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俺は私になった。  作者: 雪村 敦
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2-1章 帰ってくる日常

「ただいま~。」

 久しぶりに開く自分の部屋の扉。

 実家も落ち着くけど、高校入学から、体が変わってから住んでるこのボロアパートもなかなかに落ち着く。

 2週間くらい家を空けてたら埃とかがあるかと思ったけどあんまり埃は溜まってなさそうだ。でも一通り掃除はするけど。

 一通り部屋を掃除すると、鞄にしまってあった服や下着をタンスにしまい、鞄を部屋の端っこに置き、ベットに倒れ込む。

「はぁ~。帰って来たって感じ~。」

 自然とこぼれる声。

 自分のベットは、実家のベットと違うけど同じだ。

「…そう言えば矢代さんから連絡がこないけど、元気してるのかな。」

 まぁ最後に会ったのは先月だけど。

 そう言えば年賀状も来てなかったな。そんな間柄でもないけど。

 一応あいさつに行ってみるか。今日はバイクじゃなくて徒歩で。

 外は寒いからなぁ。さっき寒い思いをして帰って来て掃除とかして温まった体を考えると、いくらバイクが好きでもちょっと乗りたくないかなぁ。

 掃除をして埃をかぶったため、一度シャワーを浴びるべく風呂場に向かい、服を脱いで風呂場に入る。

 一通り体を洗い、風呂を出て体を拭く。男用に買ったバスタオルもこの小さい女子の体には大きすぎる。

 下着を身に着け、服を着て、スカートを履いてからタイツを履く。最近ではズボンもスカートも違和感なく着れるようになった。それに最近ではデニール数とかにも詳しくなってきた。冬場のお気に入りは120くらいのデニールがいい。

 コートをハンガーからとると、使い捨てカイロを手に取るが、年末年始に憲治郎(けんじろう)おじさんからもらった物を思い出す。

 鞄のサイドポケットからおじさんにもらった包みを取り出し開封する。中からはシルバーのライターと『Zippo』と書かれた黒い缶、同じく『Zippo』の刺繍が入った布を縫い付けられたフェルト生地の袋に白い小さなボトルの様なものが出てくる。袋の中には袋と同じくらいの大きさの硬い物が入っている。

「どうやって使うんだっけ。」

 おじさんは確かハンディウォーマーとか言ってたっけ。親父も知ってたみたいだけど、お袋とか近所の奥様方は白金カイロとか呼んでたけど。

 おじさん曰、バイクに乗るのにも普通に普段使いするのに、使い捨てカイロよりこっちの方がいいらしい。保温時間も長いし、これのオイルならコンビニでも売ってるらしい。

 おじさんに教えてもらった通り、カイロのキャップとバーナーを外すと、オイルを白いボトルに移して量を測る。ボトルに移したオイルをカイロの綿にしみこませると、バーナーをはめてライターでバーナー部分をあぶる。キャップをバーナーに当てて曇るのを確認すると、キャップをはめてフェルト生地の袋にしまう。

「……あ、あったかい。」

 少し温まるまで時間はかかるけど、使い捨てカイロとは違う温かさ。

 なんというか、柔らかい暖かさ。

 こいつはいい。ただ低温火傷しそうだから気をつけないと。

 コートに袖を通して、コートのポケットにカイロをしまい、玄関に向かう。ブーツを履いて鍵を持つと、危うくヘルメットとグローブを手に取りそうになる。

 そうだった。

 今日は歩きで行こうと決めたんだった。

 マフラーを巻いて手袋をはめ、部屋を出て鍵を閉める。

「……ふぅ。」

 街道沿いをゆっくり歩き、バイクでは見ることのできない風景を見ながら、ゆっくり事務所へ向かう。

 冷たい風が、顔やタイツの足に当たる。厚手のタイツでもやっぱ寒い。

 バイクにタイツは絶対無理だな…。

 にしてもこのカイロあったかいなぁ。まぁ寒いけど。

 でもさすがに寒かったから通り道のファミマでホット珈琲を買う。これがまた温かい。

 暖かい珈琲を飲みながらゆっくり歩いていると、モトガールズのジャケットを着た女性がCB400に乗って通り過ぎる。横を通り過ぎる時、左手を上げてくる。多分顔見知りなんだろうけど、みんな同じフルフェイスとジャケットのせいで誰か分からない。一応手を振っておくけど、後で言われたら間違いなく分からないだろうなぁ。

