表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
街に潜む暗殺者編
20/75

第18話 ギャンブル狂いのお姉ちゃん

 先ずは結論から。

 

 いましたわ。ギャンブル狂いのダークエルフのお姉ちゃん。マジで終わってる、本当にありがとう。


 ボロい布切れでおっぱいの見えちゃいけない部分と腰回りの見えちゃ行けない部分だけを腰巻きで隠して路地裏で爆睡していました。


 ほらね、終わってる。


 その姿はさながら。生けるわいせつ物陳列罪である。

 金色の様な銀色の様などちらとも言えないプラチナブロンドの髪に、艶のある健康そうな褐色の肌。

 そして、パツンパツンとハリのあるおっぱい。腰巻きから伸びる長く少し筋肉質ではあるが女性的なしなやかさを帯びた艶やかな長い足。最高だぜ!!

 腹を出して寝ているその腹は綺麗にくびれており、腹筋は美しい縦筋が浮かび上がっている。


 もう!! お姉ちゃんのえっちーー!!


 まあ、それはさておき……

 本来この人は魔法剣士的なポジションで、その……

 いつもはそのくびれた腰から一本のサーベルがぶら下がっているはずなんだけど……


 こ、これは、恐らく……

 て、て言うか、絶対に……


「ス、ス、スッテンテン!!」

「ええ、これはいつもの奴ですね……」


 そうである。


 いつもこんな感じなのである。少し目を離すとすってんてん。いつもそうなのこの娘はッ!!


 人の金に手を出さない所だけは救いだが。自分の分の金はしっかりすってんてんになるまで擦ってくる。終わってるのである。


 それが彼女《褐色の魔剣士》ミラン・アイライン。その人である。

 《闇の華族》の中の序列ではクロード兄さんの妹。俺にとってはお姉ちゃんにあたる。

 因みにこの序列に強さはあんまり関係ない。年功序列である。


 あと、俺にはもう一人お姉ちゃんがいる。

 それと、ワイは末っ子です。


 とても可愛がられて育ちました。もちろん、このお姉ちゃんにも可愛がられて育ちました。いい思い出が沢山あ……


「ほら、アイラさん起きなさい!」


 そう言うと兄さんがお姉ちゃんのケツを思い切り蹴っ飛ばそうと足を振り上げた……


 その瞬間、アイラお姉ちゃんが身を翻しながら跳躍し、兄さんの背後に降り立った。

 そして、目にも止まらぬ速さで兄さんの首根っこを抱え込み、飛び掛かる様な雰囲気でチョークスリーパーをキメた。


 ね、ねえちゃーーーん!! 

 それは兄貴ですよーーーー!!


「ちょっ!! アイラさん!! 私です、私です!!

クロードです!!」


 兄貴は手でアイラお姉ちゃんの腕を叩いて、ギブアップのタップをしてみせた。


 一部始終を傍目から見ていたが、とんでもない早業である。

 余りの速さに竜巻か何かかと思ったわ……


 これでは流石のクロード兄さんと言えども避けられまい。まあ、一番の要因は妹だから油断しきってた事だけど……


「ギブ!! ギブギブ!! ちょっ!! まって…… くだ…… さい」


 すると、兄さんはその言葉を最後にストンと糸が切れた様に動かなくなってしまった。

 

 いやいや、タップしてるんだから離してあげようよ……


 すると、お姉ちゃんはおもむろに兄さんから手を離し、地面へと下ろした。そして、すぐにこちらを一瞥した。


 その目には殺意の光が帯びている。


 な、なんでやっ!!


「お姉ちゃん!? ワ、私!! ワカラナイ!?」


 取り敢えず。満面の苦笑いを向けてみる。


 しかし、これは100%寝ぼけてる。しかも、なんでか仕事の時並みのスイッチ入ってる。もう意味がわからん。寝起き最悪過ぎである。


 そうこうしている内に、お姉ちゃんはそのままゆっくりゆっくり、こちらへとにじり寄ってくる。

 因みに、アタイの戦闘能力はクソザコナメクジなので、こうなってしまったら、ほぼ勝てない。死有るのみである。


 ワンチャン狙って、毒ナイフを使うと言うのもあるが……


 普通は出来んだろ!? 家族に刃を向けるなんて有り得ないわ。しかも、バチバチの毒が仕込まれてる奴。もはや論外。そんな事を考えているとお姉ちゃんがこちらに飛び掛かって来た。


 ひ、ひぃぃぃいん!!

 ば、万事休すですか!?


 お姉ちゃんの腕が、こちらの首に回り込む。もう駄目だ!! と思った瞬間。お姉ちゃんの腕が私を優しく包み込んで。


 え!? つ、包み込んで来た?

 更にギュッと私を抱き締めた……


 だ、抱き締めてトゥナイッ!?


「よかったぁ!! クレアちゃん、生きてたんだね!! 本当によかったよ~!!」


 その反応に俺は思わず胸を撫で下ろした。


 あ~ よかった~

 こっちはアナタに殺されなくて本当に良かったよ~

 余りの恐怖に思わず涙とオシッコが少し出ちまったゼ!!


「も~ クレアちゃん、泣いてるの~? 私は簡単に死なないから大丈夫だって!! 泣かないで泣かないで!! 可愛い顔が台無しよ!!」


 ちげ~よ、余りの恐怖で涙が出ちまったんだよ。オシッコもちょっと出ちまったよ……

 まったく、一瞬マジで殺されるかと思ったよ、バーロー。


 ところで兄貴は……


 見ると、兄貴は地べたに寝そべりながらこちらを朧気な瞳で眺めていた。その目はしっかりとこちらを見て微笑んでいる、顔は真っ青だけど。


 よかった、なんとか一命は取り止めたか……


「し、姉妹の再会ですね。な、涙ぐましいです。よ、よかったですね……」

「あれ? クロードの兄貴はなにやってんだ?」


 いや、アンタが寝ぼけてシメ落としたんだよ。と、思わず突っ込みを入れようと思ってしまったが、すぐに兄さんが口を開いた。


「いえ、ちょっと、眠たくなってしまいましてね」

「なんだそりゃ? 相変わらず、兄貴は変な奴だな!!」


 オメェもだよバーロー。


 ま、まあ。出会いがどうであれ、家族でまた会えてよかったです。危うく、家族が一人死ぬ所だったけど本当に良かっです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