身体からは湯気にも似たオーラを発し出した。

 


 これは……


「こ、呼法……」

「お! 嬢ちゃん知ってんのか。ああ、俺は呼法流の使い手なんだ」


 呼法流。


 それは簡単には言ってしまえば武術の流派の一つだ。ただ、この世界独自の武術であるが故に独自の進化をしていると言っていいだろう。


 それは魔術と武術の融合である。


 生来、魔術とは自分の魔力を放出する事で火を出したり、水を出したり、何か現象を引き起こす事を魔術とされている。

 しかし、この呼法流はその反対で呼吸により空気中から取り込んだ魔素を自分の魔力に変換し、肉体に取り込んだ魔素の量だけ一時的に自分の肉体を強化する術となっている。

 元々は魔術師が使った魔力を回復する為、空気中の魔素を取り込んで努めて魔力を回復する時に使う瞑想法が元になっているらしい。


 それを武術へと転用し、応用し肉体の強化に特化させた物が現在の呼法流とされている。これによって、肉体はより強く速く頑強で強靭になる。この男はそれの使い手らしい。

 それも見た限り、かなりの使い手だ。取り込んだ魔素が肉眼で認識出来る程の密度と量だ、明らかに只者ではない。私も魔術師の端くれだ、ある程度は呼法を使える。だが、この領域には決して届かない。


 だけど、これならそう簡単には死なないだろう。


「それなら、まかせる」

「おうよ!! 任されたぜ!!」


 そう言うとロックは甲板へと飛び出していった。よし、いいぞ。戦況はかなり私達に有利に動いて来た。

 私も鉄格子の鍵を開けたらさっさと戦闘に参加するか。


 と、その時……


「でぇぇりゃあぁぁぁぁぁぁッ!!!」


 飛んでもねぇデカイ雄叫びが甲板の方から聞こえた。

 プロレスラーかなんかなんじゃねえのか、アイツ?


 ちょっと面白いな……


 まあ、いいか。

 それは後にしてさっさと鉄格子の鍵を開けてしまう

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