 でもモトガールズのバイクが走ってるって事はもう事務所の近くだってことだ。徒歩だと遠く感じる。

 モトガールズの事務所につくと、小さい方の扉を開けて中に入ると、いつも通りの風景に、社員たちの白ナンバーやピンクナンバーのバイクと、会社の緑ナンバーのバイクが向かい合って停まっている。

 社員たちのバイクの中にPCXがあることを確認すると、事務所に向かう。

 そう言えば、元走り屋のバイク乗りの人が乗るバイクと言えばなぜか改造車とかカスタム車連想してたけど、矢代さんのPCXは外見的にはほぼフルノーマルだと思う。そう言えば他の人たちのバイクもほとんど外見的にはフルノーマルだったけど、そう言う志向の人達なのかな。でもその気持ちはよくわかる。

 事務所に入ると、他のライダーは居ないらしく、矢代さんだけがデスクに向かっている。

「お、西住(にしずみ)ちゃん!あけおめ~!もうけがの方は大丈夫そう?」

 あぁそうか。

 病院側からはけががあったため療養すると伝えてあったらしい。

「もう大丈夫です。けがの方も問題ありません。」

「じゃぁ次のシフトから入ってもらえる?」

「了解です。」

「じゃぁ次回のシフトから入れておくね。今日はバイクで来たの?」

「いえ、徒歩できました。なんとなく歩きで来たかったので。」

 どうやら仕事はいいらしく、私と雑談を始める。

 しばらく、大体10分ぐらいだろうか。それくらいたった頃、外から数台のバイクが帰ってくる。

 停まっているバイクの隣に停まると、ライダー達は談笑しながら事務所に入って来る。

「姐さん、戻りました~。」

「姐さ~ん。さっき西住ちゃん歩いてましたよ~。」

 ライダーたちはヘルメットをもってくる。

「あれ?西住ちゃんいるじゃん。」

「お久しぶりです。」

「な~に~?もうけがはいいの~?」

「そのことを話してたんだよ。次の金曜からシフトに復帰するから。」

「お、とうとう復活か~。」

「あの2人もこれで安心するな。」

 あの2人って、琴さんと菜々美さんかな。

 そう言えばあの2人にはそれから一回もあってないけど、本当はあの2人が居るかなぁって来たけど、今日はシフトじゃないみたいだし、シフトの時に会えるだろ。

「じゃぁ私はそろそろ失礼します。」

「もう帰るの?」

「気を付けて帰ってね。」

 矢代さんとライダー達は、みんな右手を上げる。

 忘れかけてた。ここのルールを。

「では、また今度。」

 そう言って、矢代さん達とハイタッチをかわして、事務所を後にした。

 お久しぶりです~。

 と言いつつも新シリーズの投稿に関してのお知らせを昨日投稿したばかりなのでまったくもってお久しぶりではないですが(笑)。

 とりあえず、前シリーズ完結から3ヶ月。

 こう見ると案外時間って経ってないなって感じなんですけども、自分からしたら経ってるんですよ!

 前のシリーズの様には残念ながらかけていませんが、次からは、しっかりと世界観を作り込んでいきたいと思いますでの、ご期待ください!

 さて、そんなに長く話してもあれ何で、これくらいで失礼します。

 ではまた次回お会いいたしましょう~。

 ではでは~。

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― 新着の感想 ―
[一言]  監禁部分はいらなかったと思います。  くらいし、結果も生煮えでいいとこないし。  それ以外は良かったです。
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