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俺は私になった。  作者: 雪村 敦
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十四章 水泳

 朝、やっぱりどうにも目覚めが悪い。

 もう女子になってから2ヵ月くらい経つけど、やっぱり朝は弱い。

 頑張ってベットから降りると、そのまま顔を洗って朝食の用意をする。

 女子になってから、朝はかなり少なくてよくなった気がする。

 トーストを半分に切って焼き、バターを塗ってかじる。これで朝食が終わり。男子の頃なら、間違いなく足りないけど、身長も縮んだし、体重も減ったから必要なエネルギーがすくないのかな。

 食事がすむと、紅茶を飲みながら今日の授業の確認をしようと鞄を開けると、昨日手渡された小包を思い出す。

 そう言えば、今日から水泳があるからってとりあえずこれを使うようにってスク水を渡された。

 学校指定じゃないけど、指定の物で俺のサイズに合うサイズが無いから、急ごしらえで手渡された。

 タオルを1枚持って来ると、最初に配られてた水泳用の袋から男子用の水着を出して、昨日渡された水着を入れようとしたとき、ふと昨日神田先生が言ってた、『とりあえずこれを使ってて。特例であなただけは違う形でもいいってことになったから。』と言う言葉を思い出す。

 小包を開けて、中の物を取り出すと、裏がピンクで表が透明なビニールのパッケージで、透明な面の下の方には《Swimwear TOMBOW》と書かれている。

 トンボの水着みたいだけど、何か嫌な予感がする。

 パッケージを開けて中の物を出すと、サイズは140サイズと書かれている。神田先生にサイズって言ったことあったっけ。あ、下着買いに行ったわ。

 水着を広げてみると、確かにスク水だ。

 間違いない。

 …スク水っておなかの所に切れ目なんてあったっけ。

 …一回着てみるか。

 今着ている寝間着とかパンツとか全部脱いで、水着に足を通して腕も通す。

 ……ぴったりしてる。

 2か月間女児用ショーツを履いてたけど、改めてこういうぴったりした服を着ると、股への張り付き具合が妙に感じられる。

 男子用の水着ってのは、海パンの中に白いサポーター的なものがあって、それによって息子(マイサン)がずれるのを防いでる。

 でも、女性用の水着は、ずれるものが無いから、ぴったりとくっついてる。この圧迫感はそんなに嫌いではない。

 そして、おなかの切れ目を見た感じ、これ俗にいう旧スクール水着ってやつじゃないか?

