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俺は私になった。  作者: 雪村 敦
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三章 検査

 俺は今、病院にいる。

 理由は、この体になった理由を検査するためだ。

 昨日、俺の体を見た親父とお袋は、「随分かわいくなったじゃねぇか!」「そう言えば娘が欲しかったのよね~。」と、そろって受け入れた。

 いや、2人ともそれでいいの…?

 親ってそんなもんなんだろうか。

 それに、神田先生が来る前に帰ったはずなのに、神田先生は来たとたん、出かけたことを言い当てられた。

 まぁ理由は、部屋に置かれたホームセンターやユニクロの袋と、この前はなかった今のサイズにぴったりのライディングジャケットだった。

 …うかつだった。

 そんなこんなで、学校についた親たちには、教頭先生から、なぜこんなことが起こったか分からないと言う事と、明日病院で検査が行われると言う事が伝えられた。

 同席できるか聞いたところ、「明日は俺船団組んで漁なんだよ。」と親父。「明日はお父さんが漁から帰ってきたら、魚の仕分けしなきゃいけないのよね~。」と、どう聞いても忙しい夫婦だが、親父はともかく、お袋は面倒だから来たくないだけだろ…。

 親父もお袋も今日は来ないというから、俺は神田先生と一緒に、病院の待合室で待機中だ。と言っても、待合室は俺と神田先生の2人だけだ。特別診察室の待合室らしく、感染症とかの時、感染の疑いがある患者を診察するための診察室らしい。

 学校からは、神田先生に俺の付き添いをするようにと言われてるようで、今日の朝、また神田先生が迎えに来た。例のごとく俺が寝てるときに来たため、寝ぼけた状態の俺に、朝食を作ってくれたようで、顔を洗って戻ったら食事が並んでた。

「西住さん、ずっと気になってたんだけど、大丈夫?その、色々不安かもしれないけど、何かあったら、私でもいいし、親御さんに相談してね?」

「わかりました。何かあったら、相談しますね。」

 俺も強がりだな。

 正直なことも言えないのか。

「西住さ~ん。どうぞ~。」

 看護師さんに呼ばれて、診察室に入る。

 病院側には、すでに連絡が入ってるらしく、受付で俺の名前を行っただけで、さっきの待合室に通された。

 診察室では、すでに医者が数人待っていて、みんな俺の事を睨んでくる。

「ではおかけください。」

 椅子に座っている女医に言われるまま、椅子に座る。

「では今回検査を担当します、外科部長の中園(なかぞの)と申します。本日はよろしくお願いいたします。」

「どうも、よろしくお願いします。」

 女医と言えば、何かとエロい妄想をしがちだが、実際に会ってみると、大して興奮しない。まぁ今女だからなのかもしれない。

 …ん?

 もう心の中は女子になりかけてるのか…?

「西住さんは、戸籍や学籍では男性に登録されているのに、ある朝急に女性になってしまったと?」

「はい。」

「そうですか…。何か、前兆の様なものはなかったですか?なんでもいいですが。」

「そう言われても……。女になる前兆なんてわかるわけないじゃないですか。」

 知ってるんなら逆に知りたい。

「それもそうですよね…。では、これより検査を行います。検査内容としましては、DNA検査、エコー検査、レントゲン……。」

 一通り説明すると、中園先生は神田先生の方を向く。

「えっと、そちらの方は西住さんのご家族の方ですか?」

「あ、いえ。私は彼女の学校の教員です。彼女のご両親は本日来られないとのことでしたので、私が代理で来るようにと言われました。」

「そうでしたか…。今回の検査でご両親のDNAが採集できれば、西住さんの物と照合できたのですが、他に涼さんが本人であると証明する手はまだありますから、それは後程ご説明いたしますので、一度待合室にてお待ちください。」

