【検証】鉱石の効率の良い集め方を探す【GWO】
「はい、気を取り直して検証始めます」
【殺されるのが検証する前でよかったな】
【今イチイの配信見てきたけど、100キルするみたいだしまだ油断できん】
【イチイ普通にめちゃくちゃ上手いからな…。タイマンならまず勝てない】
【今北産業】
【↑検証始めようとしたらイチイにキルされた】
【あー、イチイもいるんか】
フクロウがメニューを開き、アイテムを具現化する。
「まず、それぞれのツルハシの耐久についてですが、これは先に調べておきました。
『石のツルハシ』は30回、『銅のツルハシ』は50、『鉄のツルハシ』は100回まで叩くことができます。これは叩く強さに関わらず、一定以上の強さで叩くと耐久が減っていきます。
今回検証していくのはより効率よく鉱石を採取する方法……というより、それがあるのかどうか、ですね。
一応、このゲームの仕様を先に言うと、このツルハシ系統のアイテムを使って『採掘スポット』と呼ばれる場所を叩くと、鉱石系のアイテムが手に入ります。
それじゃあ検証を始めましょう」
【さあここから耐久だ】
【みんな、モンエナの準備はいいか?】
【これ成果でるかどうかすらわからんよな】
「あ、敵いますね。このコウモリね、なんとコウモリって名前なんですよ。サイズがちょっと大きめかなってとこ以外は普通のコウモリなんですよ。ちなみにツルハシは武器じゃないので攻撃しようとするとすり抜けます」
【へー】
【魔物じゃないってこと?】
【ただのコウモリは草】
【魔物じゃなくて普通の動物って可能性もあんのか】
【ツルハシすり抜けんのか】
【ツルハシすり抜けた状態で武器チェンジしたらどうなんの?】
「ん?あー、すり抜けた状態で武器チェンジはまだやってないですね。後で出来そうならやってみます。……お、ありましたね。あの光ってるのが採掘スポットです」
【結構唐突にあるな】
【お、あったあった】
【あれか】
【出現場所ランダム?】
【流石にランダムじゃないだろ】
「えっとね、出現場所に関してはまだ分からないんですけど、ランダムの可能性も割とあるんですよねぇ」
【マジか】
【まぁでもランダムの方が人がバラけるからいいかもね】
【ランダムだと周回大変そう】
【なるほど】
「まぁ、それはさておき、始めますよ…!まずは与えるダメージによって変わるのかどうかですね」
『鉄のツルハシ』を持ち、大きく振る。
1回、2回、3回……とツルハシを当てる度に素材アイテムが出てくる。
丁度10回叩いた所で、採掘スポットから光が失われた。
「丁度10回で終わりですね。えーっと結果は……石が19、鉄鉱石が2、銅鉱石が4ですね。この調子で後90回同じ条件でやって、別の条件でもう100回ずつを……あと2パターンですかね」
【ひえぇ】
【俺なんで夜更かししてまでこんなの見てんだ…?】
【今回も相当時間かかりそうだな】
【これは朝までかかるなー笑】
「いや皆さんは寝ていいですからね?いつも通り後で動画あげますし」
【たすかる】
【いやどうせ夜更かしする気満々だったし】
【どうせ夏休みだし余裕】
「まぁいいや。とりあえず採掘スポットの取り合いになるから急ぎますね」
【りょ】
【はっやw】
【レベル5とかでも結構速く走れんのな。素早さ極振り?】
【ステ振りって後から変えられるんだっけ?】
「いや、素早さはそんなに振ってないですね。別ゲーでやった歩法を活用してます」
【走るだけでもPS求められるのか…】
【VR歩法って色々あるけど何が1番いいの?】
【そーいや牡丹が他の人の配信にチラッと映ってたけどめっちゃ速かったな。そういうことだったのか】
「歩法は1番汎用性高いのは『スタクラ流』ですかね。結構色んなゲームで出来ますよ。