 うちの女子の指定水着がどんなのか知らないから何とも言えないけど、少なくとも普通のスク水の中に旧スク水が居たら目立つだろ。

 とりあえず、水着を脱いで袋に入れると、下着を着て制服を着る。

 鞄に携帯2つと財布を入れて、スイミングバッグとヘルメット、鍵をもって部屋を出る。

 バイクのリアボックスに鞄とスイミングバッグを入れて、ヘルメットをかぶってエンジンをかける。

 スカートだとめくれるけど、対策としてスカートじゃなくてズボンで学校まで行って学校で履き替えることにした。

 学校について、駐輪場にバイクを停めると、ハンドルロックをかけてトイレに向かう。

 ズボンからスカートに履き替えて、ズボンを鞄にしまう。

 スカートにももう慣れたものだ。

 慣れてしまえばスカートの方が開放的で気持ちい。多分冬は寒そうだけど。

 教室に行くと、音無達が声をかけてくる。

 1時間目の物理が始まり、危うく寝落ちしそうになる。

 2時間目は現代文。睡魔への誘惑は一向に弱まる気配を知らない。

 3時間目は数学だ。4時間目の体育が2時間目とか3時間目にあったらと思うと、確実に寝る気しかしない。しかも今は先生の目の前だから、落ちた瞬間たたき起こされる。

 3時間目が終わると、女子は更衣室に移動する。

「西住ちゃん!」

 急に後ろから声を掛けられ、驚いて振り向くと、クラスメイトの斉藤 桃香(さいとう ももか)が立っている。

「斉藤か。なんだ?」

「一緒にいこ!」

「あ、うん。いいよ。」

 そのまま斉藤と一緒に教室を出る。

 教室を出るときに、斎藤が少し振り返り、誰かに合図をしていたが、多分音無達だろう。この前の話の結果、味方につけた女子ってのが斉藤なんだな。

 そう言えば、斎藤ってこんなに大きかったっけってくらい身長が高く感じる。

「……斉藤、身長何センチ?」

「ん?私?私150センチだよ。」

 うん。普通に見たら小柄なんだろうけど、今は俺の方が小柄だな。だって身長140センチだし。

 女子はプールの横にある更衣室で着替えるが、男子は教室で着替えるらしい。

 更衣室に入ると、プール独特の薄まった塩素の匂いの中で、もう何人か着替えてる。

「そう言えば西住ちゃん、水着って西住ちゃんに合うサイズってあったの?」

「それはあんに俺が小柄だと?」

「ち、違う違う!水着買ったときに、こんな小さいサイズの水着あったかな~って。」

 斉藤は苦笑いをしながらロッカーを開ける。

「…なかったから神田先生が急遽用意してくれたけど。」

 言葉が詰まる。

 さすがに用意された水着が旧スク水何て言えるわけがない。

 ロッカーを開けて服を抜いていると、周りにはもう何人か着替え終わってる人もいるが、その水着は俗にいうセパレートタイプってやつだ。

 終わった。

 これ完全に目立つやつだ。

 もしかして神田先生急いで買ったから水着の形見なかったのか?

「?西住ちゃん?」

 斉藤に声を掛けられて、どうにでもなれって感じで着替える。

 横では、斉藤が着替え終わってタオルをもってロッカーを閉めている。

「西住ちゃん着替え終わった……。」

 水抜きのあるおなか。

 セパレートタイプみたいに太ももまで覆われてない足。

 パットなどが一切入ってない水着。

 さすがに、旧スク水ってのは驚いたみたいで、斉藤が固まる。

「……斉藤?」

「………か。」

「か?」

「かわいい~!」

 急に抱き着かれて、支えきれずに後ろに倒れる。

 ちょうど俺の後頭部には斉藤の腕があったから、衝撃波俺まで来なかった。

「うぅ…。斉藤?」

「……は!」

 何かを思い出したかのように急いで斉藤は起き上がる。

「ご、ごめん!」

「いや良いけど、急にはやめて…。」

 さすがに驚く。

 周りを見ると、みんな同じような反応をしている。

 そりゃ急に人に飛びついたら、される側も見てる側も驚くだろ…。

「…西住ちゃん、急に女子になって急にかわいくなって、旧スク水がこんなに似合う子なんて見たことなかったし。」

 まぁ、そんな反応は音無達で慣れてるし、むしろ男に抱き着かれるより女子に抱き着かれた方がなんとなく気が楽だ。

 斉藤と一緒にプールに行くと、すでに男子が全員集まっている。

「西住スク水だ!」

「おい!あれ旧スク水だぞ!」

 やかましいなおい。

「ほらうるさいぞ男ども!」

 男子の方では、宮藤先生が叫んでいる。

 女子の方は、まだ先生が来てない。

「…斉藤。」

「ん?どうしたの?」

「この学校って女性の体育教師っていたっけ。」

「いるよ~。2人ね。」

 なら安心だ。

 男性しか居なくて、宮藤先生が男子担当なら女子は樫田の担当になっちまう。

 しばらくして、女子の先生が来て、準備運動からプールに入る。

 プールなんていつぶりだろう。

 …あれ?

 プール初めてじゃね?

 小中の時は水泳は海でやったし、何なら目の前海だったし。

 そして水泳は得意だったことを思い出して、男子の頃の感覚と女子の体の感覚を同調させて少しずつ慣れていく。

 しばらく体を慣らして、プールサイドに上がったとき、どこかからか視線を感じる。

 視線を感じた方を見ると、そこはプール横の更衣室とかがある2階建ての建物の2階からみたいだ。

 これは、本当に狙われてるのかもしれない。

 俺の様子が変わったのに気付いたのか、斉藤が駆け寄ってくる。

「西住ちゃん、大丈夫?」

「ああ。大丈夫だよ。」

 ちょっと、樫田について情報でも集めてみようかな。

 斉藤と2人で、改めて入るプールは、逆側のプールサイドから聞こえるやかましい男子たちの声も、建物からくる視線も気にならないくらいに、冷たくて、でも少しぬるくて、薄い塩素の匂いも混じってても、気持ちのいいものだった。

 最初に謝っときます。

 告知通りに更新できず申し訳ない!

 そしてもう一つ。

 水着回今回で終わりです!

 1回しかやってないけど。

 次回以降にも水着の描写は出てきますけど、霧ヶ峰高校では学園祭な時期に突入してまいります!

 まぁまだまだ学園祭本番ではないですけど。

 少なくとも学園祭の前にひと悶着ありそうです!

 おそらく!

 その時の気分によっては樫田先生これ以降消えるかもしれません(笑)。

 いやキャラ設定作った意味(笑)。

 それもあって次回以降の流れは詳しくは言えそうにないです!

 まぁ今までも言ったことなかったけど。

 では次回以降もお楽しみに~。

 ではでは~。


―追記―

2020/8/17 23:17

 新章、本日中に更新できると思われます!

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