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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
追跡者暗殺編
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第22話 拷問

 宿へと帰るとそこではお姉ちゃんが俺の帰りを待っていたらしく。俺の顔を見るなり飛び掛かるようにして抱きついて来た。


「おっかえりー!! クレアちゃん!!」

「うん、だだいま。お兄ちゃんは?」


 死んだかな? いや、まあ、それはあり得ない。なんてったって、この中で一番強いから。


 となると、恐らく……


「生け捕りにした追っ手を拷問してるのよン♡」


やっぱりか……


「アジトがないとやっぱり不便ね~ 拷問一つするのにも一手間かかるなんて面倒ね~」


 そりゃそうだ。宿を血と糞尿で汚したら、なんて言い訳すれば良いかわからないからね。


「そんじゃまぁ~ クロードの兄貴の所に行きますかッ!!」

「うん……」




 

「うへぇ~ これはまた一段と酷い……」

「ああ、二人とも丁度良い所に来ましたね。今、ちゃうど始末した所ですよ」


 正直、言葉を失うとはこう言う事なのだろう。


 場所は街からしばし離れた海辺。そこには兄さんと、人一人が横たわって入れる程の手漕ぎボートが二艇浮かんでいた。

 なんで、こんな言い方をしたかと言うと、そのボートには今しがた兄さんに殺されたとおぼしき死体が横たわっていたからだ。ボートと言うより、その光景は最早、水上棺桶と言った方がいい。


 そして、その眉間にはボウガンの矢がズッポシ入ってしまっている。でも、俺もこの世界に14年生きてる。こんな事で言葉を失ったりはしない。


 何故、言葉を失ったかと言うと。そのボートからは溢れん出んばかりの量のゴカイやイソメがびっちしと詰め込まれているのだ。

 ウネウネと動く奇妙な身体にウネウネと動く大量の気色悪い脚。そして、テラテラと濡れた様に光る全身。て言うか、濡れてるんだと思う。


 それを見た瞬間、背筋から何かが競り上がり身体中に寒気と鳥肌が立つのがわかった。


 うう~ キモイ。

 これ、いつ見ても無理……


 いつもはムカデとかなんだが。今回は海辺を生かした素敵な拷問となってしまったらしい。これはこれでヤダ。


「コイツ等から頂ける情報は、まあ恐らくですけど。一通り手に入れました」


 そう言うと、クロード兄貴は地面に刺さっていたボウガンの矢を引き抜いた。その矢にはロープが駆けられており。そのロープは二艇のボートに繋がっていた。


 恐らく、船を止める奴の代わりにしていたのだろう。

 知ってる? あれ、ボラードって言うんだぜ。


 すると、兄さんがボートを足で大海原へと押し出した。


 ほえ~ 随分効率的だこと。流石、我らが《華族》の長男と言わざるを得ない。やる事、成す事全てが効率的である。これで水上棺桶は楽しい海の大冒険に出発ってことかぁ……


 元々、暗殺業界では最強の部類に位置する兄さんなんだが、ギルドガードコレクターとか言う変な趣味があった所為で、依頼を変に選別する癖があったが。ギルドガード制度が廃止された今、もしかしたら、兄さんは界隈最強の暗殺者になったかもしれない。

 まあ、それが味方なのだから心強い。ただ、敵になる事は無いだろうから心配は無いのだが、怒らせたりしたらメッチャおっかない。怒らせないようにしよ……

 

 俺はまだマジで怒られた事無いけど、怒られたらと思うと正直ションベンチビりそうだ。


 そんな事を考えていた俺の耳に驚きの言葉が届いた。


「今回の一連の件。首謀者がわかりました……」

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