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幻影を纏う刃  作者: ふたばみつき
街に潜む暗殺者編
19/75

第17話 新たな街、スラン・ベリス

 世界とは、かくも広い物である。

 まあ、知識として知ってはいたもののそれを実感する事はそうそうない。


 が……

 

「ヒ! ヒロイッ!!」


 えー こちら、アナウンサーのクレアです! いま、私の目の前には視界の半分を埋め尽くす程の広大な海が広がっています。

 とてもとても大きいです。そして、もう半分を埋め尽くしているのはこれまた大きな大きな港街です。まるで大きな大きな入江の中に、そのまま街がすっぽりと入ったかの様な形をした街です。イッツ、ファンタジーです!!

 入江に沿って、三日月の様に弧を描きながら建ち並ぶ街並みに、白い壁の建物達と素焼き瓦のオレンジの屋根。これは大変趣深い街並みですよ!!


 大変、観光地にぴったりの街並みとなっています!!

 皆さんも一度は訪れてみてはいかがでしょうか? 

 この街…… えっと、名前は確か……


「この街がスラン・ベリスです」


 だそうです。ありがとう、アシスタントのクロードお兄ちゃん。

 さぁ、名産は一体なんでしょうかね!

 旨い貝とか、旨い魚とかあるんでしょうか!!

 楽しみですね~!!


 いや!! いやいやいや!!


 今は家族を探す為にこの街に来たんだ、そんな名産があーだこーだとか言ってる場合じゃない!! じゃないですぞ!!

 

「お兄ちゃん!! ゴハン、ゴハン!!」

「ええ、そうですね。結構、歩きましたし、取り敢えず腹ごなしから行きましょうか……」


 うぅ、ゴメンよぉ、家族のみんなぁ。

 わたし、空腹には勝てなかったよ……


 まあ、それはさておき。気を取り直して、クレアちゃんのグルメリポートと行きますかい!! 


 とまあ、そんな感じで街に入りました。


 街の雰囲気はとても活気に満ち溢れていて、露店商が所狭しと並でいる。売っている商品も魚だけではなく、果物や布、装飾品であったりと様々な物が売られている様に見える。

 人通りの方もとても多く、俺達が通った通路は一つの露店街となっている感じだ。

 中には屋台の様な店もあり。まれにテナントみたいな感じでちゃんとした店を構えている所もあった。


「取り敢えず、あそこに入りますか?」


 兄さんがそう言って、ある店を指差した。


 それは先ほど言った、ちゃんとテナント形式で建物の中に店があるタイプのレストランだった。

 まあ、冷静に考えるとそれが普通なんですがね……

 取り敢えず、お腹がペコペコでもうどこでもいいので兄さんに向けて頷いて見せる。


「じゃあ、行きますか」


 いえーい、レッツ、ごらいて~ん!!


 ドアを開けると、そのドアにぶら下がっていた鈴が揺れた。


 すると、その音色が店内に鳴り響いた。あの、カランコロン~♪ って言う奴。

 その音色を聞きつけてか、店員さんが直ぐに私達の元に駆け付けてきた。

 

「いらっしゃいませ~ 御二人様でよろしいですか?」

「ええ、お願いします」


 では、こちらにどうぞ~ と店員さんが席へと案内してくれる。店の内装を見るとカフェの様になっており、少し小さめの机と椅子が何セットか並んでいる。ここはカフェかな? まあ、この際もうどうでもいいか……


 何か喰えれば、もうどうでもいいや!


 店員さんに誘われ席につくと、ランチのメニューはこちらになりますと手渡しされた。そのメニューを見るとパエリアがあったのでパエリアにした。たぶん、コンマ二秒ぐらいで決めたと思う。

 

「私、パアァエリィアァッ!!」

「では、私はボンゴレをお願いします」


 二人とも一瞬でメニューを決めた。もはや、他のメニューは見てない、食いたいもんがあったら値段も見ずに決める、それが私達のやりかた。金持ちスタイルである!!

 店員さんが「かしこまりました~」と言って店の奥へと消えていった。その様子を見て視線を正面に戻すと兄さんがこちらを見てニヤニヤとしている。


「ドウシタの?」

「いやぁ、可愛い妹とのデートは良いですねぇと」


 はいはい、アタイは見た目だけは可愛いでやんすからね。中身はバカタレ野郎ですけど……


 そう思うと、自然と溜め息が出てしまう。


 そして、そんなコチラの心境など知るよしもなく兄さんはニヤニヤと笑いながら話し掛けてくる。


「それにしても、クレアさんがお金を森に隠してたのは驚きましたよ。こんな事が起きると予測してたんですか?」


 その言葉にブンブンと首を振って見せた。


「モシモの時のタメ。隠シテタ……」


 まあ、タンス預金みたいな物だろう。

 いや、それともヘソクリかな?


 暗殺業を生業とする以上、何時何時どんな形で行動が制限されるかわからない。そう言った時の事を考えるとアジトに全額置いとくと言うのは危険だとは思っていた。

 なので、私は小さい金庫の中にお金を一杯に詰めて、何ヵ所かに分けて森の中に隠してた。

 まあ、鍵はなかったからピッキングで乗り切るしかなかったけど。今のところ、日本円にしていくら、とかそこら辺の知識が無いから、全くわからないけど結構沢山ある。それに、まだ半分以上隠し財産が残っている。


 なので、金銭的な面では全く問題はない。お金持ちである。


 ただ腹が立つのはやっぱり大部分のお金はアジトにあったから、それを《黒の刃》に持ってかれたと思うと、はらわたがネジ繰り返りそうになる。


 マジでアイツ等ブッコロス。

 いや、マジで冗談じゃなくて。


「クレアさんは何にお金を使ってるのか、皆は不思議に思ってましたが隠してただけだったんですね。親父が心配してましたよ、変な男に貢いじゃってるんじゃないかって」

「ナイ、アリエナイ!」


 そう言うと、兄さんが笑った。


 お金に関しては内の家族の人達は少し無頓着過ぎる。結構、際どい商売してるんだから、そこら辺は気を付けなきゃ……

 ギャンブル狂いのダークエルフのお姉ちゃんみたいに無一文のスッテンテンになるまで使っちゃうよりかはマシだけど、今後はもっと皆にも気を付けてって言わなければ。


「いや、クレアさんがしっかり者でお兄ちゃんは助かりましたよ。どこかのギャンブル狂いの妹には爪の垢を煎じて飲ませたいですよ。まったく……」


 そう言って、クロード兄さんが肩をすくめる。

 俺は思わず頷いてしまう。


 おや?

 

 なんだかフラグになっている様な……

 正直、兄貴がギルマスをズドンと殺っちまったから、何の手掛かりも無かったんだけど、この感じいるんじゃねぇか?

 まあ、ここは港街だから交通のよいしょ…… 要所? になってるから仲間がいる可能性は大いにある。


 まあ、だからこの街に来たんだけどね。


 それに、この話の流れからしてもいる。

 俺が作者だったらそう言う話の流れにする。

 

 これは、いるぞ~ 

 この街にギャンブル狂いのお姉ちゃんが……



 ……た、頼むから、いてくれ~

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