序章 いつもの朝
「これでトドメだ!」勇者の剣が魔王の心臓を貫く。
「おのれ雑魚勇者●●●●よ!!これで勝ったと思わないことだなァ!フフフフ…」
「何時まで一人で喋ってんの?はよ逝ってどうぞ」
「糞ガァァァァ!!」 魔王は爆発し消え去った。「…ゲームセットだ。」
一人感傷に浸っていると檻から解放された姫が駆け寄りこう言った。
「貴方があの憎き魔王軍と親玉を倒した勇者様ですか? ああ凛々しいお顔に身体中に刻まれた多くの
深い傷。私大変感動しております。」
「如何にも私がその勇者だ、先程の言葉大変有難く頂戴する。大いに苦戦したものの遂に貴女を救うことができた。だがこの偉業は私のみで成し遂げられたものではない、今までに沢山の犠牲者が出た。彼等は魔王を倒す為に命果てるまで戦ったのだ。私、それに生き残った仲間で彼等を追悼したい、君も彼等の為に祈ってはくれまいか。」
「勿論です。」 姫は手を合わせた。
「よし、では我等も祈ろう。」勇者の一声の後人々は無言で手を合わせた。
(志半ばで斃れた戦士達よ、我々は勇敢な戦士達による行動に拍手を送る、決して無駄な死ではない。こうして今平和が訪れたのだ。惨たらしい死を遂げた平民達よ、許してほしい。我々は救うことができなかった。力不足であった。貴方達を共同墓地に弔おう。天国で幸せに暮らしてほしい。ありがとう)
「――神のご加護を」
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「……朝だ! おい朝だ起きろ!」
現実に戻された。あぁ、怠い。寝惚け眼を擦ると正面に姉がいた。
「お前の寝言絶妙にキモかったが?」「さっさと下に下りて朝食を取れ。」
寝言が姉に聞かれていただと!?これは一生の恥だ。誤魔化すアテは何かないものか…
「いやぁ…これは寝ながらの勉強という睡眠時間の効率的な勉強方法でね…」
「勇者とか言っていたなぁ、あれは勉強ですか?」
「いえ、違います…」咄嗟についたそこそこな出来栄えの嘘であったが即座に破られてしまった。
「こんな下らん話している暇があったら朝の支度をしなさいよ、私はもういつでも家を出られますけど?」姉は俺に対し馬鹿にしているような顔をしながらこう言った。
「言われなくても…」俺は重い足取りで階段を下りていった。
当然だがテーブルの上には既に朝食が用意されており、全て冷めていた。母は
「もう温める時間はないから。早く食べなさい、時間無いでしょ。」とご尤もなことを言った。
(解ってますよ…)言い返すのも面倒なので無言で食べ進める。本日の品は地元産の牛乳、丼に入れられた白米、味噌汁(ワカメは嫌いであるから抜き)、春雨、若鳥のから揚げである。
(苦手な食べ物がねぇ…これだから親離れはイヤなんだよな)時間短縮の為に噛む回数を極力減らして
食した。胃が悲鳴を上げたが仕方がない。
「ヤバい腹が…」着替え、遅刻の件よりトイレを優先しろと脳が指令を下した。
「toiletに行ってきます。」これはトイレに行く際に必ず言わなければならない言葉であり、家族の掟と化している気がする。
トイレのついでとして着替えもそこで行うことにした。これを予測して先日の真夜中に着替えを仕込んでおいていた。「俺天才か?」一人若気ながら両方をこなした。
学校の道具は鞄に既に入っており、玄関前に設置しておいた。これで出発準備完了である。
さあ行かんとしたその時絶望させるのに十分な一言が俺の足を止めた。
「今日制服じゃないの?」「あ…」
むしろこれは感謝である。やらかしは気付く・謝罪するのが早い程いい、人間社会の鉄則である。
制服は自分の部屋にあるから階段をもう一度上がる羽目になりはしたが。
即座に着替え家を飛び出した。「言って来まーす!」いつもより十五分遅い家出であった。
リアルの話題を使用するかもしれませんが、ご容赦を。