まぁ汎用性で言えば『牡丹流』が結局正解なんですけど、普通の人には真似できないですからね」
【ほえー色々あるんやな】
【牡丹流とかいうバケモンしか使えないやつやめろw】
【牡丹流って今何人くらいつかえるんだっけ?】
【クソゲー流が至高】
「牡丹流は出来るって公言してるのは3人ですねー。その3人ともなんでできるのか理解出来てないんで、中々普及しないんですよね」
【クソゲー流ってなんや…?】
【世界で3人しか出来ないのはもはや流派とは言えんのよw】
【流石人力TAS】
「えっとですね……クソゲー流はもう流派とは言えないどころか歩法とすら言えるかどうか微妙なんで……。あ、ありましたね」
鉱石スポットを見つけ、武器からツルハシに持ち変える。
そして、先程とまったく同じフォーム、力加減で、同じ場所を叩き続ける。
【わーリピート再生みたいだー】
【フクロウも普通におかしいんだよな。こんな正確にまったく同じ動きとかできんよ】
【これツールアシストなしってマ?】
【もはや不気味だよな】
【そーいやこのゲームって、採掘スキルとかはないのな】
「えっと……今度は11回で終わったので、終わるタイミングはランダムってことは分かりましたね。
それで、石が21、鉄が5、銅が8でしたね。鉄がやっぱ1番レアっぽいですね」
【今田中が鉄集めて女神像作ろうとしてるの実はかなり無謀なのでわ…】
【鉄より上はないんかな】
【この鉱山にはなさそうだよな】
【あぁ、そういやみんながこんな必死に鉄集めてんのって女神像作るからか……】
「はーいじゃあ次さっさと行きますよー。
鉄より上は今のところ報告されてないですね。β版では鉄以上の素材は少ないんじゃないかなぁ」
素材を確認するとすぐに走り出して探す。今度はすぐに見つかったようだ。
「お、ラッキーですね。こんな近くにあるなんて。じゃあさっきと同じようにやっていきますね。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10…っと。えー石20鉄2銅3」
【もう既に疲れてんなw】
【今日は1周したらやめたら?】
【やっぱキツいよなこれ】
「いやーキツいよこれ。思ったよりキツい。なんか身体的に疲れた気分になる。そうだねー、100回叩いたら今日はお開きにしようかなー」
「むっ!フクロウ氏ではないか!」
「ん?あぁ、ニートさん、お久しぶりです」
突然声をかけられ、振り向くとメタボリックな体型のプレイヤーがいた。
『✝︎ニート✝︎』。一昔前どころか二昔前のオタクの口調とインパクトのある見た目で、MMO界隈では有名な廃人ゲーマーである。
そういう名前なので、突然フクロウが悪口を言った訳ではない。
「いやはやフクロウ氏がこのゲームに来れば百人力ですな!検証の神がいればスムーズに進められること間違いなしですからな!」
「いやいや、僕1人ではどうにもなりませんよ」
「ご謙遜を。ところで、今は何をしてらっしゃるのですかな?」
「あぁ、今まさに検証中ですよ。鉱石の取れる確率と、岩に与える威力でそれが変わるかどうかですね」
「ほほう、大変そうですな。よければ手伝いますぞ?」
「あー……そうですね、助かります。今攻撃力いくつですか?」
「25であるぞ!火力が正義ですからなぁ!」
「でしたら、採掘スポットのバラバラの位置を一定の強さで叩いて、その様子と手に入れた鉱石を記録してください。とはいっても、僕のカメラをお貸しして、僕の配信画面に映しとくんで、ニートさんは特に気にせずに黙々と作業を続けてください」
「あい分かった!」
「あ、ツルハシが壊れたタイミングで報告をお願いしますね」
「了解!それでは拙者はあっちの方へ!」
長い会話が終わり、ニート氏が爆速で走って行く。それを横目に確認したフクロウも鉱脈を探しに走り出す。