 促されるまま診察室を出ると、奥の検査室に呼ばれる。

 血液検査やDNA検査の為に血液の採取や、CT、レントゲンと言った検査を受けていく。

 最初聞いた時、検査だけで1日何てかからないと思っていた。だけど、今の時点でもう15時だ。

 朝の9時頃に病院に来て、そっから呼ばれるまで1時間待ってから診察室に呼ばれ、そこからずっと検査だ。ちなみに昼食は食べてない。

 先生や看護師たちも、ずっと走り回っていて、とてもせわしない。

 そう言えば、さっき健康診断じゃないとか言ってたけど、尿検査もしたんだが…。

 結果その後も検査は続き、窓から見える景色が夜になるまで続いた。

「…先生、今日ってあとどれくらいかかるんですかね。」

「健康診断とか人間ドックでももっと早いけど、まぁイレギュラーだし、仕方ないと思うからもう少し待とう?」

「いやそんな子供をあやすみたいに言わないでください…。」

「今の西住さん小さい子供にしか見えないし…。」

「西住さーん!診察室にお入りくださーい!」

 やっと看護師から呼ばれて診察室に入る。

 朝と同様外科部長の中園先生が正面に座っている。そして、その後ろに立っている医者たちは、明らかに増えてる。そんなに俺の体に興味あるのか…。変態みたいだな。

「西住さん、結果から行きましょう。結果から言いますと、あなたは西住涼さんで間違いないと思われます。根拠としましては、あなたが中学校の頃に行われた尿検査のデータと、今回あなたから採集した尿検査の結果から、DNAの検査を行いました。」

「尿からもDNAって採集できるんですか?」

 神田先生が、珍しく食い気味に出てくる。

「できます。尿は通常、95%程度が水で構成されているのが通常ですが、尿には血液が若干含まれています。また、尿の中には上皮細胞と呼ばれる、DNA検査を行うために必要な細胞核を持った細胞が、尿道から離れて尿に含まれます。この2つどちらかがあれば検査を行うことが可能です。」

 ぶっちゃけ何言ってるのか分からない。

 なんだよ上皮細胞って、習ってねぇぞそんなの。

 生物かなんかで習うんなら、うちの学校は生物は高2からだって言ってやりたい。

「そのほかの検査では、西住さんの体の構造や、性別などを確認いたしました。あなたは間違いなく女性です。レントゲンやエコー検査で、あなたの骨格の形や子宮の存在も確認されてます。」

 今この先生とんでもないことサラッと言った!?

 俺的にはそこが一番重要なんだけど!?

 いや重要なのは戻る方法だけどさ。

 その後、検査結果を詳しく教えられるも、専門用語が多いから何を言ってるのか分からない。

「そして最後に、あなたが女性に変わった理由についてですが、申し訳ありません、理由はわかりませんでした。それと同様に、あなたが元に戻る方法もわかりませんでした。なので、我々が意図的にもとに戻すことは不可能と思われます。ですので、今後経過観察を行っていきたいと思います。」

「俺はそれでいいと思いますが、学校や両親と話し合いたいので、結論はまた後日でいいでしょうか。」

「問題ありませんよ。では、本日はこれで終わりです。検査費などはすでに前払いで頂いているので、このままお帰り頂いて結構ですよ。」

「ありがとうございました。失礼します。」

「ありがとうございました。」

 総合案内の前を通ると、まだ何人かは椅子に座って待っている。確か入院患者への面会は8時までだったかな。

 神田先生の車に乗り込むと、そのまま家に帰る。

「明日、教頭や校長と今後の事を協議するから、明日も家に居てね。あと、ご両親には検査結果をご報告するためにもう一度学校まで来てもらうけど、そっちの方はこっちで連絡するから。西住さんは、今日は疲れただろうから早めに休んでね。」

「了解しました。ではまた明日。」

「いや、だから明日も自宅待機だって…。ちゃんと家に居なさいよ。この前みたいに買い物とか言っちゃだめよ?」

「わかりました。家にいます。」

 神田先生にくぎを刺されて、そのまま部屋に戻る。

 そう言えば、今日は朝以外飯を食べてないな。おなかが空かないってことは大した問題じゃないのかな。

 一応、夕食を食べようと冷蔵庫を開けて、卵が目に映る。

「…卵かけご飯か……。」

 卵1つと茶碗一杯の米と箸。そして出汁。

 みんな醤油を使う人がほとんどだけど、俺は出汁をかけてたべるのが好きだ。

「…ここ最近自宅待機が多いな~。」

 いつもなら行きたくないはずの学校に、今は無性に行きたい。

 まぁ、今の俺がいきなり学校に行ったらそれはそれで問題になりそうだし、今はおとなしくしとくか。

 夕食で卵かけご飯を食べ終わると、食器を洗って一息つく。

「……。」

 こんな時に変なことを思い出す。

 女子になったのに、女子の体、楽しんで無くね?

