第16話 思わぬ再会
「ま、まさか今のクレアちゃん!?」
「そ、そんな馬鹿な! なんでクレアさんがレバノフさんを……」
リアナとグレイが驚愕の言葉を漏らした。
各位う僕も驚きを隠せないでいる。
何故、彼女が此処にいたのか。そして、何故レバノフさんは殺されなければならなかったのか。
まさか、彼女がこの惨劇に関与しているのか?
おもむろに、見るも無惨な姿になったギルドマスターを見る。
腰から上が綺麗に無くなっている。しかし、その傷口からは今も滝の様に赤黒い血が次から次へと流れている。
これは余りにも惨い……
馬鹿な、彼女がこんなことをするはずが無い。あれ程、優しく、いたいけだった彼女がこんなことを……
それとも、僕達と接していた時の彼女は偽りの姿だったと言うのか? あるいは、これだけの事をする理由が有ったと言うのか!?
くそ…… 責めて、責めて後者であってくれ。
「おい、これ見てみろよレックス!」
その言葉に我に変えると同時に僕は眉を潜めてしまった。
驚くべき事に、ザルウォーさんがレバノフさんの机をあさっていたのだ。
全く、何をしたいるのだ、こんな時に……
ザルウォーさんは、山育ちだった為かこう言う所で常軌を逸した行動を取ったりすることがある。
「ザルウォーさん!! そんなことより、クレアさんを追って下さい。今直ぐにッ!!」
僕の言葉にザルウォーさんは鼻で笑うと首を振って見せた。
「ありゃダメだ。足が速過ぎる。誰も追い付けねぇ。その上、外は真っ暗だ……」
「なッ!?」
い、いや。確かにそうかもしれない……
おもむろに壁に空いた大きな穴から、身を乗り出して外を眺めた。外は暗く辺りは見えない。無論、既に彼女の姿も見えはしなかった。
最早、何処に行ったのかも見当がつかない。
完全に見失ってしまった。
「それより、これを見ろよ……」
そう言うとザルウォーさんが僕に有る物を見せて来た。
「こ、これは……」
その手には真っ黒い封筒が握られていた。
これは闇ギルドが仲間同士の情報のやり取りに使う物だ。
「ど、どうしてこれが……!!」
「わからねぇ。わからねぇが、これはもしかするとだぜ……」
僕は無意識にグレイに視線を向けた。
彼もその視線に答えるように手でソレを渡すように諭して見せた。
「どうだグレイ。行けそうか?」
「ええ、恐らく……」
ザルウォーさんの言葉にグレイはおもむろに答えて。彼はその封筒をじっくりと眺めた。
この封筒には特殊な魔術が込められており、特殊な手順を踏まなければならない。手順を誤れば、込められた魔術が動きだし、自壊し始めるらしい。
「まさか、黒の師団に所属していた事が、こんな所で役に立つとは思いませんでしたよ……」
そう言うと、グレイはおもむろに封筒を開いた。
そして、その中からは真っ黒い便箋が現れた。グレイはソレを手に取ると目を通し眉を潜めた。
そして、一度溜め息を吐くと便箋をコチラに寄越した。
「やはり、レバノフさんは闇ギルドと繋がっていた様です」
彼の言葉に促されるように便箋の内容に目を通す。
そこには意図は不明だか、強力関係に有る闇ギルドを襲撃する計画が記されていた。
一体、レバノフさんは何を企んでいたのだろうか?
この便箋の内容だけでは到底見当もつかない。
果たして、レバノフさんは裏切り者だったのか、それとも……
そして、クレアさんは何故レバノフさんを殺したのか……
確かめなくては……
「探しましょう……」
その時、グレイが呟いた。
その言葉に一同が疑問の表情を浮かべた。
一体何を調べると言うのだろうか?
その時、不意に答えが頭を過った。
「そうか、他にも封筒があるかもしれない。それを見つければ、手掛かりになるかも……」
「はい、直ぐに探しましょう」
グレイはそう言うと、その場にいた全員に視線を向けた。一同、その視線と共に動き出し部屋の中を捜索し始めた。
僕も手当たり次第に部屋を改めていく……
必ず手掛かりを見つけ、この事件の真相を掴むんだ。
そして、彼女が何故この場所にいたのか。何故レバノフさんを殺さなければならなかったのだろうか。
僕には、到底彼女が嬉々として人殺しに手を染めるとは思えない。
もしそうなら、もしかしたら、大きな事件が裏に隠れてるのかもしれない。
やはり、突き止めなければ……
必ず、突き止めなければならない……
彼女を救ってしまった者として……
それが、善の為であるか。それとも悪の為であるか突き止め、そして、場合によっては……