「ん?あぁ、さっきのニートさんですか?あの人はネトゲ界隈じゃ結構有名な廃人プレイヤーですよ。
すごいですよ、いつ見てもログインしてるらしいですからね」
【へー、ネトゲやってないから知らんかったわ】
【VRゲームで廃人って存在したんやな…】
【別にVRに限った話じゃないやろ】
【コミュ力のあるオタクって感じだったな】
「これからMMOも増えたとしても、今までのように時間だけの廃人が活躍出来るかは微妙なところですよね。ここまでのクオリティのゲームが普通になるわけですから」
【ゲームの中とはいえ動き回るもんな】
【いうてそんな疲れるか?】
【体力的な問題もそうだけど、ながらで出来ないのがキツい】
「さぁてありましたね。もうこの時間になると流石にボチボチログアウトしてるんですかねー」
採掘スポットを叩きながら言う。
「……10、っと。えー、石18鉄1銅3……ん?お、銀鉱石が1個ありました!」
【おぉ!】
【レアドロきちゃ!】
【初情報じゃね?】
【銀鉱石初めてみた】
【え、今まで誰も銀見つけてなかったってこと?すげぇ】
【これはすごい】
【銀が出ることが分かっただけでも検証の価値爆上がりだろ】
【起きてて良かったー!】
「え、これが初発見だとすると、相当なレアドロですよ!?いやぁ運がいい。多分この後悪いこと起きる」
【草】
【いやもう満足だわ】
【切り抜き確定演出】
【もうこれで終わりでいいだろw】
「いややりますけどね。あと6回やって終わりなんですぐですよすぐ」
だが、銀鉱石を使い果たしたことで運が尽きたのか、中々見つからず、洞窟の奥まで進むことに。
流石に奥まで進めば見つかり、幸い多少エリアが変わってもドロップ率は変わらなそうで安心していた。
「んー……みんな、まずいことが起きた」
【お?】
【なんだ急に】
【どうした】
「完全に道に迷った」
【草】
【なんかウロウロしてんなーとおもったらw】
【マッピングされた地図あるんじゃないの?】
「あのね、地図ってね、現在地が分からなかったらただの紙切れなんだよ…!マッピングスキルないから、有志が調べた非公式のやつだから、わっかんないんだよね」
【詰んだw】
【夢中で掘ってたからね。しゃーない】
【いや草】
【なんか目印になるようなのがあればなぁ】
「そうだね。なんかあるといいんだけど……あ、鉱脈ある」
『採掘スポット』という正式名称で呼ぶのが面倒になってきたフクロウは、鉱脈と呼ぶようになっていた。元々律儀に正式名称で呼んでいるフクロウが珍しいのだが。
「えっと……石19、鉄2、銅3ですね。あと1つで終わりだし、そこ掘ったらデスルーラしますかぁ」
デスルーラとはゲーム用語で死に戻りのこと。つまり、敵に倒されることによってセーブポイントまで戻るというテクニックことである。
採掘スポット改め鉱脈を探していると、何やら広い場所に出た。
「おぉ…!?なんだこれ!」
そこには何らかの機械……というか、ロボットがいた。
「近づいたらボス戦になるかと思いましたけどそんなことないですね。
ゴーレムか…?かなり大きい……。まぁ、明らかに今後の展開の伏線でしょうね。覚えておきましょう」
【でけー!】
【てか、そこの場所地図に書いてあるなら戻れるんじゃ】
【迫力すごいな】
【明らかに人が作ってるね】
「いや実際に見ると分かると思いますけどすごい迫力……ん?あっ、そうか、ここ地図にかいてありま……すね!戻れますね歩いて!
じゃあ、戻りつつ最後の1つを探しましょう」
謎の大部屋を後にして、無事、検証も終えることができた。
検証結果
フクロウ
石140、鉄52、銅71、銀1
✝︎ニート✝︎
石142、鉄51、銅78
どちらも叩く回数は同じだったため、攻撃力による変化はないので、なるべく速く叩こう!