「…よし。」

 俺はそのまま着てる服を全部脱いでちゃぶ台の前に座る。こういう時、カーペットしいといてよかったと思う。

「……。」

 …これはなかなか。

 ……エロいな。

 何か前にもこんなことがあった気がする。

 男子なら誰しも女子の体に興味を持つ。

 だけど、実際に女子になって思う。

 こういう起伏に富まない体でも、それなりに興奮はするし、女子の体だと思うと、普通に興奮する。

 だけどなんだろう。

 興奮しない。

 ドキドキはするが、どこがスイッチなのか分からない。

 男子なら息子(マイサン)をしごいたりエロいことを考えれば自然に息子(マイサン)が臨戦態勢に入るが、女子はどこをいじればいいのか分からない。

 乳房をいじるのか、もしくはおまんまんをいじればいいのか分からない。

「……やめるか。」

 何をすればいいのか分からず、結局そのまま風呂に入る。

「……俺は何をしてたんだろう。」

 風呂から出ると、丁度電話が鳴る。

 画面には、≪神田先生≫と書かれている。

「はい。先生どうしましたか?」

『あぁよかった。前に電話した時は出なかったから。』

「その時は爆睡してました。で、なんの用ですか?」

『あぁそうだった。ちゃんと家にいるか確認だよ。ちなみに、今なにしてた?』

「え?今ですか?」

 やばいどうしよう。

 ありのまま言うわけにはいかない。

「えっと、晩飯食べて、自分なりに検査して風呂入ってました。」

 さすがに飯と風呂だけだと、時間が空きすぎる。とはいえ、何かいい嘘をと思ったが、思いつかなかった。

『検査?…まぁいいわ。あんまり変なことしないでよ?』

「わかってます。自分は洗濯物干したら寝ますが、何かやっとくことでもありますか?」

『う~ん。ないかな。また何かあったら連絡するから、できるだけ電話は出るようにして。』

「了解です。おやすみなさい。」

『おやすみなさい。』

 電話を切ってスマホを置くときに、画面を見ると、そう言えば最近スマホいじってないことを思い出す。

 そのままもう一度スマホを開いてみると、LINEが来てることに気づく。それも何日か前。俺が女子になった日の夕方や夜に、クラスメイト数名がLINEしてきている。

 その内容はどれも、≪体調は大丈夫か?≫や、≪お見舞い行きたいんだけど家どこ?≫と言った内容だ。

 そう言えば、学校側では俺は風邪で休んでるってことになってるらしい。

 さすがに数日間返信が無いどころか、既読すらされてないのは心配されるだろうが、さすがに出て行ってあったり、電話するわけにはいかないから、全員に、≪とりあえず生きてはいるよ。お見舞いはいらないから。≫と送っとく。

「…いつ行けるか分かんないし、これでいいか。」

 適当に返信をして、通知をオフにしておく。

 風呂場に洗濯物を干して、下着を着て布団に入る。

 俺今日なにしたっけ。

 病院で検査したんだ。で、男に戻る方法も分からず、戻れない可能性も十分あり得ると言われたんだった。

「……戻れるのか?俺。」

 お久しぶりです。更新遅れてすみません。

 大学の授業や課題、バイトや教習所などで時間が無くなってきました(笑)。

 そう言えば、第一章の下着編ですが、実はあの作品を書くにあたってユニクロに取材に行ったんですよ。その時に、女子の下着をじっくり眺めてたら店員さんに、「お客様、何かお探しですか?」って声かけられちゃいました(笑)。

「あいえ、妹に下着買ってきてって言われたんですけど、何がいいのか分からなかったので、悩んでただけです。」ってとっさに答えました。

 デブい男子大学生が女児の下着見てたら、それただの不審者ですよね(笑)。

 家に帰ってから、ネットで見れることに気づいて複雑な気持ちになりました(笑)。


―追記―

 6月28日、三章の公開に合わせて評価を公開していきたいと思います。

 これによって何が変わるかは、正直わかりませんので、今後どうなるのか見ていきたいと思っています。

 これからもよろしくお願いします。

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